斎藤幸平『寝ながらヘーゲル』を読む

 斎藤幸平『寝ながらヘーゲル』(NHK出版新書)を読む。これが面白かった。本書はNHKテレビの「100分de名著」のテキストを元に、2章を追加して書籍化したもの。ヘーゲルの超難解な『精神現象学』をやさしく読み解いてくれる。『精神現象学』の引用は熊野純彦訳のちくま学芸文庫によっている。熊野純彦の訳は評判が良いのだけれど、これが難しい。それを斎藤は本当に分かりやすく噛み砕いてリライトしている。

 さすがNHKの人気番組のテキストだから多分誰にでも分かりやすい。同時にヘーゲルの『精神現象学』を読もうという気は全くなくなった。無理でしょう。若い頃ヘーゲルは『小論理学』を読んだことがあった。朝日カルチャーでも宮川透の講義を聴講したし、都立大学の許萬元のゼミにもぐりこんだこともあったけど、これは難しくて早々に挫折した。

 それにしても、斎藤幸平さん、あんた頭良すぎです。

 

 

 

卯城竜太『東京藝大現代アート裏入門』を読む

 卯城竜太『東京藝大現代アート裏入門』(講談社現代新書)を読む。これが素晴らしい本だった。卯城竜太は現代美術ユニットChim↑Pomの元リーダー、高校中退なので正式には中卒、それでいながら東京藝大客員教授。評論家ではなく、現役バリバリの現代美術作家だから、アート業界に詳しく、体験したことを裏付けにした説得力があるアート業界の紹介になっている。

 学歴がないのに東京藝大に迎えられただけあって、実力はたいていの美大教授のレベルをはるかに超えている。卯城が東京藝大で講義した内容を書籍化したものらしい。こんな講義を受けられた学生たちがうらやましい。

 とにかく素晴らしい現代美術の解説書だった。

 

 

 

いりや画廊の諸貫きよ恵展を見る

 東京入谷のいりや画廊で諸貫きよ恵展「凝縮」が開かれている(11月7日まで)。諸貫きよ恵は東京生まれ。2009年に武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン科金工専攻を卒業している。

 2010年にトキ・アートスペースで初個展、以後トキ・アートスペースで計5回の個展、また、すどう美術館やギャラリーなつか、いりや画廊、ギャラリーせいほうなどで個展を開いている。

じゃがいも

じゃがいも

菊かぼちゃ

じゃがいもと菊かぼちゃ

 

 前回のいりや画廊の個展では高さ2m近いパプリカを作っていた。今回はじゃがいもだ。これまた高さ135cmもある。左右は180cmだ。その存在感がすごい。これを鍛造で制作している。

 ほかには各種のかぼちゃだ。諸貫は野菜をテーマに彫刻作品を作っている。しかし何と言っても巨大なじゃがいもの存在感に圧倒される。お見事です。

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諸貫きよ恵展「凝縮」

2026年10月26日(月)-11月7日(土)

11:30-19:00(土曜・祝日17:30まで、最終日16:00まで)日曜休廊

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いりや画廊

東京都台東区入谷2-13-8

電話03-6802-8122

https://www.galleryiriya.com/

東京メトロ日比谷線入谷駅出口1番または3番より徒歩8分

 

巷房2の松田真生写真展を見る

 東京銀座の巷房2及び巷房階段下で松田真生写真展「劇場」が開かれている(10月31日まで)。松田真生は1990年東京生まれ、2013年東京造形大学造形学部デザイン科写真領域専攻を卒業し、2015年に同大学大学院デザイン研究領域を修了している。2014年に巷房で初個展、以来巷房では今回が4回目、またマキイマサルファインアーツなどで個展を開いている。

 

 松田真生は多摩ニュータウンを撮っている。これらは夜景だという。フラッシュは使わず、自然な夜間照明で長時間露光で撮っているという。

 一見したところ日常的な風景写真に見える。しかし写真が強い。決して平凡な風景写真ではない。被写体の選択が非凡で、構図が見事だ。隙がない。

 世界のどこを切り取って写真作品にするか、それはカメラマンの感性であり世界観なのだろう。久しぶりに優れた写真家に出会った思いだ。

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松田真生写真展「劇場」

2026年10月26日(月)-10月31に位置(土)

12:00—19:00(最終日17:00まで)

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巷房2+階段下

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル地下1F

電話03-3567-8727

https://gallerykobo.jp

 

 

千駄木ガレージの井上活魂展を見る

 東京千駄木の千駄木ガレージで井上活魂展「人・・・」が開かれている(10月29日まで)。


 井上活魂は2022年からここのスペースで個展を続けている。また日本アンデパンダン展にも毎年参加している。井上はもらったり拾ったりしたスクラップのような素材で作品を作っている。汚れたマスク、潰れた空き缶、古ぼけたパイプなど、井上には美しいもの、整ったもの、完成されたものへの志向はない。その仕事は、最近は流行らなくなったダダではないか。それをたった一人で続けている。時代の流れに背を向けて、いっそ清々しいと言うべきではないか。

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井上活魂展「人・・・」

2026年10月24日(土)-10月29日(木)

10:00—18:00(最終日17:00まで)

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千駄木ガレージ

東京都文京区千駄木3-41-10 1階

電話080-2152-2667

※東京メトロ千代田線千駄木駅2番出口から徒歩4分

JR山手線日暮里駅西口から徒歩10分

谷中銀座を下った突き当りから左へ約20m