宗教

松尾剛次『日蓮』を読む

松尾剛次『日蓮』(中公新書)を読む。日蓮宗を開いて法華経の信仰を説いた。新宗教の霊友会、立正佼成会、創価学会もみな日蓮系だ。 日蓮は他宗に対して激しく攻撃的だった。それは創価学会の折伏を経験して私も多少は知っていた。しかしここまで攻撃的だっ…

沖田瑞穂『世界の神々100』を読む

沖田瑞穂『世界の神々100』(ちくま新書)を読む。著者はインド神話、比較神話が専門のようで、神話に関する多くの著書がある。 本書は全部で7つの章があり、「主神」、「戦神・英雄神」、「豊穣神」、「女神」、「技巧神・医神」、「トリックスター」、「…

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』を読む

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』(角川ソフィア文庫)を読む。50年以上前に出版されて当時大きな話題になった書。その後イザヤ・ベンダサンを名乗る著者がユダヤ人などではなくて山本七平だということがばれてこれまた話題になった。しかし人気は衰…

吾嬬神社と亀戸石井神社に初詣に行く

墨田区の吾嬬神社と江東区の亀戸石井神社に初詣に行く。私見ではどちらも東京で最も古い神社だと思われる。しかし往時の栄光はとうに廃れ、どちらにも専任の宮司はいないし、初詣の参拝客もほとんど見かけない。近くの江東区の香取神社や亀戸天神は参拝客が…

橋爪大三郎『死の講義』を読む

橋爪大三郎『死の講義』(ダイヤモンド社)を読む。「はじめに」で「この本は、死んだらどうなるかの話です」と書かれている。橋爪は必ず訪れる「死」に対応するために世界各地の宗教を解説していく。世界の宗教を大きく分けて、一神教(ユダヤ教、キリスト…

橋爪大三郎『アメリカの教会』を読む

橋爪大三郎『アメリカの教会』(光文社新書)を読む。副題が「“キリスト教国家”の歴史と本質」というもの。 アメリカの教会は独特で、まず教会の種類が多い。それに対してヨーロッパは、ある地域にはある教会と決まっている。ウエストファリア条約(1648年)…

並木浩一・奥泉光『旧約聖書がわかる本』を読む

並木浩一・奥泉光『旧約聖書がわかる本』(河出新書)を読む。旧約聖書学者の並木とその教え子で作家の奥泉との対談集。奥泉は大学で旧約聖書をテキストに学生たちに教えてもいる。 「対談形式による旧約聖書の概説書」とまえがきで奥泉が書いているとおり、…

釈徹宗『天才 富永仲基』を読む

釈徹宗『天才 富永仲基』(新潮新書)を読む。副題が「独創の町人学者」とある。富永仲基は、江戸時代17世紀に大阪に醤油醸造業の息子として生まれ、懐徳堂に学んだが、病気のため31歳で亡くなっている。 何冊かの著書があるが、現在まで伝わるのは『出定後…

ツルティム・ケサン、正木晃『増補 チベット密教』を読む

ツルティム・ケサン、正木晃『増補 チベット密教』(ちくま学芸文庫)を読む。本書裏表紙の惹句から、 インド仏教の本流を汲むチベット密教は、解脱への手段として、長らくタブー視されていた「性」まで取り込んだため、興味本位による憶測と恣意的な解釈が…

「空有」という思想

東京墨田区立花一丁目1番地に吾嬬神社がある。祭神は弟橘姫、ヤマトタケルの妃だ。ヤマトタケルが浦賀水道を船で横断するとき嵐で船が難破しそうになった。弟橘姫が海に身を投げて海神の怒りを鎮め無事ヤマトタケルが岸に着いたという。その後流れ着いた弟橘…

江戸川区平井の天祖神社に参拝する

旧中川に沿って散歩していると、小ぶりだが趣のある神社があった。天祖神社だ。神社は小さいが建物は奥に深くなかなか優雅な建築だ。 江戸川区の教育委員会が設置したプレートが建てられている。それによると、 天祖神社 旧平井村の鎮守で1874年(明治7)に…

藤田一照・伊藤比呂美『禅の教室』を読む

藤田一照・伊藤比呂美『禅の教室』(中公新書)を読む。副題が「坐禅でつかむ仏教の真髄」とあり、曹洞宗の僧侶である藤田が詩人の伊藤と禅について対談したもの。藤田は大学院を中退して禅の修行道場に入門し、6年後の1987年に師の命を受けて渡米、アメリカ…

『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』を読んで

島田裕巳『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』(幻冬舎新書)を読む。タイトルが幻冬舎らしいケレン味たっぷりなものだが、著者の島田は真面目な宗教学者だ。神社本庁が行った「全国神社祭祀祭礼綜合調査」の結果、全国の神社を多い順に並べると、1位 …

元日の吾嬬神社

東京墨田区立花一丁目にある吾嬬神社へ初詣に行った。元旦の朝8時頃行ったのだが他に参拝客は一人もいなかった。小さな神社で周囲はアパートが建ち並び神社には専任の宮司もいないし常駐もしていない。 しかし私見ではここは関東でも最も古い神社に違いない…

東京江東区亀戸の貧乏神神社

飯田市に貧乏神神社がある。そのホームページから、 貧乏神神社は長野県飯田市に1998年に建立致しました。訪れる方の心を癒し、元気を与えて早11年です。ユニークな神社としてテレビ取材は47回を超えました。『貧乏とはお金のことではない!こころの問題です…

日本仏教の特異性を知った

日本人は今でも戦没者の遺骨収集を行っている。遺骨や墓にこだわるのは日本人に特有のようだ。そのことを私は今枝由郎「ブータン仏教から見た日本仏教」(NHKブックス)で知った。チベット〜ブータンは現在最も原始的な仏教が残っている地域だ。 葬式のあと…