山本弘

山本弘のデッサン2点

『山本弘遺作画集』に山本のデッサンが掲載されている。鳥を描いたものは1966年、自画像は1970年の作で、自画像は40歳の時のものということになる。 1966年は愛子と結婚した年、1970年の翌年長女の湘が生まれている。 鳥 自画像

山本弘へのオマージュ

もう40年近く前になるが、『山本弘遺作画集』に菅沼秀雄さんが「山本弘へのオマージュ」と題して追悼文を寄稿してくれた。菅沼さんは山本の小学校の同級生。私が紹介されたとき、魚問屋の専務だった。 以下、菅沼秀雄さんの投稿全文。 ・ 小学校が山本弘との…

山本弘の作品解説(111)「箱」

山本弘「箱」、油彩、F10号(天地45.5cm×左右53.0cm) 1976年制作、山本弘46歳の晩年の作品。ワシオトシヒコさんが雑誌『美庵』に紹介してくれたことがある。私も山本が身近な箱を描いたと思っていた。ところがある人が、この絵は何を意味しているのか考えな…

山本弘の作品解説(110)「ばら」

山本弘「ばら」、油彩、F8号(45.5cm×37.8cm) 1966年5月制作、山本34歳のときの作品。やや初期に属する。裏面に名刺が貼付されていて、¥16,000とあるから16,000円で販売したらしい。現在の貨幣価値では5倍として8万円になる。 晩年の作品と違って分かり…

山本弘の絶交状

1976年9月の山本弘個展にカミさんと二人で参加した。その時、山本さんが奥さんの愛子さんにDVを働いた。東京へ帰ったあと、カミさんが愛子さんに手紙を書き、弘さんのDVを批難した。間もなく弘さんから手紙が来て、それはカミさんへの絶交状だった。 人間と…

『映画芸術』2022年春号「恩地日出夫、追悼」を読む

『映画芸術』(NO.479)2022年春号「恩地日出夫、追悼」を読む。恩地監督は2022年1月20日に亡くなった。享年89歳、あと2日で90歳だった。多くの映画人が追悼の言葉を寄せている。 黒沢年男は、自分は若いけど人を見る目はあった方だと言って、恩地さんに対…

山本弘の詩

ここに山本弘の詩集『ありぢごく』第1集がある。発行は55年秋とあるから、山本弘25歳の時だ。そこから何編か紹介する。 (ひきはがされた夢が) ひきはがされた夢がさめきらぬうちに どろにまつわれつかれた足をそのまゝ 冷たい床の中になげ出して 逆上した…

山本弘の絵画の特質について

来る6月15日は山本弘生誕92年の誕生日になる。これを機に山本弘の絵画の特質について書いてみたい。 山本弘の絵画を理解するキーワードは3つある。「アル中」「アンフォルメル」「象徴派」だ。まず、アル中について。山本弘は15歳で終戦を体験し、それまで…

山本弘の作品解説(109)(題不詳)

山本弘(題不詳)、油彩、F10号(45.4cm×53.0cm) 制作年不明、サインなし、実は絵の天地も不明。木枠の下端に当るキャンバスに汚れが付いているので、その辺を下とした。制作年代もタイトルもサインも付いていないのは最晩年にときどき見られる。これもやは…

山本弘のカット

長野県飯田市に『橋』という同人誌がある。昭和32年創刊だから、もう65年の歴史を持っている。昨年11月に第73号が発行されている。その創刊号に山本弘がカットを描いている。山本27歳の仕事だ。それを紹介する。

山本弘の作品解説(108)「自画像」

山本弘「自画像」、デッサン 1971年制作、山本弘41歳。まだ2度目の脳血栓は起きていない。その分、手足の自由はそこまで損なわれていなかったのだろう。描写は正確でまさにこの通りの姿だった。珍しく鏡を見て描いているのではないか。人と対峙しているとき…

山本弘の作品解説(107)「ぼーし」

山本弘「ぼーし」、油彩、F3号(27.3×22.0cmか?) 1977年制作、山本弘47歳。帽子をかぶっている若い娘を描いている小品。クリーム色の絵具で顔の輪郭を描き、同じ色で鼻を描いている。左腕にもその色を置いている。娘はつばの広い帽子をかぶり、その帽子の…

山本弘の作品解説(106)「行列」

山本弘「行列」、油彩、F50号(116.7×91.0cmか?) 制作年不詳。1968年に山本と飯田市中央公民館から上郷村(当時)の山本の自宅まで二人がかりで手に持って運んだ記憶がある。だからその直前あたりの制作だろう。山本30代の作品。中期の代表作といえる。 「…

山本弘の作品解説(105)「人柱像」

山本弘「人柱像」、油彩、(83.0×63.1cm) 昭和27年(1952年)制作。山本弘22歳。ごく若いころの作品だ。当時の作品はあまり残っていないから貴重だ。裏面に紙が貼られていて、次のように書かれている。 行くやかたもなく 帰る床も知らず 只酔ひ痴れて ぬば…

山本弘の作品解説(104)「日々酔如泥」

山本弘「日々酔如泥」、油彩、M10号 昭和46年(1971年)制作。山本弘41歳。文字通り酒におぼれている自分自身を戯画化して描いている。本作は飯田市美術博物館所蔵となっている。しかし所蔵されている作品と少し違うところがある。所蔵されているものには左…

山本弘の作品解説(103)「雪景」

山本弘「雪景」、油彩、F4号(24.2cm×33.3cm) 制作年不詳。この作品を撮影したのは40年以上前になる。ポジフィルムで撮影したのであまり退色していない。30年ほど前当時勤めていた会社の応接に飾っていたら、落花生研究者の方が買ってくれた。絵を買うのは…

山本弘の作品解説(102)「ひまわり」

山本弘「ひまわり」、油彩、F4号(24.2cm×33.3cm) 制作年不詳。実は30年近く前買ってくれた人がいて、それ以来見る機会を失った。これも古い写真からスキャンしているが、色はかなり濃くなっているのではないか。 このひまわりは枯れかけているのだろう。…

山本弘写真集

今日は40年目の山本弘祥月命日だ。山本は1981年7月15日に亡くなった。享年51歳。 命日を記念して山本弘のポートレートを紹介する。 まず1966年10月、山本36歳。赤石林道でスケッチとある。撮影者不明。 自宅前にて、1973年9月、山本43歳。撮影は私。 家族…

六本木ストライプスペースの「凸凹な多面体:星埜恵子の仕事 1970-2021」と、併催されている「池田龍雄(1928-2020)いつも近くに、そしていつまでも」を見る

東京六本木の六本木ストライプスペースで「凸凹な多面体:星埜恵子の仕事 1970-2021」と、併催されている「池田龍雄(1928-2020)いつも近くに、そしていつまでも」が開かれている(7月15日まで)。 「凸凹な多面体」は舞台美術家として1970年にデビューし…

過疎の村、大平集落

新潮社の「とんぼの本」シリーズに『信州かくれ里 伊那谷を行く』という本があり、そこに「大平峠」という項目がある。大平峠は長野県の飯田市と木曽を結ぶ大平街道の途中にあり、そこに大平集落があった。それについて、 なまこ壁のある大きな土蔵、太さ40…

山本弘の作品解説(101)「どんど」

山本弘「どんど」、油彩、F4号(24.2cm×33.3cm) 制作年不詳。実は30年近く前買ってくれた人がいて、それ以来見る機会を失った。これも古い写真からスキャンしているが、色はかなり濃くなっているのではないか。 「どんど」はどんど焼きのこと。正月明けに…

山本弘の作品解説(100)「題不詳」

「題不詳」1976年制作 山本弘「題不詳」、油彩、F10号(45.5cm×53.0cm) 1976年10月制作、46歳のときのほとんど最晩年の作品。何が描かれているのだろう。左下に「ヒロシ」のサイン。片仮名のサインは珍しいが時々書かれている。 実はほとんど同じ構図、同じ…

山本弘の特質

わが師山本弘について、その作品に分からないことが少なくなかった。それがここ半年理解が深まった気がする。さて、山本弘の特質を3つのキーワードで表せば次のようになるだろう。 それは、「アンフォルメル」「象徴派」「アル中」である。山本は終戦時15歳…

山本弘の作品解説(99)「重い手足」

重い手足 山本弘「重い手足」、油彩、F12号(60.8cm×50.0cm) 1977年制作、47歳のときのほとんど最晩年の作品。題名から2度の脳血栓の後遺症による不自由な手足、つまり自分のことを描いている自画像だと分る。足はいいつも引きずっていたし、手も不自由だっ…

中村隆夫『象徴主義』を読む

中村隆夫『象徴主義』(東信堂)を読む。美術の象徴主義について知りたくて本書を選んだ。副題が「モダニズムへの警鐘」とあるように、中村はヨーロッパ近代の象徴主義を印象主義等モダニズムへの対抗として捉える。そして象徴主義には決まった様式がないと…

山本弘の作品解説(98)「幼」

山本弘「幼」、油彩、F12号(60.6cm×50.0cm) 1978年制作、48歳のときのほとんど最晩年の作品。最後に到達した境地と言えるだろう。 実はキャンバスが貼られている木枠が割れていてキャンバスが歪んでいた。そのためまだ一度もじっくり見たことがなかったし…

信濃毎日新聞に紹介された山本弘

長野県安曇野市にギャルリー留歩(るぽ)という画廊がある。いまここで「栗原一郎展 おんなを描く」が開かれている(7月31日まで)。その一隅に山本弘『湘(しょう)』が特別展示されている。油彩3号(27.3×22.0cm)、1974年制作。湘は山本弘の一人娘、この…

山本弘生誕90年

昨日6月15日は山本弘の誕生日だった。生誕90年となる。 ・ 山本弘を偲んで、暮沢剛巳『現代美術のキーワード100』(ちくま新書)を手に取った。購入したのは11年前、しかしこれは一種の事典だから興味のあるところだけ拾い読みしてきた。今回初めて「アンフ…

山本弘の評価

山本弘に関して何人もの評論家や新聞雑誌記者が語ってくれたが、ダントツに優れていたのは針生一郎さんだったと思う。海外の新しい美術潮流や運動に関しては中原佑介や東野芳明の方が適任だったかもしれないが、絵画を見る眼は針生さんがダントツだった。 山…

山本弘に影響を与えた画家

私が初めて山本弘に会ったとき、山本は37歳だった。その時山本が好きだと言った画家は、モジリアニ、スーチン、ゴッホ、そして長谷川利行だった。長谷川については豊橋に住む友人の画家山本鉄男にもらったという分厚い画集を持っていた。後日東京ステーショ…