ギャラリー椿のオークションが始まった

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 今日から京橋のギャラリー椿で恒例のオークションが始まる。

 オークションは1月21日(金)、22日(土)、23日(日)、24日(月)の4日間。誰でも自由に入札できる。今年は480点以上の出品点数だ。ギャラリー椿は銀座・京橋地区でも特に大きなギャラリーだが壁面はぎっしりと作品で埋められている。全部見るのが大変だとも言えるし、それが楽しいとも言える。気に入った作品も必ずあるだろう。

 出品リストを見ると、作家名、作品名(種類)、最低落札価格、素材・技法、サイズ・エディション、体裁、備考の欄がある。最低落札価格は文字どおり最低の入札価格だ。

 主なものを拾ってみる。有本利夫の版画が3万円~、中村宏の油彩が15万円~、夏目麻麦の小品が2点出ている。重野克明の銅版画が1万円~、大谷有花ほか6名のドローイングが成行(5千円~)、甲斐清子のデッサンが成行、梅田恭子の銅版画も成行、佐藤忠良のブロンズが3千円~、渡辺恂三の水彩が成行、杢田たけをのコラージュが1万円~などとなっている。森本秀樹兄弟の作品も出ていた。なお、成行は5千円からだが、今回は最低価格が3千円~というのもあった。

 入札方式は1人2枚札によるもの。これは希望価格の上値、下値の2つを記入する方式で、他に入札者がいなければ下値で落札されるが、競合した場合は上値で落札するというもの。もちろん相手の入札した金額がそれより上なら相手のものになる。入札の最小単位は100円とのこと。最低落札価格1万円以下のものは真贋無保証となっている。

 なお、落札した場合は、落札価格に別途ギャラリーの手数料が10%、この手数料に対して消費税が10%加算される。10,000円で落札すれば、手数料1,000円と消費税100円がかかり、合計11,100円が支払い金額になる。

 オークションは12:00ー18:00、入札締め切りが1月24日(月)16:30、開札が同日17:00からとなっている。

 入札しなくて見るだけでも大丈夫。作品は480点以上並んでいて面白いのでぜひ行かれることをお薦めする。出品リストはギャラリー椿のホームページでみることができる。

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ギャラリー椿

東京都中央区京橋3-3-10 第一下村ビル1F

電話03-3281-7808

http://www.gallery-tsubaki.net

 

 

鮎川信夫 他『現代詩との出合い』を読む

 鮎川信夫 他『現代詩との出合い』(思潮社 詩の森文庫)を読む。副題が「わが名詩選」とあり、7人の詩人が選んだアンソロジーになっている。鮎川の他には、田村隆一黒田三郎、中桐雅夫、菅原克己吉野弘山本太郎が選んでいる。

 鮎川は萩原朔太郎西脇順三郎森川義信を選んでいる。森川は、鮎川が「死んだ男」で「M」と呼びかけた友人だろう。鮎川信夫「死んだ男」の最終章を引く。

 

埋葬の日は、言葉もなく

立合う者もなかった、

憤激も、悲哀も、不平の柔弱な椅子もなかった。

空にむかって眼をあげ

きみはただ重たい靴のなかに足をつっこんで静かに横たわったのだ。

「さよなら、太陽も海も信ずるに足りない」

Mよ、地下に眠るMよ、

きみの胸の傷口は今でもまだ痛むか。

 

 田村隆一は、中桐雅夫の詩と、アンソロジー「荒地」の序文「Xへの献辞」を挙げている。黒田三郎の挙げたのは、金子光晴安西冬衛三好達治丸山薫ボードレールと「ルバイヤート」だった。中桐雅夫は、鮎川信夫の「囲繞地」という150行以上の長い詩、それに堀口大學萩原朔太郎室生犀星

 菅原克己は、はたち前に愛唱していたというロゼッティやド・グウルモンやヴェルハアランなどの古い詩や歌詞など。あとは室生犀星山村暮鳥、石井健吉、小熊秀雄など、そして最後にシュペルヴィエル

 吉野弘は職場で毎週1回、詩をガリ版に刷って配っていたという、その配布した詩を14篇紹介している。黒田三郎岩田宏谷川俊太郎茨木のり子川崎洋、長谷川龍生、嶋岡晨、安水稔和、高良留美子、加藤八千代、北村太郎、そしてプレヴェール、ポンジュ、シェイクスピアと並ぶ。

 山本太郎は、日本書記、アイヌユーカラ、日本の民謡などを引いている。

 このようなアンソロジーはいくつあっても良いものだ。選者によって選ぶ詩が違ってくる。いろんな詩人が紹介されて、こんな詩人がいたのかと教えられることが多い。

 

 

片山杜秀『尊皇攘夷』を読む

 片山杜秀尊皇攘夷』(新潮選書)を読む。副題が「水戸学の四百年」、480頁近い大著だ。ページ数が多いのは、明治維新を用意した尊王攘夷について、水戸光圀から始めて丁寧に描いていることと、雑誌『新潮45』および『新潮』に連載したためで、『新潮45』の読者に合わせて、エピソードをたっぷり盛り込んでいるためだろう。月刊誌なので、先月号に書いたことをまた再録したり、必要以上に嚙み砕いて書いている印象がある。だが、それだけに尊王攘夷についてよく理解できたと思う。

 「水戸学四百年」と副題にあるように、専ら水戸藩の動向に焦点を合わせて記述しているので、長州や薩摩の動きについては水戸に関連する程度に簡単に済ませている。それにしても水戸黄門こと水戸光圀の『大日本史』編纂事業が、水戸藩を巻き込んで幕末まで大きな影響を及ぼし、結果として倒幕から明治維新を準備したことになり、またひいては太平洋戦争まで影響を及ぼしたことは、光圀の思惑から遙かな所まで届いたことだと感嘆する。

 幕末の天狗党事件の悲惨さも胸を突く。三島由紀夫の曾祖母の兄は水戸藩支藩、宍戸藩の藩主松平頼徳だが、天狗党および反天狗党たる諸生党を鎮撫すべく水戸藩主の名代として水戸へ入るが、複雑な政治情勢から徳川幕府側から攻撃され、最後に切腹させられる。切腹したが、「頭を垂れて長く苦しんだというから、まともな介錯を伴わなかったのであろう」と片山は書く。三島由紀夫はそのことを、可愛がってくれた祖母から聞かされ続けたのだろう。それがあれほどまでに切腹に拘泥した三島の性癖を作ったのではないかと、思いがけないことを教わった。

 私は若いころ明治維新関係をよみふけっていたことがあったが、天狗党についてはほとんど知らなかった。それが水戸藩内部の激しい内戦で、敵対する相手の女子供など家族も巻き込んで殺戮しあったという。そのことは深い傷を双方に残したことだろう。

 

 

山本弘の作品解説(107)「ぼーし」

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 山本弘「ぼーし」、油彩、F3号(27.3×22.0cmか?)

 1977年制作、山本弘47歳。帽子をかぶっている若い娘を描いている小品。クリーム色の絵具で顔の輪郭を描き、同じ色で鼻を描いている。左腕にもその色を置いている。娘はつばの広い帽子をかぶり、その帽子の上部に絵筆の尻で線を引き表情を付けている。

 3号という小品では山本はしばしば洒落た作品を作っている。タイトルも少し遊んでいるようだ。

 

 

 

OギャラリーUP・sの佐藤阿朱香展を見る

 東京銀座のOギャラリーUP・sで佐藤阿朱香展が開かれている(1月23日まで)。佐藤は2001年に中央大学法学部を卒業し、2005年に中国南開大学東方芸術系を卒業している。中国では中国画を学んだ。2018年からザボハウスで銅版画を制作している。今回が初個展となる。

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 面白い作品を作っている。立体工作の展開図のような造形だが、実際に切り抜いて貼り合わせると家が出来るという。片隅のテーブルの上には、そうして作った家の模型が置かれている。こんな展開図を作品に仕上げた作家を初めて見た。

 法学部を卒業して中国に行って絵を学ぶという経歴も尋常じゃないだろう。その尋常じゃない世界観が作品に現れている。

 他にも竜宮城らしき世界や、クジラのジグソーパズルを作品にしている。今回が初個展とはちょっと信じがたい完成度だった。

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佐藤阿朱香展

2022年1」月17日(月)―1月23日(日)

12:00-20:00(日曜日11:00-15:00)

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OギャラリーUP・s

東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3F

電話03-3567-7772

http://www4.big.or.jp/~ogallery/