2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

銀座にシロアリのスウォーミングを見る

4月29日の休日は例によって画廊を回る。銀座から始めてすぐにシロアリのスウォーミングに出逢う。何やら虫がたくさんゆっくり飛んでいるので、これはシロアリのスウォーミングではと近くを探すと、コンクリートの割れ目から沢山の羽アリが出てくるところだ…

南極1号について私が知っている二、三の事柄

読売新聞4月27日の書評欄に春日武彦による高月靖「南極1号伝説」(バジリコ)の書評が掲載されていた。 書名の南極1号とは、少なくとも中年以上の男性にとっては伝説と化している名称である。第1次南極越冬隊が、若い隊員のため性欲処理人形=ダッチワイ…

葬式の仕来りを皆知らない

葬式の仕来りをだいぶ誤解していたようだ。私だけでなく、日本人一般が。藤枝静男「私々小説」より (母が)死んで住持が枕経をあげに来たとき、綺麗に磨いて遺骸の胸に乗せておいた果物ナイフは法にかなわなぬから剃刀を出せと命令された。手当たり次第に家…

「マトリックス」のオリジナルは?

SF

「マトリックス」や「攻殻機動隊」「ブレードランナー」のアイデアである「脳だけの存在になった人間とコンピュータを結んでバーチャルな体験を実人生だと思わせているというストーリー」はスタニスワフ・レムや筒井俊隆がオリジナルだと以前書いた(id:mmpo…

外神田の食べ物屋

秋葉原駅の北側を外神田と言って、昔は青果物市場があった。その跡地がいまは新しいビル街になっている。これはまだ青果物市場があった頃の話。外神田の北端近くにお昼サラリーマンで一杯になる古そうな食堂があった。数種類の定食を出していたが、どの客に…

講談社現代新書のデザイン

講談社現代新書のブックデザイン(装幀)が変わっていた。長らく杉浦康平のデザインが採用されていたが、去年だったか中島英樹のシンプルなものに一変した。表紙に赤や青や緑などの大きな四角を配置し、背に同じ色を敷いてタイトルの黒い文字を乗せた。色が…

片山杜秀「近代日本の右翼思想」

片山杜秀「近代日本の右翼思想」(講談社選書メチエ)が面白かった。以前佐藤卓己が本書について次のように書いていた。 本書は掴みどころのない右翼思想の全体像をあざやかに切り取った挑戦的な思想史。構成と文体の見事さは芸術的。 目次から 第1章 右翼…

3人のマル

マルという名前から連想するものはふつう映画監督のルイ・マルだったり、ジャズピアニストのマル・ウォルドロンだったりする。ソ連の言語学者ニコライ・マルを思い出す人もいるかもしれない。 ルイ・マルはフランスヌーヴェル・バーグの映画監督で、「死刑台…

安富桜が樹齢450年になった

久しぶりに飯田市美術博物館の前庭にある安富桜を見てプレートの文字を読んだら、以前は樹齢350年と書かれていたのに、いっきょに樹齢450年となっていた。1年ぶりに見たつもりだったのに、知らない内に100年経っていたらしい。そういえば美術館の受付の娘も…

タイピングの重要性についての疑問

ル・クレジオ「調書」のまえがきから、 こんな風に理論をいくつも積み上げてしまって申し訳ありません。こういう自惚れは、今日いささかはやりすぎているものです。私が訂正したあとにもまだ文中に残っているかもしれない。ぴったりしない表現や誤植について…

群馬県立近代美術館と川村記念美術館

4月8日朝日新聞夕刊に「新生美術館を味わう」という記事が載っていた。群馬県立近代美術館と千葉の川村記念美術館が改築・増築したという記事だ。群馬では採光と照明設備を改善し、展示室が明るく開放的になったという。川村は企画展示ホールを増設し「バ…

加藤泉、苦節15年ののちの栄光!

表参道のスパイラルホールで津上みゆき展を見た。その中の2点ほどが昔の加藤泉を連想させた。加藤泉は昨年のベネチア・ビエンナーレに出品し、また新しくオープンした新富町のギャラリーARATANIURANO(アラタニウラノ)のオープニングの個展初日で3,000万円…

淡々と語られる成功譚「現代アートビジネス」の不思議

発行されたばかりの小山登美夫の「現代アートビジネス」(アスキー新書)を読む。著者は村上隆、奈良美智を擁する小山登美夫ギャラリーのオーナーである。現代美術のギャラリーとしてはトップクラスといえるだろう。大学卒業後ギャラリーでのアルバイトから…

中西夏之展の展評

先日来紹介してきた中西夏之展について朝日新聞(4月16日夕刊)に田中三蔵の展評が掲載された。その一部を紹介する。 掲示板や図録にある画家の言葉を勘案すると、中西は、絵画を、自らの背後にあるとイメージする無限に巨大な円と、別の世界との「edge(縁…

毎日新聞に紹介された俳句のこと

4月13日付けの毎日新聞の読書欄「今週の本棚」に俳句が小さく紹介されていた。まず装幀家が本業の間村俊一の「句集 鶴の鬱」(角川書店)から (間村の)句柄には、この世とあの世のあわいに遊ぶかのごときものがある。 天上に瀧見しことや鶴の鬱 かりがね…

外国文学の初版は三千部

また、「考える人」2008年春号の「特集 海外の長編小説ベスト100」から、加藤典洋、豊崎由美、青山南の3人の対談。 豊崎 以前、「文学界」の企画で、各社の海外文学の編集をしている方にインタビューさせていただいたんですが、みなさん共通して、海外文学…

画家の言葉ーー中西夏之の絵画論から

中西夏之の絵画論は本当に難しい。以下はその絵画論の一部だ。 南方の海上生活者が、海の水平面に模して、彼らの簡素な住居の床を海上面に水平に張っているように、この地上は固い岩盤の上にあるのではなく、幾層もの膜の重なりであり、それを大地と安定的に…

松濤美術館で中西夏之展が始まった

渋谷区立松濤美術館で中西夏之新作展が始まった。東京オリンピックの頃、中西は高松次郎、赤瀬川原平と3人でハイレッドセンターという名前で都内でハプニング=パフォーマンスを繰り返した。白衣を着て銀座の清掃をしたり、何やら無意味な行為を繰り返して…

ル・クレジオ「調書」発売の頃

「考えるひと」2008年春号が「特集 海外の長編小説ベスト100」だ。それを検証する座談会が載っている。加藤典洋、豊崎由美、青山南の3人だ。なかにル・クレジオ「調書」に関する言及がある。この本は私が高校3年の時に日本で翻訳出版されてすぐに買い、そ…

アポリネール「一万一千本の鞭」

先日、代々木画廊へ林アサコ絵画展を見に行ったら、アポリネールの「一万一千本の鞭」の挿絵として描かれたイラストが展示されていてこれが何ともセクシーだった。この本はまだ読んだことがなかったので、こんなにセクシーな内容なの? と作家に聞いた。そう…

スミレとシロバナタンポポ

シロバナタンポポは近くの向島百花園から種をもらってきて採り播きした。持ち込んで数年になる。去年200メートルほど離れた植え込みにシロバナタンポポが咲いていた。向島百花園→わが家のベランダ→近くの植え込みだろうか。 写真はわが家のベランダにて。

東京に帰化植物のオオキバナカタバミが増えている

ここ数年東京都内の公園や植え込みなどにオオキバナカタバミが目立っている。増えているのは、きれいな花なので植えている人がいたり、生えていても防除しないということもあるのかもしれない。 カタバミは家紋にもなり古くからなじみの深い植物だが、最近で…

小嵐九八郎のレジュメによる新左翼の歴史

大江健三郎「河馬に噛まれる」(講談社文庫)を読んでいる。20年ほど前に単行本で出たときにも読んだが、今の住まいに引っ越したとき、蔵書はあらかた手放していたので、今回また購入して読んでいる。末尾の文章を読むと、1985年の文藝春秋社版を文春文庫に…

マネの「オランピア」を見て

最初に描かれたのがジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」(上)だ。次いで描かれたティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」(中)が現在東京国立西洋美術館で展示されている。それに影響を受けて描かれたのがマネのこれまた有名な裸婦像「オランピア」…

北軽井沢照月湖の山本弘

友人の運転する車で北軽井沢を通ったとき、寄り道して友人が学生の頃バイトをしていたという照月湖を案内してくれた。観光客相手の土産物店でのバイトだったという。驚いた。北軽井沢の照月湖は大江健三郎もこのあたりに別荘を持っているはずだが、私にとっ…

海外の長編小説ベスト100

新潮社の季刊雑誌「考えるひと」2008年春号が「海外の長編小説ベスト100」という特集を組んでいる。「さまざまなジャンルの書き手129人が選び出した100の長編小説」の内容は、 第1位 ガルシア=マルケス「百年の孤独」 第2位 プルースト「失われた時を求め…

コレクター展

あるコレクターのコレクション展を見たことがある。たくさんのコレクションを持ち、アートについての講演や執筆もしているその人のコレクションのほんの一部を展示していた。ふだん何をしゃべっていてもコレクションを見れば分かることがある。そこに現れた…

ケータイを壊されると!

先日珍しく飲み過ぎて、翌日自宅で目覚めたらいつも持ち歩いている鞄がなかった。夕べ飲んだ店を出たときは確かに肩からさげていた。その後入った長崎チャンポンの店に行ってみたがなかったという。東武線の駅で聞くと氏名と電話番号を書いてくれと言われた…

朝日新聞の原稿料

4月2日の朝日新聞の夕刊に私の好きな画家山口晃のエッセイが掲載された。週に1回、5回の連載だという。1回が400字詰め原稿用紙で2枚弱の分量だ。 月がわりの此(こ)のコラム。4月分は5回あるから、1回は自己紹介にあてよと、担当さんがおっしゃる…

「ボローニャ紀行」と「世界共和国へ」を読んで

井上ひさしの「ボローニャ紀行」(文藝春秋)を読んでいる。毎日新聞に渡辺保の書評が載っていた。 まずは抱腹絶倒の大笑いからはじまる。 イタリアはボローニャ。空港へ着いたとたんに著者は有金全部を盗られる。一瞬の出来事。資料を買うための金だから大…