出版

『お父さん、一緒に死のう』を読んで

豊田実正『お父さん、一緒に死のう』(東洋出版)を読む。知り合いから、彼の知人が本を書いたけど読みますかと言われて借りた。ひと目見て自費出版だと分かった。副題が「永遠の恋人 永遠の宝物」とある。カバーの表裏に中年のきれいな女性の写真が使われて…

常盤新平『翻訳出版編集後記』を読む

常盤新平『翻訳出版編集後記』(幻戯書房)を読む。「出版ニュース」の1977年から1979年にかけて連載したものを単行本にした。常盤は2013年に81歳で亡くなっている。 本書は常盤が早川書房に勤めた1959年から翻訳出版に携わっていた10年間のことを中心に書か…

10月19日の新聞書評

もう20年近く、毎週日曜日は3つの新聞を手に入れて書評を読んでいる。丸谷才一が自画自賛していたように、3大紙では毎日新聞の書評が最も優れていると思う。少し落ちて朝日新聞、その次が読売新聞の書評だ。一時、日経や東京新聞も買ってみたが、日経は経…

祖父江慎の語るブックデザイン

ブックデザイナーの祖父江慎がインタビューに答えてブックデザインを語っている(朝日新聞、2014年9月27日)。それが知らないことばかりで興味深い。 本のデザインで一番楽しいのはどんな作業かという質問に答えて、文字組みだという。 文字の大きさ、どの…

『ベスト珍書』というヘンな本を読む

ハマザキ カク『ベスト珍書』(中公新書ラクレ)を読む。副題が「このヘンな本がすごい!」というもの。ヤバい、すごい、怪書、エログロ、発禁本など100冊を厳選したとカバーの袖にある。中央公論社がそんなトンデモ本を発行したのかと半信半疑で読んでみた…

自費出版の売られ方

以前、自費種出版について書いたことがあったが、そこで自費出版の本は書店には並ばないと書いた。ところが最近都内の中型書店で、自費出版の本が書店の棚に並んでいるのを見つけた。写真がそれだが、この書店では新潮選書や講談社選書メチエ、中公叢書、NHK…

『カッパ・ブックスの時代』を読む

新海均『カッパ・ブックスの時代』(河出ブックス)を読む。新海は1975年早稲田大学を卒業して光文社に入社し、カッパ・ブックス編集部に配属される。その後月刊誌『宝石』編集部に移り、再び1999年から2005年の終刊までカッパ・ブックスの編集に携わる、と…

『増補版 誤植読本』を読む

高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』(ちくま文庫)を読む。印刷過程で必要な作業「校正」、しかし校正ミスはつきものだ。作家や編集者、校正者などが、自分の校正ミス、誤植について書いている。執筆者53名、これは書き下ろしでなく、編者たちが過去の文献か…

『日本古書通信』通巻1000号

日本古書通信社が発行する『日本古書通信』が2012年11月月号で通巻1000号を迎えた。ここに作家初版本や草稿、ノートなどの価格が載っている。その古書店の目録から、 ・長崎大絵図(魯西亜船入津之図) 4,500,000円 ・夏目漱石草稿『琴のそら音』(原稿38枚…

出版広告のいろいろ

朝日新聞朝刊にハルキ文庫の全面広告が掲載されていた(11月19日付け)。文庫だけで全面広告を出すのは、ハルキ文庫のほか角川文庫、幻冬舎文庫などがある。もっともこの3社は親戚みたいなものだ。ハルキ文庫の角川春樹事務所も幻冬舎も角川書店が出身だ。…

ノンブルの振り方

本のページを表す数字をノンブルと言う。ノンブルはナンバーに相当するフランス語。出版界ではノンブルで通っている。ノンブルを付けるのを「ノンブルを振る」と言う。 日本では本や雑誌に縦組みと横組みがある。縦組みでは見開きページの右が小さい数字にな…

『「ぴあ」の時代』を読む

掛尾良夫『「ぴあ」の時代』(キネマ旬報社)を読む。雑誌『ぴあ』が2011年7月21号で休刊した。1972年7月に創刊したから39年間続いたのだった。本書はその『ぴあ』の創刊から最大53万部を発行した時代、「ぴあフィルムフェスティバル」を始めたこと、チケ…

講談社のPR誌『本』

毎日新聞の書評欄に「MAGAZINE」という雑誌を紹介する小さなコラムがある。4月22日のそれは『本』4月号だった。 本のPR誌は数々あるが、一本筋が通って読み応えがあるのは新潮社の『波』と、この講談社の『本』である。 巻頭に思想についての考察。それも…

辞書の種類

朝日新聞の「オピニオン」で辞書の世界が取り上げられた(2012.4.10)。学者芸人と肩書きの付いたサンキュータツオさんにインタビューしている。サンキューさんによれば、辞書の編集はその哲学によってまるで違うという。 国語辞典の世界には、用例の三省堂…

雑誌「ぴあ」終刊

7月21日に雑誌「ぴあ」の最終号が発売された。1972年7月に「月刊ぴあ」8月号が創刊されてから39年の歴史だった。この最終号には付録として創刊号の復刻版が付いている。創刊号は表紙ともたったの28ページだった。定価100円。最終号は300ページ近くて税込…

編集プロダクションの存在

吉田秀和の「永遠の故郷」シリーズが、2008年2月発行の「夜」から始まって「薄明」「真昼」と続き、今年1月発行の「夕映」で全4冊が完成した。歌曲に焦点を絞って著者の半生に絡めて語っている。雑誌「すばる」に連載したものだ。これらのエッセイを読み…

雑誌「ぴあ」の休刊

ニュースが雑誌「ぴあ・首都圏版」の7月21号での休刊を伝えていた。1972年の創刊で39年の歴史だそうだ。80年代には53万部の発行部数だったのが、最近では6万部だという。情報誌の宿命でネットに負けたのだ。「ぴあ」の首都圏版以外の版はとうに休刊になっ…

「ブッダの言葉」が売れているらしい

小池龍之介「超訳 ブッダの言葉」が売れているらしい。これは最近ベストセラーの「超訳 ニーチェの言葉」の二番煎じだろう。ふたつに共通なのは、超訳と称して恣意的な翻訳をしていることだろう。「超訳」という言葉はアカデミー出版の発明ではなかったか。W…

ハイデガー「現象学の根本問題」の新聞広告

2月3日の朝日新聞に哲学書の広告としては異例の大きな新聞広告が掲載された。ハイデガーという20世紀最大の哲学者の決してやさしくはない本格的な哲学書で、分厚くて5,040円もする。この大きさの広告代は200万円くらいするのではないか。この広告のコピー…

東京創元社文庫解説総目録とハヤカワ・ミステリ総解説目録

朝日新聞の三八(サンヤツ)広告に、東京創元社の「東京創元社文庫解説総目録」の広告が載っていた。「文庫全点を網羅した完全版目録」と銘打たれているが、文庫判2分冊函入り(分売不可)5,250円となっている。高い!! 一応、広告の本文を写すと、 (文庫創…

「梅棹忠夫 語る」を読む

「梅棹忠夫 語る」(日経プレミアシリーズ)を読む。梅棹忠夫は2010年7月に亡くなったが、生前、弟子であった小山修三がインタビューしたものを本書にまとめた。 (梅棹が)2004年からつづけて大病を患い、再起があやぶまれるほどだった。 さいわいの小康を…

晶文社創立50周年

晶文社が創立50周年を迎えたと大きな新聞広告を出していた。大きなとはいえ、朝日新聞の全5段。これはその一部だ。 晶文社の本が好きだった。書店で犀のマークを見ると手に取らずにいられなかった。佐藤信の「あたしのビートルズ」「嗚呼鼠小僧次郎吉」「安…

ギャラリーQの石田徹也展とその周辺

銀座1丁目のギャラリーQで「石田徹也全集−出版記念及び五周忌展」が開かれている(5月29日まで)。3年前に出版された「石田徹也遺作画集」に続いて、先頃「石田徹也全集」(求龍堂)が発行され、それを記念して開かれた。一昨年の練馬区立美術館の個展で…

本の見方

タイトル「本の見方」は羊頭狗肉であることをまずお断りする。大したことを書くわけではない。 本を見るときの手順を書いてみたい。最初に見るべきページは奥付である。最後のページだ。書名、発行年月日、著者、発行所、ときに発行者、印刷所、製本所、著作…

「ぼくらの頭脳の鍛え方」が面白い・3

立花隆・佐藤優の「ぼくらの頭脳の鍛え方」(文春新書)はすごく有益だ。二人が勧める「必読の教養書」のリストが400冊もあって、とても読み切れない。読書予定のリストがどんどん膨れ上がってしまう。 二人の対談から。 佐藤 ……だから(私は)いい小説読み…

「ぼくらの頭脳の鍛え方」が面白い・2

立花隆・佐藤優の「ぼくらの頭脳の鍛え方」(文春新書)が売れている。副題が「必読の教養書400冊」で、それはすごいブックリストだ。同時にここで語られるエピソードが面白い。 佐藤 立花さん、蔵書数はどれくらいあるんですか? 立花 地下1階、地上3階の…

「ぼくらの頭脳の鍛え方」が面白い

立花隆・佐藤優の「ぼくらの頭脳の鍛え方」(文春新書)が面白い。副題が「必読の教養書400冊」で、それはすごいブックリストだ。そして同時に二人が語るエピソードがチョー受ける。特に佐藤優の暴露するスキャンダルが抱腹絶倒ものだ。 佐藤 中江兆民につい…

本の装丁展を見る

知人のM田さんに誘われて千代田区神田錦町にあるギャラリーKaNDaDaへ高麗隆彦・桂川潤の装丁展を見に行く。桂川潤がM田さんの知人である画家の桂川寛の息子に当たるという関係だ。桂川寛さんの個展はアートギャラリー環で何度か見たし、5年前に発行された自…

100万部売れた「思考の整理学」

外山滋比古「思考の整理学」(ちくま文庫)が100万部売れているらしい。1986年に発行されて、その後20年間で17万部売れた。それが2年前盛岡の書店員がPOP(販売時点広告=商品の側に立てた宣伝カードなど)に「もっと若い時に読んでいれば……そう思わずには…

組版の法則ーー冒頭の1字落とし

昔の日本の出版では改行もなかったし文章の冒頭の1字落としもなかった。句読点すらなかった。それらはすべて欧米の組版の方法を取り入れたものだ。段落ごとに改行し、改行した後は1字落とす。 活版の時代に組版について細かな約束ができあがった。ただ曖昧…