2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

新宿高島屋の大河原愛展を見る

東京新宿の新宿高島屋美術画廊で大河原愛展が開かれている(6月3日まで)。大河原は2004年武蔵野美術大学大学院を修了している。2008-2010年にかけてニューヨークに滞在。新宿高島屋を中心に個展を開催している。 高島屋のホームページから、 大河原愛氏は…

東京都現代美術館のリニューアル・オープン記念展「百年の編み手たち」を見る

東京都現代美術館が3年ぶりにリニューアルし、そのオープン記念展「百年の編み手たち」が開かれている(6月16日まで)。久しぶりに来て見て懐かしかった。オープン以来毎企画展ごとに来ていたのだから、チョー懐かしい。 大正時代からほぼ100年間の作品を展…

練馬区立美術館の「遊べる浮世絵展」を見る

東京練馬区立美術館で「遊べる浮世絵展」が開かれている(6月9日まで)。副題が「くもんの子ども浮世絵コレクション」。塾の公文のコレクションを展示している。公文だから子ども向けの浮世絵展である。子どもが描かれていたり、子どもが喜びそうな妖怪やら…

早川聞多『春画』を読む

早川聞多『春画』(角川ソフィア文庫)を読む。ここ10年ほどか、浮世絵春画が解禁されて何種類もの大判の画集が出版されている。大英博物館で開催された春画展も日本に持ってきて盛況だったと聞く。それを文庫本で取り上げるのはリスクもある。文庫は判型が…

大野和寿監督『歎異抄をひらく』を見る

むかし吉行淳之介の対談を読んだとき、吉行が映画館で映画が見られなくなったとこぼしていた。どうってことないシーンで泣いてしまうと。肩が震えると言ったのか、声が出てしまうと言ったのか忘れたが。 大野和寿監督のアニメ映画『歎異抄をひらく』を見る。…

『バルトーク音楽論選』を読む

ベーラ・バルトーク『バルトーク音楽論選』(ちくま学芸文庫)を読む。ハンガリーの作曲家バルトークの音楽論をちくま学芸文庫オリジナルで編集したもの。バルトークといえば民俗音楽を収集し、それを自分の作曲の糧にもした作曲家だ。最初の章でどのように…

銀座エルメス フォーラムの湊茉莉展を見る

東京銀座の銀座エルメス フォーラムで湊茉莉展「うつろひ、たゆたひといとなみ」が開かれている(6月23日まで)。湊は1981年京都府生まれ、現在フランスパリ在住。京都市立芸術大学、同大学院で日本画を専攻した後、パリ国立高等美術学校に留学し、壁画等を…

ゴダールの映画『イメージの本』を見る

ゴダールの新作映画『イメージの本』をシネスイッチ銀座で見る。際立ったストーリーはなく、ほとんど全編古い映画の荒れたコピーの断片を繋いでいる。各々のシーンは短く、次々と別の映画のシーンに変わっていく。コラージュといっていいだろう。ただ古い映…

相見満『分類と分類学』を読む

相見満『分類と分類学』(東海大学出版会)を読む。分類について、人がどのように生物を分類してきたかをていねいに紹介している。リンネが分類を体系化しラテン語を用いた種の2名式命名法を確立した。界、目、属、種という階級を設けて階層的な分類法を確立…

糞土師のこと

家で使っていたウォシュレットの調子が悪くなってきた。無理もない、もう20年ほど使っているのだ。業者に頼んで買い替えようとしたら、娘が私がやるという。ヨドバシからパナソニックの温水便座を取りよせて、娘が一人で工事をしてくれた。さすがに新しいの…

ギャラリー58の田中彰展を見る

東京銀座のギャラリー58で田中彰展が開かれている(5月25日まで)。田中は1949年高知県生まれ、1974年多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン科卒業。いくつかの画廊で個展をした後、2004年ギャラリー汲美で個展を開き、汲美が閉じた後は主にギャラリー58…

藤屋画廊の桝本純子展「森での出来事」を見る

東京銀座の藤屋画廊で桝本純子展「森での出来事」が開かれていた(5月19日まで)。画廊の中央に何十本もの鉄棒が立てられ、その上部に植物の葉か芽のようなオブジェが取り付けられている。鉄棒は細くときにわずかに揺らいでもいた。 画廊のホームページを見…

関根伸夫氏が亡くなった

5月13日(米国時間)にアメリカで関根伸夫氏が亡くなった。76歳だった。26歳のとき、須磨離宮公園での第一回野外彫刻展に出品した《位相-大地》が、関根を日本現代美術の最前線に押し立てた。〈もの派〉の代表的作家と称えられ、その作品は教科書にも掲載さ…

吉行淳之介『目玉』を読む

吉行淳之介『目玉』(新潮文庫)を読む。「眼玉」のほかに「鋸山心中」や「百閒のぜんそく」「葛飾」など7編の短編を集めている。吉行は最も好きな作家で娯楽小説以外はほとんど読んできた。本書も何十年ぶりかの再読だ。 村上春樹も『若い読者のための短編…

浅間茂『虫や鳥が見ている世界』を読む

浅間茂『虫や鳥が見ている世界』(中公新書)を読む。副題が「紫外線写真が明かす生存戦略」で、植物や虫などを紫外線が写るカメラと可視光のカメラで撮り、並べて掲載している。各ページにすべてカラー写真が載っているから総数何百枚にもなるだろう。 普通…

ドナルド・キーン『思い出の作家たち』を読む

ドナルド・キーン『思い出の作家たち』(新潮文庫)を読む。谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、安部公房、司馬遼太郎の5人の作家の想い出を取り上げている。いずれの作家に向ける眼も暖かい。 谷崎の作品を、他の主要な現代日本の諸作家の作品から際立たせ…

銀座スルガ台画廊の「野見山暁治の気ままな小品展」を見る

東京銀座の銀座スルガ台画廊で「野見山暁治の気ままな小品展」が開かれている(5月25日まで)。どうしてスルガ台画廊で個展を? って思ったら、画廊主の串田光子がDM葉書に書いている。 先生のお作品との最初の出会いは1965年パリ在留時に親しくフランス語を…

熊切圭介写真集『東京ワンダー 揺らぐ街』を見る

熊切圭介写真集『東京ワンダー 揺らぐ街』(クレヴィス)を見る。熊切は1934年生まれ、2015年から日本写真家協会の会長を務めているというから大御所だ。 東京の街のスナップを集めている。熊切があとがきに書いている。 かなり長く写真をやっているが、こう…

洲之内徹『絵のなかの散歩』を読む

洲之内徹『絵のなかの散歩』(新潮文庫)を読む。昔1974年から14年間『芸術新潮』に連載された「気まぐれ美術館」をまとめたもの。『絵のなかの散歩』『気まぐれ美術館』『帰りたい風景』『セザンヌの塗り残し』『人魚を見た人』『さらば気まぐれ美術館』と6…

ギャラリーアビアントの大沢昌助展を見る

東京浅草近くのギャラリーアビアントで大沢昌助展が開かれている(5月18日まで)。展覧会のDMに息子の大沢泰夫が書いている。 恒例の浅草の大沢昌助展です。没後22年、さすがにレアな絵が少なくなってきました。今回は晩年の抽象作品以外に、若き日の自画像…

マキイマサルファインアーツの江本典隆写真展『#らぶりつください』を見る

東京浅草橋のマキイマサルファインアーツで江本典隆写真展『#らぶりつください』が開かれている(5月26日まで)。江本は1978年静岡生まれ、2003年に早稲田大学教育学部を卒業している。2010年写真家・元田敬三氏のもとで写真を学び、写真活動を始めるとある…

S+artsのさとう陽子展を見る

東京六本木のS+artsでさとう陽子展「すきをすく」が開かれている(5月12日まで)。さとうは1958年東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。 画廊のホームページのか…

『ウンベルト・エーコの小説講座』を読む

『ウンベルト・エーコの小説講座』(筑摩書房)を読む。副題が「若き作家の告白」というもので、原題が「若き小説家の告白」とある。出版社と訳者がタイトルを変えたのは売るためだろう。それで内容と異なる題名になってしまった。 エーコは『薔薇の名前』の…

ギャラリーTOWEDの「野生の思考」を見る

東京墨田区京島のギャラリーTOWEDで「野生の思考」展が開かれている(5月26日までの金・土・日・祝日開催)。ギャラリーで配布しているちらしより Gallery TOWEDでは、「生活と美術」についての企画展「ちょうはあかぐり」(2018年9月 はやしはなこ、河合浩…

山本萌『こたつの上の水滴』を読む

山本萌『こたつの上の水滴』(コールサック社)を読む。副題が「萌庵骨董雑記」というもの。著者紹介に、1948年1月大阪生まれ、20代半ばより骨董に魅せられ、古美術評論家秦秀雄とその著書を通じて出会う。1986年より埼玉県所沢市の街中に、古い家を借りて猫…

高山なおみ・文、中野真典・絵『どもるどだっく』を読む

高山なおみ・文、中野真典・絵『どもるどだっく』(ブロンズ新社)を読む。以前読んだ三浦哲哉『食べたくなる本』(みすず書房)に紹介されていた。高山は料理人で、三浦は高山の『諸国空想料理店』を推薦していたが、この絵本も絶賛していた。 いや、絵も迫…

令和に寄せて(2)

朝日新聞の「令和に寄せて」に金井美恵子が寄稿している。金井のことだから令和祭りに参加するはずはないが、さすがにいつもの辛辣さは幾分ソフトになっている(5月2日)。 天皇の生前退位と即位による「慶祝」ムードは、10連休を政府が作ったせいで、あらゆ…

木村榮一『ラテンアメリカ十大小説』を読む

木村榮一『ラテンアメリカ十大小説』(岩波新書)を読む。都甲幸治が読売新聞の書評で紹介していた(2011年4月24日)。書評が載る前に購入していたのだが、8年たってようやく読んだ。その書評から。 どうしてもラテンアメリカ文学を読みたくなってしまう。な…

崔実『ジニのパズル』を読む

崔実(チェシル)『ジニのパズル』(講談社文庫)を読む。主人公パク・ジニは在日朝鮮人3世の女の子。おそらく作者崔とも共通の状況なのだろう。ジニは小学校は日本人小学校に通うが、中学は朝鮮学校に入学する。しかし朝鮮語が話せなかったり、金日成や金正…