2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

富士フイルムフォトサロンの鬼海弘雄写真展「インディア」を見る

東京六本木の富士フイルムフォトサロンで鬼海弘雄写真展「インディア1979−2016」が開かれている(6月1日まで)。鬼海は1945年山形県寒河江市生まれ。1973年から浅草で写真を撮り始め、1979年に初渡印、以降インドやアナトリア(トルコ)の撮影を重ねる、とち…

ギャラリー現の峯岸千絵展を見る

東京銀座のギャラリー現で峯岸千絵展が開かれている(6月3日まで)。峯岸は1976年生まれ、現在千葉に住んでいる。1999年東京造形大学造形学部デザイン科卒業。2005年にギャラリー現で初個展、以来ギャラリー現で個展を続け、今回が7回目となる。 画廊の左手…

吉本隆明『写生の物語』を読む

吉本隆明『写生の物語』(講談社文芸文庫)を読む。吉本が雑誌『短歌研究』に1995年から1997年にかけて断続的に連載した短歌論。「起源以前のこと」や「遊びとしての『百人一首』」から、「江戸期の短歌1、2、3」、「中也と道造の短歌」、「鴎・漱の短歌…

小泉明郎展『帝国は今日も歌う』を見る

先日、東京渋谷のVACANTで小泉明郎展『帝国は今日も歌う』を見た(5月11日)。小泉明郎展と題されていたが、15分ほどの動画作品だ。 会場には3つのスクリーンが設置されていて、作品はこのマルチスクリーンに映し出されていく。青年が街なかに立っていてぼ…

東京女子大篠崎ゼミの方言チャートがスグレモノ

数年前から話題になっている東京女子大学の篠崎晃一ゼミとジャパンナレッジが開発した「出身地鑑定!! 方言チャート」がおもしろい。 方言に関する質問に答えるだけで、あなたの出身地を当ててしまうのが「出身地鑑定!! 方言チャート」。東京女子大学篠崎ゼミ…

町田健『ソシュールと言語学』を読む

町田健『ソシュールと言語学』(講談社現代新書)を読む。ソシュールはスイスの言語学者で、現代言語学を築いた偉大な学者だ。またその方法から構造主義が生まれた。 全体の3分の1を占める第1章で町田は難解なソシュールの言語学をやさしく丁寧に解説してく…

ギャラリーカメリアの堀由樹子展「庭、前線」を見る

東京銀座のギャラリーカメリアで堀由樹子展が開かれている(5月28日まで)。堀は1971年東京生まれ、1994年に東京造形大学絵画専攻を卒業し、1995年に同大学絵画専攻研究生を修了している。1995年にJ2ギャラリー、その後なびす画廊、ギャラリー山口、ギャラリ…

コバヤシ画廊の村山隆治展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で村山隆治展が開かれている(5月27日まで)。村山は1954年茨城県生まれ。1980年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。個展の回数は多いが、特にコバヤシ画廊では今回が14回目となる。 村山は特殊な方法で作品を作っている…

10歳でキャバレーで働いていた女性!

若い頃、渋谷のキャバレー「エンパイア」で働いていたことがあったと以前ここに書いたら、当時働いていた人や客だったという人がコメントを書いてくれた。 その中に驚くべき体験を書いてくれた女性がいた。そのカオリンさんのコメントを紹介する。 カオリン …

ツタの葉の形の違い

ここに2鉢のツタの小品盆栽がある。どちらも実生から育てたもので、鉢に上げて10年以上になる。同じ種類のツタだが葉の形が違っている。 左は小さな葉が3枚でひとつの葉を作っている。これは3出複葉といわれるものだろう。 右は1枚の葉になっている。掌状裂…

宇フォーラム美術館の「visual-lines」を見る

東京国立の宇フォーラム美術館で「visual-lines」が開かれている(6月4日まで)。3人の作家のいずれもインスタレーションで、望月厚介、清野耕一、作間敏宏が参加している。望月は1948年静岡県生まれ。清野は1957年東京都目黒区生まれ。作間は1957年宮城県生…

金田一春彦『美しい日本語』を読む

金田一春彦『美しい日本語』(角川ソフィア文庫)を読む。2002年に角川oneテーマ新書21として刊行された『日本語を反省してみませんか』を改題したもの。5つの章からなっていて、「『常識度』模擬試験」「周りを引き付ける人の日本語力」「『話せばわかる』…

黒田龍之助『その他の外国語 エトセトラ』を読む

黒田龍之助『その他の外国語 エトセトラ』(ちくま文庫)を読む。初めてのエッセイ集の由で、4つの章に分かれていて、「33文字の日常」「22の不仕合せ」「海外旅行会話11の法則」「11年目の実践編」からなっている。 黒田はロシア語から始めて、ウクライナ…

ヒノギャラリーの多和圭三展「ブ、ツ、シ、ツ」を見る

東京八丁堀のヒノギャラリーで多和圭三展「ブ、ツ、シ、ツ」が開かれている(6月3日まで)。多和は1952年愛媛県生まれ、1978年日本大学芸術学部美術学科彫刻専攻卒業、1980年日本大学芸術学部芸術研究所修了、2009年多摩美術大学彫刻科教授就任、現在に至る…

文京アートの中村宏展を見る

東京八丁堀の文京アート FUMA CONTEMPORARY TOKYOで中村宏展が開かれている(5月27日まで)。中村宏は1932年静岡県浜松市生まれ。初めルポルタージュ絵画という社会的な絵画を描く。砂川闘争を描いた名作が作られた。それはリアリズムとは異なり、シュールレ…

中沢新一『チベットの先生』を読む

中沢新一『チベットの先生』(角川ソフィア文庫)を読む。チベットの先生とは中沢がチベット仏教を学んだケツン・サンポ先生のこと。表紙には先生と並んだ中沢の写真が使われている。なんとなく四方田犬彦の『先生とわたし』を連想した。四方田は彼が師事し…

JCIIフォトサロンの鷲尾倫夫写真展を見る

東京半蔵門のJCIIフォトサロンで鷲尾倫夫写真展「写真週刊誌『FOCUS』がとらえた時代」が開かれている(5月28日まで)。鷲尾は『FOCUS』創刊以来の同誌専属カメラマンだった。『FOCUS』は1981年に創刊し、20年後に休刊した。 懐かしい顔の写真が並んでいる。…

銀座ニコンサロンの梁丞佑写真展「新宿迷子」を見る

東京銀座の銀座ニコンサロンで梁丞佑写真展が開かれている(5月23日まで)。毎日新聞社主催の第36回土門拳賞受賞作作品展で、「新宿迷子」と題されているとおり、主に新宿歌舞伎町の夜の風俗を撮っている。梁丞佑は韓国人で1996年に来日し、2000年に日本写真…

奥泉光・群像編集部 編『戦後文学を読む』が面白い

奥泉光・群像編集部 編『戦後文学を読む』(講談社文芸文庫)を読む。戦後作家9人を取り上げてそれぞれ奥泉と2人の作家の鼎談で評論している。奥泉以外は毎回別々の作家が参加している。取り上げられる作家9人は、野間宏、武田泰淳、椎名麟三、梅崎春生、大…

ギャラリー現の齊藤誠展を見る

東京銀座のギャラリー現で齊藤誠展が開かれている(5月13日まで)。齊藤は60代の作家、詳しい経歴は分からない。ギャラリー現で毎年もう20数回個展を開いている。 ちょっと変わった作風だ。装飾的で一見ウォーホルの花のシルクスクリーン作品を思わせる。 し…

ギャラリー枝香庵の浜田浄展を見る

東京銀座のギャラリー枝香庵で浜田浄展が開かれている(5月17日まで)。浜田は1937年高知県生まれ、1961年多摩美術大学油科を卒業している。1964年、東京杉並区のおぎくぼ画廊で初個展、以来数多くの個展を開いている。2015年には練馬区立美術館で回顧展が開…

東大教師が新入生にすすめない本

東大出版会のPR誌『UP』の4月号は毎年「東大教師が新入生にすすめる本」というアンケートの結果を紹介している。今年のみI部を東大教師によるアンケート、II部はUP誌に執筆している方によるアンケートとなっている。アンケートの質問は、 1.私の読書から――…

横木安良夫『サイゴンの昼下がり』を読む

横木安良夫『サイゴンの昼下がり』(新潮社)を読む。横木は篠山紀信のアシスタントを経てコマーシャルカメラマンとして独立する。巻末の略歴によると、「94年初めてヴェトナムを訪れて、その虜になる」とある。本書はそのヴェトナム紀行。写真と文章が半々…

『絵描きと画材屋』を読む

『絵描きと画材屋』(亡羊社)を読む。副題が「洋画家・野見山暁治と山本文房堂・的屋恭一の五十年」というもの。野見山が中学生のころから通った博多の画材屋山本文房堂の2代目店主との対談を、井口幸久を聞き手としてまとめたもの。 山本文房堂はもともと…

エドワード・ヤン監督『クー嶺街少年殺人事件』を見る

エドワード・ヤン監督『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を見る。(「クー」は牛編に古のつくりの漢字)1991年制作の台湾映画。236分、4時間弱の長編映画を1週間限定でシネスイッチ銀座で夕方6時から毎日1回だけ上映している(5月5日まで)。劇場のホ…

岡田睦『明日なき身』を読む

岡田睦『明日なき身』(講談社文芸文庫)を読む。3月の新刊として新聞に三八の広告が載ったとき、恩田陸が文芸文庫になったんだと思ったが、恩田には興味がないやと思ってそのまま忘れた。それがSギャラリーのYさんから、岡田睦は私小説作家であり、現在行方…

『吉本隆明 江藤淳 全対話』を読む

『吉本隆明 江藤淳 全対話』(中公文庫)を読む。吉本と江藤が5回も対話をしていて驚いた。吉本は極左の思想家、江藤は保守派の評論家だ。年齢は吉本が8歳年上の1924年生まれ。二人が和気あいあいと対話を重ねている。お互いに相手のことを評価し合っている…

山本弘の作品解説(56)「題不詳」

山本弘「題不詳」、油彩、F50号(90.9cm×116.7cm) 1977年制作。青い丸が描かれている。そこに白い線でM字が描かれている。なんだか顔のようにも見える。するとその下に青く描かれている太い線は人の身体だろうか。足も見える。 左上には白い三角が描かれて…

二宮敦人『最後の秘境 東京藝大』を読んで

二宮敦人『最後の秘境 東京藝大』(新潮社)を読む。副題が「天才たちのカオスな日常」というもの。二宮の妻が藝大彫刻科に在籍している関係から、藝大生たちにインタビューしてそれをまとめたもの。事実面白い内容だが、出版社がことさら面白おかしく宣伝し…