2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

バニーガールのいる店ではどう振る舞うべきか

出版社に在籍していたとき、出版営業について教えを乞いたいと、カミさんの叔父さんにお願いした。叔父さんは大きな出版社の取締役をしている。某日夜7時に赤坂見附駅に来いと言われた。会うとすぐ駅近くの会員制クラブに案内された。ここで初めて本物のバ…

デパートのネクタイ売場

以前取引先の部長に呼び出され、お酒をご馳走になったとき不意に中座され、戻ってきて今高島屋で買ってきたんだと言ってネクタイをくれた。彼は私のクライアントなので、むしろ私の方からプレゼントしなければいけないのに。 返礼の予算を知るために翌日高島…

高浜利也、きれいすぎる仕上げの問題

今泉雄四郎さんは銀座の画廊をよく見て回っていた。若い作家の個展をていねいに見ていた。先代の社長の頃の東京画廊の番頭さんのような立場だった。それは半端な地位ではない。 銀座のギャラリーなつかで高浜利也展を見たとき、たまたま今泉さんが一緒だった…

God bless Americaというビデオ作品

2年ほど前だったか、横浜美術館で予定されていた高嶺格のビデオ作品が直前に展示を外されたことがあった。美術館による自主規制とのことだった。問題になったビデオの内容は、脳性麻痺だったかで重度の障害を持つ身障者に作家高嶺が手で刺激して射精させて…

一番好きな浮世絵師が英泉だった。

25日の12チャンネル「開運!何でも鑑定団」に渓斎英泉の浮世絵45点が出品され、1点30万円、合計1,350万円の評価がついた。英泉は最も好きな浮世絵師だった。 30年ほど前浮世絵に興味を持ってあちこち見て歩いた。渋谷東急本店で浮世絵の展示即売会があり、…

人はまず顔を見る

何年か前、JALの夏の沖縄旅行のパンフレットがあった。モデルの娘が黒いワンピースの水着を着ているのが表紙で、彼女が膝をついて軽く脚を開いている。 たまたまそれが天地逆(逆さま)に置いてあって、大変驚いた経験をした。会社の親しい女性デザイナーに…

プレイボーイ、またはマメ男、あるいは人非人

知人に30歳くらいのプレイボーイがいた。いや正確には女たらしと言うべきか。常時5人ほどの女性と付き合っている。付き合う女性の第一条件が独り住まいだという。どんなに気に入っても家族と同居している女性とは付き合わない。どうして? 彼は家族と同居し…

泣かない子だった

小学校4年生の時可愛がっていた猫が死んだ。その日は日曜日だったのか1日中泣いて過ごした。泣き続けなければ猫に悪い気がして、何度も何度も泣いた。それを最後にもう泣かない子になった。どんなことがあっても泣かなかった。小学校6年の頃ではなかった…

署名原稿は直さない

あるメーカーのPR誌に農林水産省のお役人から原稿を書いてもらった。私の部下の編集者が、文中分かりにくい箇所があるので直したいと許可を求めてきた。二つの理由で駄目だと言った。 まず署名原稿であること。普通署名原稿に手は入れないし、入れるときは最…

山口長男の伝記が出版された

山口長男の伝記が出版された。池島充「山口長男ーー終わりのないかたち」(清流出版)、著者は鹿児島の南日本新聞社の元編集委員、新聞社在籍中に山口を取材し、以後親しく交遊を続けた模様。 山口長男に関する手頃な伝記が書かれたことをまず喜びたい。著者…

美しい舌の青い蛇、関龍夫という画家がいた

田村隆一の「恐怖の研究」という長い詩に下記のような一節がある。 信州上川路の開善寺の境内で 僕は一匹の純粋な青い蛇を見た ふるえる舌 美しい舌 開善寺は古刹で庭が美しく、宮本武蔵の書がある。その一角に住んでいたのが関龍夫さんという老画家だ。もち…

「言葉」の詩2題、再掲載

言葉をテーマにした現代詩が二つあった。一つは川崎洋の「鉛の壁」だが、もう一つが思い出せなかった。しかたなくたまたま見つけた谷川俊太郎の「ほん」とセットにして、「詩2題」としてアップした。 http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20070714 最近ようやくも…

棚田康司の彫刻作品に対する偏見が消せない

棚田康司が評価されている。不思議な形の木彫作家だ。だがこの作家、彫刻家を素直に評価できない。10年ほど前の初個展が、今はもうない神田のギャラリー美遊であった。その木彫は舟越桂と戸谷成雄の折衷だった。チェーンソーを使って舟越桂を作っていた。 以…

美術と作品の関係

9月4日のエントリーで私は「端的に言って、(アラーキーの)性器の写っている大きな写真をインテリアとして飾る習慣を少なくとも日本はまだ持っていない。これは先駆けなのか? 私はこの写真の意味、機能が分からないでいる」と書いた。 その後その意味が…

サッカーの指導方法が間違っている

私の住むマンションの隣が小学校で、毎日曜日少年サッカーチームが早朝練習をしている。コーチだか監督だかが少年たちを怒鳴る声が聞こえてきて、それが不愉快だ。中村俊輔を少年のとき指導した人にそのことを話したら、子どもたちを怒鳴ってはいけない、子…

ものすごい快感を知ったネズミ

いま評判の池谷裕二「進化しすぎた脳」(ブルーバックス)に面白いエピソードが紹介されていた。 〈報酬系〉というのはやっぱり脳の部位なんだけど、これをはじめて見つけた経緯というのが面白いんだ。ケージ(飼い籠)のなかでネズミを入れて、そこにレバー…

国家とは陸海軍をそなえた方言、田中克彦「エスペラント」

私の最も好きな言語学者、田中克彦「エスペラント」(岩波新書)より。 これらの新しい書きことばは、民族の独立を準備し、民族が民族であると主張できる根拠・シンボルとして新しい価値を獲得した。ルーマニア語、エストニア語、フィンランド語、スロヴェニ…

多田富雄の語る森田茂

免疫学の世界的権威、東大名誉教授多田富雄さんが脳梗塞で倒れた後リハビリを続け、ようやく動く左手で、初めて学んだパソコンを使ってエッセイを書いている。それらをまとめた多田富雄「寡黙なる巨人」(集英社)を読んだ。タイトルは著者その人のことでは…

素朴なイスラム教徒の世界観

表象文化論の田中純が「時のアウラーーロッシとタルコフスキーのポラロイド写真」(「UP」2007年9月号)で、写真に対するウズベキスタンのイスラム教徒の反応を次のように紹介している。 タルコフスキーの友人だった脚本家トニーノ・グェッラは、これもまた…

新聞の文章は分かりやすさを旨としている

新聞社へ投稿した文章がだいぶ直された。 「友人は魔孤さんの絵を2枚だけ持っているという。実家にあるから今度持ってきて見せてあげるよ。約束はまだ果たされていない。」 これが「実家にあるから今度持ってきて見せてあげるよ、と友人は言った。その約束…

「落第忍者乱太郎」の絵の変遷

「落第忍者乱太郎」略して落乱の連載が始まったのが朝日小学生新聞の1986年1月からだった。もう21年になる。当時ドマイナーなマンガで、それもそのはず作者の尼子騒兵衛の本職はOLで、なぜ自分に連載の仕事が来たのだろうと不思議がっていた。 それがなかな…

ロングテールを誤解している人がいる

いま読んでいる本にロングテールについての説明が書かれているが、それはちょっと違うと思う。(佐々木俊尚「フラット革命」講談社) ウェブ2.0というのは端的に言えば、新しい技術やサービスの総称ではなく、もともとインターネットが持っていた双方向性…

土地への執着が分からない

株をやっている友人がいる。自己資金○千万円、信用取引でその3倍の金額を動かしていると言う。世田谷に1億円の一戸建てを2軒、マンションを3つ、ほかにヨットハーバー用の土地も買った。どうしてそんなに稼ぐのかと聞くと、俺のお祖父さんは大きな地主だ…

予知能力

N瀬さんは取引先の担当者だった。台風について面白い見方を教えてくれた。成層圏の高さに比べて台風の直径はばかでかいので、台風って平べったくてお皿みたいですね。なるほど。 彼は愛知県の出身で、犬山城の城主である国語学者のN瀬正勝の遠い一族らしい。…

写真の著作権、発生したりしなかったり

上野の国立西洋美術館の前庭にはロダンの彫刻、地獄門とカレーの市民、考える人、それにブールデルの弓を引くヘラクレスが展示してある。これを撮影した時の写真の著作権はどうなるだろう。 答え:写真の著作権は撮影者にある。もちろんロダンの彫刻の著作権…

椋鳩十の顔、村の顔

椋鳩十は長野県喬木村出身の童話作家。本名久保田彦穂、1905-1987。母親を早くに亡くし、継母との折り合いが悪く、法政大学文学部卒業後鹿児島の女学校へ赴任し、故郷へはあまり帰らなかった。鹿児島を第二の故郷とし、鹿児島県立図書館長を長く務めた。晩年…

巨大なヌード写真の意味は何か?

東京日本橋にあるギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アートで写真展が開かれている。題して「納涼現代アート展〜今年の夏はエロス祭りで〜」、名前のようにヌード写真展である。案内のDMより イタリアの新星ギド・アルゼンチーニをはじめ、鬼才アラーキ…

「自画像の証言」展を見て、面白かった

東京芸術大学の大学美術館では金刀比羅宮展をやっている。見ようと思って行ったら入口に行列ができていた。予定変更して帰ろうと思ったら、同館の陳列館で「自画像の証言」展をやっている。芸大創立120周年企画とかで、卒業時に描き残して行くのが義務の芸大…

永井するみのミステリ、そしてエイズ

10年前に、当時出版されたばかりの永井するみの農業ミステリ「枯れ蔵」(新潮社)を読んで、内容のでたらめさに呆れてしまった。以来彼女のたくさんの著書は読む気になれない。アマゾンの紹介より。 富山の有機米農家の水田に、T型トビイロウンカが異常発生…

"Gay American Composers"というCD、デル・トレディチの悲しみ

"Gay American Composers"というCDがある。5人の作曲家が収録されているが、その中に私の好きなDavid Del Tredici デイヴィッド・デル・トレディチが入っている。デル・トレディチもゲイだったんだ。他の4人は知らない作曲家ばかりだ。Chester Biscardi, C…