2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧
帰燕せつなき高さ飛ぶ ――山本弘、わが敬愛する画家の思い出―― 山本弘に初めて会った時、坂口安吾の「堕落論」を読めと言われた。私が19歳、山本さんが37歳だった。美人の奥さん(愛子さん)はまだ26歳。もう36年前になる。 ぼくは弟子はとらないから先生と呼…
初めて久保理恵子の作品を見たのは1994年4月のなびす画廊だった。彼女の初個展ではなかったか。大きな横長の画面に一輪の黒い百合の蕾が一杯に描かれていた。「百合ですね」「分かりますか」という会話を覚えている。他に赤い花の作品もあり、DMにはこの作…
オリーブの木陰 あの日遠い国からはるばるとあなたがやって来た ぼくはあなたを小さな公園に誘った 公園では紅梅が満開だった オリーブの木陰で あなたはぼくのためにポーズをとってくれた はにかんで 少し困って その時なぜ子供の頃の話をしたのだろう 近所…
友人の一周忌に 渦を巻く炎に乗って君は去り風越(かざこし)の峰木立さやげり 友人の住居址に立って 谷に向く君の姿に重ねれば朝ごとに見し君の視界が 酒瓶にひそと沈める黄なる実の焼け跡近く花梨立ちたり 黄金なる花梨をひとつ手に載せて業火と煙の記憶を…