真木悠介『自我の起源』(岩波現代文庫)を読む。袖の惹句から、
本書は、比較社会学の視座から現代社会を考察してきた著者が、生命史における「個体」発生とその主体化の画期的意義を明らかにする。遺伝子理論・動物行動学・動物社会学の成果に向き合いつつ、動物個体の行動の秘密を探り、「自我」成立の前提を鮮やかに解明する。
中村桂子が大澤真幸ほか編『見田宗介/真木悠介を継承する』(岩波書店)の書評で、『自我の起源』に触れている(毎日新聞、2026年10月10日)、
利己的個人を、公理のように採用している社会に対して、真木はエゴイズムは人間の本源的条件かと問い、生命科学が示す、主体化された個体が他者を共生者として迎え入れるメカニズムに注目する。「個体は、自己目的化に抗して自己裂開する構造をもって」おり、それゆえにエゴイズムの束縛から逃れることができるのだ。集合的なエゴイズムについては、「部族」のような共同体での慣習が、実は普遍性への指向を孕んでいることを示し、人間は「〈類(普遍性)〉のことを配慮し、〈類〉の運命を気に掛ける」存在なのだと言う。私が専門とする生命誌では、配慮は人類に止まらず、あらゆる生きものに向く。
とても参考になったが、自我の起源を生命の原初まで求めなくても良いのではないかとも考えた。原理的には真木の探求が本筋なのだろうが、そこまで追求しなくても類人猿以降の研究でも十分ではないかと愚考した。


























