中島定彦『ネズミはなぜ回し車で走るのか』(岩波科学ライブラリー)を読む。表紙カバーに、
いつまで走るの?
楽しいの?
つらくないの?
何気ないその素朴な疑問に、科学が答える
とあり、これは面白そうと手に取った。回し車で走るのはネズミだけではない。多くの動物が回し車に自分から入って走り出す。ネズミの仲間はもちろん、フェレット、アカギツネ、ヤマネコ、ウサギ、アカゲザル、ニワトリなども。回し車での1日の走行距離は、実験用ラットで43km、レミングで19km、実験用マウスで16km、ゴールデンハムスターで9kmに及ぶという。
なぜ回し車で走るのか。どうもそれが楽しいかららしい。ラットは楽しいとき、つまり仲間との社会的遊びや交尾のとき、食事時、嗜好性薬物を投与されたときに喜びの声を上げるという。うーん、交尾のときに喜びの声をあげるんだ、ちょっと恥ずかしくないか。で、ラットは回し車で走ると喜びの声をあげた。
人間はマラソンのように長時間走り続けると、次第に苦しさが増してくるが、それを我慢して走り続けるとある時点から、快感・恍惚感が生じることがある。これが「ランナーズ・ハイ」である。その原因は脳内に生成されるエンドルフィンやカンナビノイドだという説がある。ラットやマウスなどでもエンドルフィンやカンナビノイドの上昇が報告されている。
しかしまた、ラットは走りすぎると吐き気が生じる。吐き気が生じるとラットは土を食べる。回し車で1時間走ったラットは土を食べた。
回し車で走るのはネズミの仲間だけではない。なんとナメクジやカタツムリ、ゴキブリも回し車で走ったという。
さて、本書についてだが、そこそこ面白かった。ただ、このテーマならもっと面白く書けたのではないかと過剰な期待をしたのだった。私は「岩波科学ライブラリー」のファンで、本シリーズでは何度も優れた研究成果を読んできたのだから。




























