2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧
立花隆・佐藤優の「ぼくらの頭脳の鍛え方」(文春新書)はすごく有益だ。二人が勧める「必読の教養書」のリストが400冊もあって、とても読み切れない。読書予定のリストがどんどん膨れ上がってしまう。 二人の対談から。 佐藤 ……だから(私は)いい小説読み…
R. C. ウィルソン「時間封鎖」(創元SF文庫)はヒューゴー賞を受賞しているだけあって面白い。まだ上巻を読んでいる途中だが、オノ・ヨーコに関するこんな記載があった。 明らかにジェイスンは、サイモンのことをアメリカ南部版ヨーコ・オノ、つまり出しゃば…
つげ義春「紅い花」より キクチという苗字がある。菊地とか菊池とか書く。以前、この「チ」が地だったか池だったかの人が、菊地の先祖は侍だ、菊池は百姓だ、一緒にするなと言った(その逆だったかもしれない)。笑止だ。 まず苗字の漢字は過去から明治まで…
コリン・タッジの「ザ・リンク」(早川書房)は面白かった。副題が「人とサルをつなぐ最古の生物の発見」といい、ドイツで発見された4700万年前の霊長類の化石を巡って、その化石がいかにすばらしいものか、どのように霊長類の進化を解明するのに役立つか縷…
目黒区美術館で開かれている「'文化'資源としての〈炭坑〉展」が意外にもすごく面白い(12月27日まで)。私はここに出品されている野見山暁治の作品を見るために行ったのだが、この展覧会自体がすごく面白かった。 展覧会は「炭坑」を美術作品とイラスト(マ…
吉行のエッセイによると、パーティーに出席していた折り、何かで昂奮した女性から顔に酒をかけられた。吉行はあわてず女性が身につけていた高価そうなスカーフを奪い取りそれで濡れた顔を拭いた。とたんに女性は昂奮から覚めたという。そのことを吉行は、女…
以前「「向日葵の咲かない夏」への不満(2009年5月30日)というエントリーを書いたら、多くの方からコメントをいただいた。それが私の感想への反対と賛成のきれいに2つに分かれた。面白かったので、そのコメントを再録する。 aasa 2009/06/14 00:28 そもそ…
しばらく前の朝日新聞の書評欄で鴻巣友季子がドリス・レッシングの短編集「グランド・マザーズ」(集英社文庫)を推薦していた。 2007年、長年ノーベル文学賞「候補」に挙げられてきた英国作家レッシングが、同賞最高齢の88歳でついに受賞した。「黄金のノー…
クルト・ワイルの歌曲が日本ではあんまり人気がないように思える。もったいない話だ。クルト・ワイルは戦前ドイツで活躍し、ナチスを逃れてアメリカに移住した。有名な「三文オペラ」は戯曲家ブレヒトとの共作のオペレッタ。アメリカでは「セプテンバー・ソ…
己を知るということは難しい。 井上靖の晩年、ノーベル文学賞の発表のある時期、毎年井上を囲んで「まあだ会」という井上担当の編集者たちが作る会が開かれていた。井上靖がノーベル文学賞を受賞するのは「まあだかい」と待ちながら、受賞の知らせが届くのを…
中村稔の「中原中也私論」(思潮社)がすばらしい。これについては、三浦雅士が毎日新聞12月13日の書評で紹介している。 小林秀雄と中原と長谷川泰子の三角関係はいまや伝説だが、中原の戯曲「夢」は、小林と出会う前に中原が事件を予期していたことを示す。…
練馬区立美術館が菅原健彦展を開いている(12月27日まで)。菅原は1962年東京都練馬区生まれ。多摩美術大学日本画専攻に入学し、翌年西武美術館で横山操展を見て衝撃を受ける。その翌年ドイツのカッセルのドクメンタ8でアンゼルム・キーファーを見て衝撃を…
京橋のギャラリー・ビー・トウキョウで開かれている有留拓人展がすばらしい(12月19日まで)。 特にこの足を拡げた女性のヌードが白眉だ。120Fを2枚使っているキャンバスは高さが2m近く、幅が260cmの大きなサイズだ。このポーズはほとんどポルノグラフィを…
少し前のことだが、すごく下手な油彩画展を見た。そのDMハガキに美術評論家Y.S.さんが推薦文を書いていた。こんな下手な画家についてどう書いているのか興味を持った。推薦文は面白かった。そのタイトルが「原点回帰への人体裸婦像」、評論家としてのプライ…
エッソという石油会社が「エナジー」というPR誌を発行していた。評価の高かったこの雑誌の編集長が高田宏だった。高田のエッセイに、印刷会社の営業マンが校正記号を知らなくて苦労したと書かれていた。その営業マンは松原さんと言った。松原さんがかつて「…
鮮やかな深紅に紅葉したツタの葉だ。なぜこんなに鮮やかに色づいたのか? このツタは鉢植えだ。露地植えのものと異なり生育環境が厳しい。今年も早くに紅葉し落葉した。しかしその後暖かい日が続いて芽が動き、こぢんまりとだが葉も茂った。つるさえ伸びた。…
写真は12月13日(日)の墨田区花と緑の学習園で撮影したフキノトウ、もうたくさん出ていた。まだ冬が始まったばかりだというのにどうしたことだろう。 もしかしたら、意地悪なまま母にフキノトウを摘んでこいと言われて困っていたまま娘を見かねて、また12月…
高橋悠治「きっかけの音楽」(みすず書房)より。 モロッコの未来学者Mahdi Elmandjraのサイトで、こんな小話を見つけた 異文化交流にうってつけの実例(原文は英語) 最近行われた国連による世界調査に次のような質問があった 世界の他の地域における食糧不…
ギャラリー現で井上修作展が開かれていた(11月12日まで)。画廊の床一面に白いロープが渦を描いて置かれている。ロープには数字が書かれている。画廊の片隅には丸く巻かれたロープが置いてある。横の壁には無数の数字が書かれた紙が貼られている。これらは…
面白い話を聞いた。F通は元々スーパーコンピュータの開発を行ってきた会社。スーパーコンピュータは受注生産で製品を発注した顧客と1対1で向き合う。製品のバラツキは絶対に許されない。不具合のない完全な製品をつくることが要請されている。それが企業の…
早速きのうの続きを。 翌朝11時近く、イチは又しても電話をかけてきたが、おろおろと一向に容量をえん。昨日たしかめた弁護士に電話してみると、相手は、あと300万よこせ、今日の日まで焦らしたのは怪しからんの一点張りで、これ以上、手の打ちようもないと…
野見山暁治「続アトリエ日記」(清流出版)を読むと、2007年12月13日と14日の項に、旧友に頼まれてお金を振り込んだ話が語られている。最初200万円を振り込み、翌日また300万円を振り込みそうになってアシスタントに止められたという。 そして翌年2008年3月…
今まで4人の画家に私を描いていただいた。山本弘、増山麗奈、原佐絵子、安田薫の方々だ。 まず山本弘。1968年の作品。会社の女子社員からゾンビと評された。山本弘の作品解説(13)「青年」(2008年3月11日)に紹介した。 増山麗奈さんの作品。かなり過激…
マンションの玄関にカラスがうずくまっていた。よく見るとすでに死んでいる。どうしたのだろう。玄関のガラスのドアに何かがぶつかった跡がある。黒い羽毛がびっしりとこびりついている。微かに血も飛び散っている。おそらくガラスに気付かないでカラスが激…
世界的に著名なピアニスト、レオン・フライシャーはある時突然局所ジストニアが発病する。ピアニストでありながら右手の自由が奪われる。もう演奏ができなくなる。彼は教育の場に活動を移した。しかし練習は続けていたという。35年後病気から回復する。完全…
近所の公園にムベが植えられている。ムベはアケビ科のつる性木本で似たような実がなるが、アケビと異なり熟しても裂開しない。つまり割れないのだ。アケビが落葉なのに対してムベは常緑、しばしば垣根などに植えられている。アケビは子供の頃しばしば食べた…
12月2日平山郁夫が脳梗塞で亡くなった。1930年6月15日生まれだったから享年79歳。日本画の世界で極めて評価が高い画家だった。特に画商の評価が高かった。作品の値段は軽く億を超えただろう。 このように作品の値段が高額の画家が亡くなるとどうなるのか。…
どなたか教えていただきたいことがある。 もう10年来の疑問なのだが、「取りにうかがいます」という言い方について、その正誤を知りたい。 「〜うかがいます」だったら「頂きにうかがいます」ではないのだろうか。あるいは「頂きにまいります」とか、「頂き…
朝日新聞の書評に興味深いことが書かれていた。ベストセラーの山本千尋「バンド1本でやせる! 巻くだけダイエット」(玄冬舎)に関するものだ。評者は佐々木俊尚。 フードデザート(食の砂漠)という言葉がある。都市環境の変化と格差社会進行によって、生…
立花隆・佐藤優の「ぼくらの頭脳の鍛え方」(文春新書)が売れている。副題が「必読の教養書400冊」で、それはすごいブックリストだ。同時にここで語られるエピソードが面白い。 佐藤 立花さん、蔵書数はどれくらいあるんですか? 立花 地下1階、地上3階の…