2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

始弘画廊の工藤政秀展「記憶の森」を見る

東京南青山の始弘画廊で工藤政秀展「記憶の森」が開かれている(4月7日まで)。工藤は1952年香川県生まれ、1974年に東京造形大学を卒業している。工藤の文章を引く。 大学卒業後、抽象作品を個展(日辰画廊・ギャラリー葉等)やグループ展を中心に発表する。…

丹羽文雄『小説作法』を読む

丹羽文雄『小説作法』(講談社文芸文庫)を読む。裏表紙の惹句から、 瀬戸内寂聴、吉村昭、河野多恵子、津村節子、新田次郎ら錚々たる作家を輩出した同人誌『文学者』を主宰し、文壇の大御所として絶大な人気を博していた昭和20年代後半『文學界』に連載され…

上村佳孝『昆虫の交尾は、味わい深い…。』を読む

上村佳孝『昆虫の交尾は、味わい深い…。』(岩波科学ライブラリー)を読む。昆虫の交尾器を中心に研究を行っている昆虫学者が、ある意味専門的な内容を面白く書いている。交尾をしている昆虫を液体窒素で瞬間凍結し、解剖して調べている。昆虫の交尾といって…

コバヤシ画廊の坂本太郎展がとても良い

東京銀座のコバヤシ画廊で坂本太郎展が開かれている(3月31日まで)。坂本太郎は1970年、埼玉県生まれ、2000年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了している。都内では2000年に当時早稲田にあったガルリSOL、2001年以降銀座のフタバ画廊や小野画廊、ギャ…

山本弘のスゴい絵

以前山本弘論を書いてくれた画家の奥村欣央氏が自身のブログに山本弘について書いてくれた。 俺など、まだ絵で色や形を追っているから、アマチュアである。山本弘の一番スゴい絵は、何も対象が描かれていない。すべてイメージを放棄しながら「重さ」が絵に定…

春の彼岸の花

春の彼岸が昨日終わった。だから正確には春の彼岸の翌日の花。 ユキワリソウ(雪割草) シュンラン(春蘭) ユキワリイチゲ ベニシダレ(紅枝垂れ) ハナモモ(花桃) ハナニラ(花韮) ハラン(葉欄) ユスラウメ(山桜桃梅) トサミズキ(土佐水木) クリ…

アントニオ・タブッキ『島とクジラと女をめぐる断片』を読む

アントニオ・タブッキ『島とクジラと女をめぐる断片』(河出文庫)を読む。大西洋に浮かぶアソーレス諸島を舞台にした奇妙な短篇集。アソーレス諸島の住民は捕鯨を主な産業にしていた。本書は島の周辺を回遊する鯨のことや、観光客のこと、島の捕鯨について…

平松洋『クリムト』を読む

平松洋『クリムト』(角川新書)を読む。クリムトについて、カラー図版をたっぷりと使った解説書。全体の3分の2を占める150ページ近いカラーページが表すようにクリムト画集とも言えそうな豪華版だ。ただしその分文章は少ないわけだが。 とはいえ、若いころ…

ジェイムズ・ロード『ジャコメッティの肖像』を読む

ジェイムズ・ロード『ジャコメッティの肖像』(みすず書房)を読む。ロードはアメリカの美術評論家でエッセイスト。本書は今年の正月に見た映画『ジャコメッティ』の原作だった。映画について私はブログに紹介した。その一節を引く。 ……ジャコメッティが世界…

トキ・アートスペースの正親優哉展「なみいたとかえる」を見る

東京港区外苑前のトキ・アートスペースで正親優哉展「なみいたとかえる」が開かれている(3月25日まで)。正親は1987年東京生まれ。2010年に日本大学芸術学部美術学科彫刻コースを卒業している。2011年ギャラリーKINGYOで初個展、2016年には新宿眼科画廊で個…

スミレ開花

バレンタインの日にベランダのスミレが開花した。19日にはずいぶんたくさん花を開いた。 いま住んでいるベランダは南向きなのでスミレが開花する。むかし住んでいた公団住宅は西向きだったのでスミレはまったく花開かなかった。つぼみはたくさんできるが、す…

STEPSギャラリーの日影眩展「ニューヨークから東京へ」を見る

東京銀座のSTEPSギャラリーで日影眩展「ニューヨークから東京へ」が開かれている(3月24日まで)。日影は1936年兵庫県生まれ、1976年に法政大学文学部哲学科を卒業している。1994年から2016年までニューヨーク在住、その後東京に住んでいる。1980年に田村画…

堀江敏幸『おぱらばん』を読む

堀江敏幸『おぱらばん』(青土社)を読む。『ゼラニウム』同様先輩からいただいたもの。堀江が32歳くらいから雑誌『ユリイカ』に連載した短篇集。すべて14ページほどの短篇が15篇収められている。『ゼラニウム』より4年ほど前に書かれたもので、堀江最初期の…

堀江敏幸『ゼラニウム』を読む

堀江敏幸『ゼラニウム』(朝日新聞社)を読む。先輩からこの人の文章は良いよと言っていただいたもの。堀江を読むのは初めてじゃないだろうか。頂いたのは半年前になるが、どうしても返却期限がある借りた本が先になって、また自分で購入した本ほどの動機も…

新宮一成『ラカンの精神分析』を読む

新宮一成『ラカンの精神分析』(講談社現代新書)を読む。これが大変難しかった。もともと16年前に購入し、すぐに読んでいた。当時も難しくてよく分からなかったと思う。傍線を引いた部分が1か所だけで、「文化勲章のような装置が存在するのは、芸術の上にも…

ギャラリーTOMで若江漢字展を見て、若江と水沢勉の対談を聴く

東京渋谷のギャラリーTOMで若江漢字展が開かれている(4月5日まで)。それを記念して3月11日に若江と神奈川県立近代美術館館長の水沢勉との対談があった。テーマはデュシャンの「大ガラス」の解読についてだった。個展のちらしから、ギャラリーTOM名で記され…

林洋子『藤田嗣治 手紙の森へ』を読む

林洋子『藤田嗣治 手紙の森へ』(集英社新書)を読む。藤田の手紙を中心にして藤田の一生を追っている。集英社新書ヴィジュアル版というのが正式名称のシリーズの1冊で、名前のとおり多くのカラー図版を使っている。そのため定価が2割方高くなっている。手紙…

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』を読む

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』(岩波書店)を読む。著者は『薔薇の名前』で有名なイタリアの作家。本書は講演や雑誌などに掲載された時事評論的な論文5編を収めたもの。翻訳は1998年に出版されたが、現在品切れとなってamazonで古本に高値がついて…

須藤靖の予想する50年後の世界

東大出版会のPR誌『UP』3月号に、須藤靖のエッセイ「五〇年後の世界」が載っている。シリーズのタイトルが「注文(ちゅうぶん)の多い雑文 その41」となっている。年に数回掲載されていて41回なのだから、10年間くらい連載がつづいているのだろう。人気のほ…

ケンジタキギャラリーの塩田千春新作展を見る

東京西新宿のケンジタキギャラリーで塩田千春新作展が開かれている(3月10日まで)。いつものように天井から黒い糸が張り巡らされている。床に置かれているのはブラシの木の部分、毛が取り去られたブラシが積み重なっている。そこへ黒い糸が結び付けられて天…

Basement GINZAの市川孝典×鬼海弘雄展を見る

東京銀座のBasement GINZAで市川孝典×鬼海弘雄展が開かれている(3月9日まで)。DMはがきによると、市川は日本生まれの美術家で、13歳(ママ)の時に鳶職で貯めたお金をもってあてもなく単独でニューヨークへ渡り、アメリカやヨーロッパ各地を遍歴する間に絵…

奥村欣央の山本弘論

奥村欣央氏から山本弘論が寄せられた。題して「山本弘の塗りのこし」。これがとても興味深かった。 山本弘の塗りのこし 奥村欣央 「セザンヌの塗りのこし」という須之内徹のエッセイは読んでいない。しかし、ここは僕(オレ)の画家としての経験から話したい…

大岡信『日本の詩歌』を読む

大岡信『日本の詩歌』(岩波文庫)を読む。副題が「その骨組みと素肌」。大岡が1994年と1995年にフランスのコレージュ・ド・フランスで5回にわたって行った講演の原文。講演は仏訳してもらったものを大岡がフランス語で話した。 これが素晴らしい古典たる日…

ギャルリー志門の「壁をめぐるものがたり展」の林正彦が良い

東京銀座のギャルリー志門で「壁をめぐるものがたり展」が開かれている(3月10日まで)。「壁」をテーマに4人が参加している。矢坂晶一、林正彦、田中良、照山ひさ子の4人だ。そのうち林正彦の大作がおもしろかった。 林は1953年長野県飯田市生まれ、1977年…

原武史『松本清張の「遺言」』を読む

原武史『松本清張の「遺言」』(文春文庫)を読む。日本政治思想史学者の原が、松本清張の晩年の作品『神々の乱心』と『昭和史発掘』を分析している。『神々の乱心』は未完に終わった小説だが、原は「天皇制と昭和史という二つの大きなテーマを見事に接合し…

KAI-WAI散策というブログ

KAI-WAI散策というブログがある。 http://kai-wai.jp/ 毎日写真を撮って紹介しているブログだ。もう10年以上続けているのではないか。名前の通り主に東京の街角を撮っている。区ごとに分類されていて、多く取り上げられた区から順に数えると(3月3日現在で)…

写真ブログの試み

写真ブログを横浜逍遥亭さんやKAI-WAI散策さんに倣って始めてみようかと思って、試してみた。 蕎麦屋の看板(東京表参道) 窓(東京表参道) ブルックス・ブラザースのショーウインドウ(東京表参道) 古本屋の棚(東京高円寺) 国立科学博物館のシロナガス…

河内春人『倭の五王』を読む

河内春人『倭の五王』(中公新書)を読む。倭の五王とは中国の史書『宋書』倭国伝に記された讃・珍・済・興・武を言う。当時5世紀に日本から中国の天子へ書を送った王たちだ。そのことは『日本書紀』や『古事記』に記載がなく、5人の王たちは日本のどの天皇…