コバヤシ画廊企画室の「疾走する女性たちⅢ」を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊企画室で「疾走する女性たちⅢ」が開かれている(1月31日まで)。参加作家は、浅葉雅子、菅野まり子、前本彰子、村上早の4人。いずれもコバヤシ画廊で個展を続けている実力者たちだ。

前本彰子

前本彰子(部分)

浅葉雅子

浅葉雅子

村上早

村上早

菅野まり子

菅野まり子

菅野まり子


 菅野まり子を除いて皆大作を展示している。菅野は小品8点を展示しているが、それらは連作で、川野芽生『闇の奥に』と、ボッカッチョ『デカメロン』から採られているようだ。紹介した小品は9点だが、1点が重複している。

 なお、コバヤシ画廊企画室はコバヤシ画廊の企画展に使われる名称。

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「疾走する女性たちⅢ」

2026年1月19日(月)-1月31日(土)

11:30-19:00(最終日は17:00まで)日曜休廊

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コバヤシ画廊企画室

東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F

電話03-3561-0515

http://www.gallerykobayashi.jp/

 

「東京藝術大学油画卒業制作学内審査展2026」を見る

 東京藝術大学絵画棟で「東京藝術大学油画卒業制作学内審査展2026」が開かれている(1月14日まで)。それらの内いくつかを紹介する。

 

グンジ

村松辰之助

村松辰之助(アルミパネル)

鈴木詠士

鈴木詠士

鈴木詠士

黒澤巧

黒澤巧

白坂茉桜

白坂茉桜

びゅん

びゅん

びゅん

藤田汐海

藤田汐海

高橋巧

高橋巧

榊史華

榊史華

かねこもえ

かねこもえ

橋本啓佑

大内章平

高木いろ佳

高木いろ佳

クーリー アリス

クーリー アリス

クーリー アリス

齊藤輝地


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東京藝術大学油画卒業制作学内審査展2026」

2026年1月12日(月)-1月14日(水)

12:00-19:00

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東京藝術大学美術学部絵画棟

東京都台東区上野公園12−8

 

 

ギャラリーαMの高橋耕平展を見る

 東京市ヶ谷のギャラリーαMで高橋耕平展「逆・様」が開かれている(2月21日まで)。高橋耕平は1977年、京都府生まれ。芦屋市美術博物館、東京都写真美術館京都市京セラ美術館、豊田市美術館兵庫県立美術館、京都芸術センターなどで展示している。

 高橋は新宿区富久町児童遊園内に建てられた市ヶ谷刑死者慰霊碑を知る。そこはかつて東京監獄市ヶ谷刑務所があった土地で、そこから大逆事件和歌山県新宮市との関係へ関心が向かった。大槻晃実が書く。

1911年、幸徳事件(大逆事件)により死刑判決を受けた24名のうち、実際に処刑されたのは12名で、その中には新宮市出身の6名(刑死者は2名)が含まれていた。彼らは「紀州グループ」と称されていたが、実態としての結びつきはなく、国家によるフレームアップの象徴とも言える存在として、現在は記録されている。

幸徳秋水を中心とする初期社会主義者たちは、自由や平等を掲げながらも、当時の国家体制にとっては「逆らう者」として扱われた。彼らの思想や活動は、十分な証拠もないまま「大逆罪」として裁かれ、死刑判決が下された。これは、国家による思想弾圧の象徴的事件であり、後に冤罪であったことが明らかになるまで、長い沈黙の時代が続く。(中略)

本展では、彼らの墓と新宮の風景を中心とした写真、そして丸太が主要な構成要素となっている。貯木場で浮かぶように配置された丸太の表面には切り込みが入れられ、天地が「順」と「逆」に分けられた写真が差し込まれる。展示室の床を水面と見立てるならば、私たちは水上からその光景を眺めているのか、あるいは水中から見上げているのか、その境界は次第に曖昧になっていく。同じ場所であっても、異なる方向から眺めると景色が変わるように、主体と客体のそれぞれの語りによって「事実」は幾通りにも立ち現れてしまうことを想起させるだろう。(中略)

児童遊園の慰霊塔は今後どのように継承されていくのだろう。100年後もその形を留めているだろうか。その判断もまた、人間の手に委ねられている。

 


 動画に映し出されているのは「富久町児童遊園内に建てられた市ヶ谷刑死者慰霊碑」だ。そしてギャラリーには半分に割られた丸太が展示されている。大逆事件とその記憶をこのような展示で表現したのは優れた方法だと思う。私も一度富久町児童遊園内に建てられた市ヶ谷刑死者慰霊碑を訪ねてみよう。

 新宮市は10年ほど前だったか、派遣の仕事で訪ねたことがあった。その時は中上健次の墓に詣でたのだったが、小ぶりながら品の良い墓だった。花と日本酒が供えられていた。新宮市大逆事件の犠牲者と中上健次の出身地だったのか。

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高橋耕平展「逆・様」

2025年12月13日(土)-2026年2月21日(土)

12:30-19:00(日・月・祝日休み)

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ギャラリーαM

東京都新宿区市谷田町1-4 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス2F

電話03-5829-9109

https://gallery-alpham.com

JR総武線東京メトロ有楽町線南北線、都営新宿線、各市谷駅より徒歩3分

 

 

カフェZOZOIの川口祐展を見る

 東京神田淡路町のカフェZOZOIで川口祐展「そこにある風景」が開かれている(1月30日まで)。川口祐は1970年東京生まれ、桑沢デザイン研究所で学んだ。2003年から3年間ギャラリイKで個展をし、その後数カ所のギャラリーで個展を開き、2013から2016年までSTORE FRONTで、2018年にはスイッチポイントギャラリーで個展をしてきた。最近は谷中のHAGISOや金柑画廊で個展を行っている。


 今回はカフェでの展示である。矩形の中に三角形の造形が設置されている。それは直角二等辺三角形だったり、直角三角形だったりする。三角形は赤や白、グレーの色が塗られていたり、白木のままだったりする。極めてシンプルな造形だ。

 これらは何だろう。作品を極限まで単純化しているのだろうか? そうでありながらもミニマルとは少し違うのではないかと思われる。直角三角形を取り入れていることで、表現が生まれているのではないか。

 しかし、難しい。川口は画廊の空間を媒体にしてペインティングしたり(ギャラリーHAGISO)、紙粘土に絵の具を塗り込んだ塊のようなオブジェを壁面に一列に並べたり(金柑画廊)、実際に梱包に使われた段ボールの一部を作品としたり(ギャラリーHAGISO)、壁面に棒状の木材を設置したり(ストア・フロント)と、もの派ともコンセプチュアルとも違う独特の表現を重ねてきた作家なのだ。その展示はいつもある種の緊張感が漂っている。

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川口祐展「そこにある風景」

2026年1月12日(月)-1月30日(金)

12:00-18:00(火曜日休み)

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カフェZOZOI

東京都千代田区神田淡路町2-21-10 TSフォレスト1F

※都営新宿線小川町駅丸ノ内線淡路町駅、千代田線新御茶ノ水駅から徒歩3分

 

トキ・アートスペースの笠原由起子展を見る

 東京外苑前のトキ・アートスペースで笠原由起子展「All the Seeds We Cannot See-まだ見ぬ種子」が開かれている。笠原由起子は1959年宮城県生まれ、1984多摩美術大学絵画科油画専攻を卒業し、1986年多摩美術大学大学院絵画を修了とある。1985年村松画廊で初個展、以来各地の画廊で個展やグループ展を開いている。多摩美術大学では中村錦平に師事したとあるから、あの東京焼きの陶の作家のことだろう。

 DMハガキに書かれたテキスト、

様々な森を歩き自生する植物の循環する形を収集して固有の「植物誌」を制作する

タンポポの綿毛か?


 陶や鉄で構成された作品、木蓮など植物の種や欅の樹皮などを固めて作った作品が展示されている。作家が不在だったので正確には分からないが、タンポポの綿毛と種子を固めたような作品もあった。ノートパソコンを象ったような作品は陶で作られている。

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笠原由起子展「All the Seeds We Cannot See-まだ見ぬ種子」

2026年1月13日(火)-1月25日(日)

12:00-19:00(最終日17:00まで)月曜日休廊

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トキ・アートスペース

東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F

電話03-3479-0332

http://tokiartspace.com