2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧
先日(4月21日)、朝日新聞夕刊にも紹介されたが、現在東京都世田谷区梅が丘BOXで清水邦夫作『楽屋』が連続競演されている。燐光群アトリエの会主催で、『楽屋』という芝居を18団体が競演する(4月27日〜5月10日まで)。 18の団体が共通の舞台、セットを使…
『米原万里ベストエッセイI』(角川文庫)を読む。タイトル通りの傑作集だった。米原はロシア語の同時通訳者でエッセイスト、小説家。9歳から14歳まで当時のチェコスロバキアの在プラハ・ソビエト学校で学んでいる。彼女の通ったロシア語の学校生活や同時通…
藤田一照・伊藤比呂美『禅の教室』(中公新書)を読む。副題が「坐禅でつかむ仏教の真髄」とあり、曹洞宗の僧侶である藤田が詩人の伊藤と禅について対談したもの。藤田は大学院を中退して禅の修行道場に入門し、6年後の1987年に師の命を受けて渡米、アメリカ…
東京銀座の銀座スルガ台画廊で川崎麻央個展が開かれている(4月30日まで)。同画廊が毎年行っている新人選抜展「レスポワール展」の一環だ。川崎は1987年島根県生まれ。2012年東京芸術大学日本画科を卒業し、現在同大学大学院博士後期課程3年に在学中。院…
昨日紹介したウィリアム・ブレイクの「虎 Tyger」の英語全文。 Tyger! Tyger! burning bright In the forests of the night, What immortal hand or eye Could frame thy fearful symmetry? In what distant deeps or skies Burned the fire of thine eyes? …
平井正穂編『イギリス名詩選』(岩波文庫)を読む。イギリスの16世紀のスペンサーやシェイクスピアから、20世紀のエリオットやオーウェンまで、66人100篇の詩が取り上げられている。すべて英和対訳になっているが、私の読んだのは和文のみ。 一人4篇取り上げ…
片山杜秀『クラシックの核心』(河出書房新社)を読む。バッハ、モーツァルト、ショパン、ワーグナー、マーラー、フルトヴェングラー、カラヤン、カルロス・クライバー、グレン・グールドの9人の音楽家を取り上げている。雑誌『文藝別冊』の特集に掲載したも…
東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで天野浩子展が開かれた(4月23日=今日まで)。天野は1984年神奈川県生まれ。2007年に女子美術大学芸術学部立体アート学科を卒業し、2009年に東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。日本や韓国、台湾の…
後藤大祐『詩集 誰もいない闘技場にベルが鳴る』(土曜美術社出版販売)を読む。後藤は1979年生まれの若い詩人。これが最初の詩集のようだ。あとがきに相当する「現代詩について。」にこうある。 就職活動中、「詩を専攻? じゃあ、詩をここで作ってみて」と…
東京銀座のなびす画廊で瀧田亜子展が開かれている(4月30日まで)。瀧田は1972年東京都生まれ。なびす画廊での個展は去年の11月に続いて今回で20回目になる。最近は春秋と年に2回個展を行っていて、作品は紙に顔料で描いている。瀧田は昔から書を学び、そ…
長島有里枝『背中の記憶』(講談社文庫)を読む。6年前に読んで圧倒されたことを、先日長島有里枝展を見てブログに紹介して思い出した。昨年文庫化されていた。 再読して改めて圧倒された。13篇のエッセイが並んでいる。長島の子供の頃を描いたものばかりだ…
内田樹『修行論』(光文社新書)を読む。内田は哲学者であり合気道の道場を主宰している。本書は主として合気道に関する原稿をまとめたもの。演劇評論家の渡辺保が毎日新聞に書評を掲載していた(2013年9月29日)。それで購入していたが、このほどやっと読ん…
キラキラネームとやらが流行っているらしい。小学校で新入生の名前を先生が読めるのがやっと3分の1だと聞いた。最近知った名前は「一二三」と書いて「ワルツ」と読むと言う。実は戸籍には読み方を規定する規則はない。仮名はともかく漢字をどのように読むか…
ニルス・ウッデンベリ『老人と猫』 (エクスナレッジ)を読む。著者はスウェーデンの心理学者で大学でも教えている。70歳を超えて妻と二人暮らし。10月末にアフリカ旅行から帰ってしばらくすると、見知らぬ猫が物置小屋に住みついているのに気がついた。この…
エリザベス・コルバート『6度目の大絶滅』(NHK出版)を読む。1年ほど前に養老孟司が毎日新聞に紹介していた(2015年5月31日)。 地球上からほとんどの生物がいなくなってしまう。そういう大事件が地質学史上でこれまで5回起こっている。これをふつう大絶…
東京銀座のフジカワ画廊の常設展で中津川浩章展が開かれている(4月28日まで)。中津川は1958年静岡県生まれ。和光大学で学び、個展をギャラリイK、パーソナルギャラリー地中海などで数回ずつ開き、その他、ギャラリー人、ギャラリー日鉱、マキイマサルファ…
長島有里枝展「家庭について/about home」が東京渋谷区のMAHO KUBOTAギャラリーで開かれている(4月23日まで)。このMAHO KUBOTAギャラリーは先月新しくオープンしたばかりのギャラリーで、オーナーの久保田真帆はスカイ・ザ・バスハウスに勤めていたらし…
東京北青山のギャラリージーで染谷レイコ写真展「Coming Out」が開かれている(4月24日まで)。染谷は1980年、埼玉県生まれ。今回がこのギャラリー ジーで13回めの個展になる。 DM葉書の写真を見てみよう。若い娘がビルの蔭の階段に座っている。足を少し挑…
ソニーコンピューターサイエンス研究所の北野宏明が「人工知能が開く未来」というタイトルでインタビューに答えている(朝日新聞、2016年4月9日)。囲碁の世界でグーグル傘下の人工知能(AI)「アルファ碁」が世界のトッププロを4勝1敗で下した。今後はど…
東京銀座のギャラリーQで海老塚季史展が開かれている(4月16日まで)。海老塚は1987年、神奈川県生まれ。2011年に東京芸術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業し、2013年に同大学大学院美術研究科染織専攻を修了している。いままでShonandai MY ギャラリーな…
ベランダのプランターに見慣れないスミレが咲いている。このスミレの名前は何だろう。どこから来たのだろう。いわゆるスミレViola mandshuricaに似ているようにも思うが、少々違うような気がする。なぜベランダのプランターに生えているのだろう。去年も咲い…
横尾忠則・保坂和志・磯崎憲一郎の鼎談『アトリエ会議』(河出書房新社)を読む。3人が横尾のアトリエに集まって鼎談しているのを会議と呼んでいるもの。しかしながら、むしろ雑談と言った方が正確だ。テーマなどはなく、3人が気ままに喋っている。横尾は193…
久住昌之(原作)×谷口ジロー(作画)『孤独のグルメ(文庫版)』(扶桑社文庫)を読む。これは先日久住昌之著『東京都三多摩原人』(朝日新聞出版)を読み、それで久住が原作を書いている本書に興味を持ったため。何巻にもわたるシリーズがあるかと思ったら…
窪田空穂『わが文学体験』(岩波文庫)を読む。窪田については歌人ということよりほかほとんど知らなかったし、その歌も読んだ記憶がなかった。しかし近代文学者の自伝やエッセイが好きなので手に取ってみた。 最初、空穂は歌論とか作歌の心構えなどについて…
ル・クレジオ/望月芳郎・訳『ディエゴとフリーダ』(新潮社)を読む。メキシコの画家ディエゴ・リベーラとフリーダ・カーロの伝記だ。著者のル・クレジオはノーベル文学賞受賞者のフランス人。私が高校3年のとき、ル・クレジオの処女作『調書』が翻訳出版さ…
毎週日曜日はもう何十年も読売、朝日、毎日の3大紙を購入して書評欄を読んでいる。4月3日の書評では松山巌が推薦する嵐山光三郎著『漂流怪人・きだみのる』(小学館)が良かった(朝日新聞)。きだはファーブルの『昆虫記』10巻を山田吉彦名で訳し、『気違…
連城三紀彦『夜よ鼠たちのために』(徳間文庫)を読む。連城が2013年に亡くなったとき、ミステリ作家の綾辻行人が朝日新聞に追悼文を書いた(2013年10月29日夕刊)。 美文で男女の機微を描く恋愛小説の書き手というイメージが一般に定着していますが、連城作…
横浜美術館で「村上隆のスーパーフラット・コレクション」が開かれている(4月3日まで)。3月31日に見に行ったら木曜日休館となっていた。それで改めて翌4月1日に足を運んだ。アンゼルム・キーファーの立体作品が見たくて行ったのだったが、キーファー…
先日読んだ星野保『菌世界紀行』(岩波科学ライブラリー)の巻末に、「さらに知識を深めたい読者のための文献紹介」が載っていて、その中に「ロシアについて」という項があり、『酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』が紹介されていた。 ヴェネディクト・エ…