科学

森山徹『モノに心はあるのか』を読む

森山徹『モノに心はあるのか』(新潮選書)を読む。森山は以前『ダンゴムシに心はあるのか』(PHPサイエンス・ワールド新書)でダンゴムシにも心があると主張していた。本書ではさらに進んで石ころにも心があるとびっくりすることを書いている。 森山は心と…

虫明元『学ぶ脳』を読む

虫明元『学ぶ脳』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「ぼんやりにこそ意味がある」というもの。裏表紙の惹句より、 脳では様々なネットワークが常に切り替わりながら活動している。何もしていない時にも、脳は活発に活動する。その活動は、脳全体を統合…

藤井一至『大地の五億年』を読む

藤井一至『大地の五億年』(ヤマケイ新書)を読む。副題が「せめぎあう土と生き物たち」。藤井は土壌学、生態学の専門家。面白いからって人に勧められて手に取った。 藤井は世界中の土を研究している。スコップを持って土を掘り、それを分析している。地球が…

川端裕人『我々はなぜ我々だけなのか』を読む

川端裕人『我々はなぜ我々だけなのか』(ブルーバックス)を読む。副題が「アジアから消えた多様な「人類」たち」で、アジアには我々ホモ・サピエンスしかいないのはなぜかと問うている。現在はホモ・サピエンスだけだ。しかし直立原人や北京原人が存在した…

須藤靖の予想する50年後の世界

東大出版会のPR誌『UP』3月号に、須藤靖のエッセイ「五〇年後の世界」が載っている。シリーズのタイトルが「注文(ちゅうぶん)の多い雑文 その41」となっている。年に数回掲載されていて41回なのだから、10年間くらい連載がつづいているのだろう。人気のほ…

三木成夫『内臓とこころ』を読む

三木成夫『内臓とこころ』(河出文庫)を読む。35年ほど前に三木が保育園で行った講演を本にしたものの文庫化。単行本は1982年に出版されており、それが三木の処女作だったという。すぐ後に名著と評価の高い『胎児の世界』(中公新書)が出版されており、そ…

猛毒の植物キョウチクトウとキダチチョウセンアサガオ

『一冊の本』8月号(朝日新聞出版)に「世界の毒草 キョウチクトウ」というエッセイが載っていた。著者は植松黎。キョウチクトウが有毒植物だということは知っていたが詳しくは知らなかった。それによると、キョウチクトウの主な毒成分はオレアンドリンで、…

大沢文夫『「生きものらしさ」をもとめて』を読む

大沢文夫『「生きものらしさ」をもとめて』(藤原書店)を読む。生物物理が専門の名古屋大学・大阪大学名誉教授の生命論。毎日新聞に高樹のぶ子の書評が載っていた(7月9日)。 この本で一貫して著者が言いたかったことは「人間はゾウリムシと同じだ」とい…

齋藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』を読む

齋藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』(岩波科学ライブラリー)を読む。裏表紙に簡単な解説がある。 ヒトの子どもは円と円を組み合わせて顔を描く。でもDNAの違いわずか1.2%のチンパンジーにはそれができない。両者の比較からわかってきた面白いことは? キ…

『フェルマーの最終定理』を読む

サイモン・シン『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)を読む。フェルマーの最終定理は次のように書かれている。 (xのn乗)+(yのn乗)=(zのn乗) この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。 17世紀の数学者フェルマーが上記について、メモ…

『6度目の大絶滅』を読む

エリザベス・コルバート『6度目の大絶滅』(NHK出版)を読む。1年ほど前に養老孟司が毎日新聞に紹介していた(2015年5月31日)。 地球上からほとんどの生物がいなくなってしまう。そういう大事件が地質学史上でこれまで5回起こっている。これをふつう大絶…

人工知能のことなど

ソニーコンピューターサイエンス研究所の北野宏明が「人工知能が開く未来」というタイトルでインタビューに答えている(朝日新聞、2016年4月9日)。囲碁の世界でグーグル傘下の人工知能(AI)「アルファ碁」が世界のトッププロを4勝1敗で下した。今後はど…

『菌世界紀行』を読む

星野保『菌世界紀行』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「誰も知らないきのこを追って」といい、植物の病原菌である雪腐病の菌を世界各地に探して歩いた紀行文。雪腐病菌は他の菌類が活動できない低温の環境でも活動でき、積雪下で植物に寄生して枯ら…

『意識と無意識のあいだ』を読んで

マイケル・コーバリス/鍛原多恵子 訳『意識と無意識のあいだ』(ブルーバックス)を読む。副題が「”ぼんやり”したとき脳で起きていること」というもの。まえがきで著者が書いている。 私たちの心は日中のほぼ半分はどこかをさまよっているという証拠がある…

『脳には妙なクセがある』を読む

池谷裕二『脳には妙なクセがある』(扶桑社新書)を読む。巻末に欧文の参考文献が掲載されていて、その数が207もある。池谷は脳に関する膨大な学術論文を読み込んでそれらを簡潔に紹介している。逆に言えば池谷が綴っている脳に関する奇妙なトピックはいずれ…

『芸術脳の科学』を読む

塚田稔『芸術脳の科学』(講談社ブルーバックス)を読む。副題が「脳の可塑性と創造性のダイナミズム」。題名から創作が生まれる脳のメカニズムが書かれていると思って読み始めた。「第1章 脳と創造」「第2章 再現的世界の役者たち――特徴抽出」「第3章 情報…

養老孟司と林真理子の対談

『週刊朝日』に「マリコのゲストコレクション」という連載対談がある。林真理子が毎回異なるゲストと対談している。今回の相手は『バカの壁』の養老孟司だ(11月20日号)。『バカの壁』(新潮新書)はトータルで440万部売れたという。印税がすでに3億円を超…

『AIの衝撃』がおもしろい

小林雅一『AIの衝撃』(講談社現代新書)がとてもおもしろい。副題が「人工知能は人類の敵か」という少々過激なもの。最近、電王将棋でプロ棋士たちがコンピューターの将棋ソフトに負け続けている。その将棋ソフトが強くなったのはたくさんのデータから機械…

内臓に意識はあるか

福岡伸一『世界は分けても分からない』(講談社現代新書)に、「未だ実証されない思考実験にすぎないのだけれども」と言いながら、「どこかから密かに見つめられているとき、私たちはその気配をすばやく感受できる」ということについて考えている。カメラの…

クリストフ・コッホ『意識をめぐる冒険』を読む

クリストフ・コッホ/土谷尚嗣・小畑史哉 訳『意識をめぐる冒険』(岩波書店)を読む。大変刺激的な読書だった。コッホはカリフォルニア工科大学生物物理学教授でアレン脳科学研究所所長。本書は脳科学研究における意識についてかなりやさしく語っている。意…

『日本の原子力施設全データ』を読む

北村行孝・三島勇『日本の原子力施設全データ』(講談社ブルーバックス)を読む。副題が「どこに何があり、何をしているのか」とある。「はじめに」に本書の目的が書かれている。 ともすれば敬遠されがちな原子力の基本的な知識をおさらいし、国内にどのよう…

笠井献一『科学者の卵たちに贈る言葉』を読む

笠井献一『科学者の卵たちに贈る言葉』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「江上不二夫が伝えたかったこと」とあり、江上不二夫をWikipediaで検索すると、 江上 不二夫(1910年11月21日 - 1982年7月17日)は日本の生化学者。戦後日本の生化学を牽引した…

『仲間とかかわる心の進化』を読む

平田聡『仲間とかかわる心の進化』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「チンパンジーの社会的知性」となっており、チンパンジーを対象に、社会的知性の発達を研究した成果を報告している。「はじめに」から、 ……社会的知性とは、仲間との暮らし、仲間と…

人間原理が語られている!

青木薫『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』(講談社現代新書)を読む。副題が「人間原理と宇宙論」、つまり人間原理を語った本だ。人間原理の主張については「まえがき」に、次のように書かれている。 宇宙がなぜこのような宇宙であるのかを理解するためには…

井ノ口馨『記憶をコントロールする』を読む

井ノ口馨『記憶をコントロールする』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「分子脳科学の挑戦」。朝日新聞の書評欄で福岡伸一が推薦していた(6月30日)。福岡の書評から、 ……私たちが何かを体験すると、脳の海馬でシナプスが回路を作る。それが記憶の元…

ルイーズ・バレット『野性の知能』を読む

ルイーズ・バレット/小松淳子・訳『野性の知能』(インターシフト)を読む。副題が「裸の脳から、身体・環境とのつながりへ」といい、これが内容を表している。きわめて興味深い内容だった。だが、同時に読みづらい本でもあった。それは内容が難しいためと…

須藤靖『主役はダーク』という怪しい本

須藤靖『主役はダーク』(毎日新聞社)というちょっと怪しい本を読む。副題が「宇宙究極の謎に迫る」というもの。朝日新聞に川端裕人が書評を書いていた(6月30日)。 『主役はダーク』は破格の科学エッセイだ。最新の天文学、宇宙物理学を独特の諧謔を交え…

『動物に魂はあるのか』を読んで

金森修『動物に魂はあるのか』(中公新書)を読む。著者はフランス哲学、科学思想史が専門の人。本書のテーマは「動物霊魂論」、まずアリストテレスから始まる。アリストテレスは、静物の霊魂を3つに分類する。 1.栄養的霊魂−−植物がもつもの。栄養、滋養…

『脳はなにを見ているのか』を読んで

藤田一郎『脳はなにを見ているのか』(角川ソフィア文庫)を読んだ。最初に開いた口絵の図に見覚えがあった。調べてみると2007年に読んでいた。その年、『「見る」とはどういうことか』(化学同人)として単行本として発行されたのだった。今回文庫化されて…

『からだの中の外界 腸のふしぎ』を読んで思ったこと

上野川修一『からだの中の外界 腸のふしぎ』(ブルーバックス)を読んだ。腸がからだの中にある外界だという主張に惹かれて読んだのだが、期待は半ば外されてしまった。「からだの中の外界」という副題から、脳とは別のコントロールセンターについて詳しく語…