2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

司馬遼太郎『この国のかたち 二』を読む

司馬遼太郎『この国のかたち 二』(文春文庫)を読む。『文藝春秋』の巻頭言として連載したものを24回分まとめている。単行本は30年前に出たものだが内容は古びていない。 この巻頭言は時事的なものではなく、日本の歴史、文化を毎回原稿用紙10枚ほどにまと…

墨田区の廃屋

墨田区の一角に廃屋がある。片側1車線の道路に面した駐車場の扉が半ば開いていて庭が見える。いまはほとんど木が茂っているが以前は車庫だったのだろう。 Google mapで空から見ると、中央の空き地の北(上)がその廃屋だ。間口10m、奥行20mの200平米、およ…

山本弘に影響を与えた画家

私が初めて山本弘に会ったとき、山本は37歳だった。その時山本が好きだと言った画家は、モジリアニ、スーチン、ゴッホ、そして長谷川利行だった。長谷川については豊橋に住む友人の画家山本鉄男にもらったという分厚い画集を持っていた。後日東京ステーショ…

「空有」という思想

東京墨田区立花一丁目1番地に吾嬬神社がある。祭神は弟橘姫、ヤマトタケルの妃だ。ヤマトタケルが浦賀水道を船で横断するとき嵐で船が難破しそうになった。弟橘姫が海に身を投げて海神の怒りを鎮め無事ヤマトタケルが岸に着いたという。その後流れ着いた弟橘…

長谷川康夫『つかこうへい正伝』が文庫化される

長谷川康夫『つかこうへい正伝』が新潮文庫化される。それで、5年前に書いた紹介を再掲し、あわせて、さすらい日乗さんによる長谷川康夫『つかこうへい正伝1968−1982』評も一緒に再掲する。 ・ まず私が1995年12月22日にアップした『つかこうへい正伝1968−19…

『第三の男』を見て読む

キャロル・リード監督の映画『第三の男』を見て、グレアム・グリーンの原作を読む。映画は2回目、小説は3回目だった。いつもは原作に比べて映画化されたものは劣ると思うのに、両方比べてみてこれは映画の方が優れていると思った。 小説には序文がついていて…

高松プロダクション・吾嬬撮影所跡

墨田区曳舟駅周辺を散歩していたら十間橋通りの一角に小さなプレートが目についた。「高松プロダクション・吾嬬撮影所跡」とある。そのプレートの文章を引く。 高松プロダクション・吾嬬撮影所跡 所在 墨田区京島三丁目62番 日本映画の製作は、日活、松竹な…

浅田次郎のお母さんのエピソード

朝日新聞に連載コラム「かあさんのせなか」があって、今日は浅田次郎だった。「タフで恋多き永遠の神秘」となっている。記者の聞き書きのようだ。 浅田次郎のお母さんは美しい人だったという。浅田の小説が映画化されて女優さんと会う機会があったが、おふく…

岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』を読む

岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』(岩波新書)を読む。「シリーズ日本近現代史」の第10巻、ちょうど10年前に発行されている。当時一度読んでいるが今回改めて読み直した。 この「シリーズ日本近現代史」は9人の研究者らが1巻から9巻までを分…

きのした いおの絵本『くもつくりびと』

きのした いおの絵本『くもつくりびと』が良かったので紹介したい。 くもつくりびとさく・え きのした いお くもつくりびとさく・え きのした いお 北の岬の小さな家に雲作りの職人が住んでいた 彼の仕事は雲を作ること作った雲を空へ放すこと 夏の終わりの…

江戸川区平井の天祖神社に参拝する

旧中川に沿って散歩していると、小ぶりだが趣のある神社があった。天祖神社だ。神社は小さいが建物は奥に深くなかなか優雅な建築だ。 江戸川区の教育委員会が設置したプレートが建てられている。それによると、 天祖神社 旧平井村の鎮守で1874年(明治7)に…

散歩で出会った花や虫たち

運動不足解消で近所の裏道を散策している。カメラを持って珍しい花やきれいな花を撮っている。知らない花も多いが、Googleレンズに教えてもらっている。もっともこのアプリすごく専門的なことを知っている反面全く違うことを教えてくれたりするので帰宅して…

気になる名前がある

気になる名前があって、それはカモミール茶だ。以前パートナーだった人が好んで飲んでいた。いわゆるハーブティーの一種で、紅茶のように淹れて香りがある。カモミールというハーブを乾燥して作るらしい。 このカモミールは標準和名をカミツレという。別名が…

山本弘初個展を紹介する新聞記事

山本弘の初個展は1958年(昭和33年)8月に飯田市公民館で開かれた。当時山本28歳。この時36点を展示したと記録にある。この個展について先輩で俳人でもある久保田創二が飯田市の地方紙『南信州』に寄稿している。久保田創二は、山本のことを詠んだかにも見え…

有名人との遭遇

有名人と遭遇した経験は数少ない。妹尾河童には両国のシアターXで遭遇した。芝居の途中休憩の時間、コーヒーなどの自販機の前で並んでいたら私の前が妹尾河童だった。なんか時間がかかっていたので声をかけたら買い方が分からなかったようだった。教えてあげ…

Googleレンズ

Googleレンズは娘がスマホにインストールしてくれた。その機能は、 「Google lens(グーグルレンズ)」は、カメラをかざすと映った情報を瞬時に読み取り、検索したり、情報をテキスト化したりしてくれる便利な機能で、AndroidとiPhoneで利用できます。精度は…

幽草の俳句

幽草さんはわが義父、1924年生まれで早稲田大学在学中に学徒出陣で中国戦線に投入された。終戦後大学に戻り、卒業後長野県で教職に就いた。趣味で俳句を作り『雲母』に属していたが、『雲母』の終刊とともに結社に属することをやめ、個人的な集りでのみ発表…

テーブルヤシの丈詰め

テーブルヤシの高さが1m20cmにもなった。植木鉢の高さを含めると1m50cmだ。これは葉の長さを含めない。冬季室内に入れるので天井に届いてしまいそうだ。 もともと娘が小学生のときポット苗を買ってきたものだ。娘が買ったのだが管理は私の担当になる。15年…

ノイバラの大きな株があった

近所の団地脇を散策していると、団地の駐車場と道路を隔てる植え込みに白い花が咲いているのが見えた。近づいて見ると、これはノイバラだった。どうしてこんなところにノイバラが? いずれ誰かが植えたものだろうが、ノイバラをざわざわ栽培する人は少ない。…

大沢梅次郎という人

JR総武線亀戸駅から明治通りを北上すると10分ほどで北十間川にかかる福神橋を渡る。右手すぐには関東でも最も古い神社だと私が確証する吾嬬神社があり、反対の左手に公園にしては小ぶりな場所があり、その奥に銅像が立っている。銅像の主は大沢梅次郎と名前…

若栗玄さんの年賀状

ここ何回か小原泫祐/若栗玄さんについて書いている。コロナ禍で自宅にいるのを機に古い資料を整理していたら、2009年にいただいた若栗さんの年賀状が出てきた。若栗さんはその年の9月12日に亡くなったから、これが最後の年賀状になった。 丑年にちなんで牛…

1995年の飯田市美術博物館の展示から

1991年に飯田市美術博物館で「新収蔵品展」が開かれ、山本弘の作品12点が初めて展示された。その4年後、1995年に同じ飯田市美術博物館で「平常展示 須田剋太の世界/山本弘――館蔵品より」が開かれて、20点近くが展示された。 それをきちんと撮影していなかっ…

仕事の極意

私の考える仕事の極意を紹介したい。これは以前も書いたことだが再録する。 まず重要なモットーを紹介する。 ・仕事に関しては「面倒」と言わない。 仕事というものは総て面倒なものなのだ。あえて面倒なことをして対価を得ている。仕事に対して面倒だと言っ…

丸木スマの猫の絵

丸木位里と丸木俊の絵を展示している埼玉県の「原爆の図・丸木美術館」が「臨時休館・緊急支援ページを開設」した。https://marukigallery.jp/news/news-2686/ 臨時休館中の丸木美術館を支えてください原爆の図丸木美術館は、開館当初から多くの市民の力に支…

山本弘の作品解説(97)「(題不詳)」

山本弘「(題不詳)」、油彩、F6号(31.7cm×41.0cm) 制作年不明、画風とサインからおそらく最晩年のもの、1977年か1978年ではないか。だとすれば山本弘47歳か48歳だろう。 幼い子供を描いている。誇張されているが娘の湘の面影が見られる。湘ならばこの頃6…

小原泫祐/若栗玄さんの手紙

昨日、小原泫祐/若栗玄さんの簡単な履歴をスケッチした。その中で、東邦画廊での山本弘初個展に際して画廊から山本の年譜の作成を求められ、知人たちに手紙を書いて山本とのエピソードなどを教えてくれるよう依頼した。それに対して小原/若栗さんは丁寧な…

小原泫祐と若栗玄という画家のこと

小原泫祐さんと若栗玄さんという画家について書いておきたい。実は二人は同一人なのだ。小原さんは1926年、長野県喬木村の渕静寺の次男として生まれた。のち東京美術学校(現東京藝大)師範科に入学したが、兄が寺を継がなくて教師の道を選んだため1945年に…

旅行する時のコツ

古い資料を整理していたら、25年前の新聞の切り抜きが出てきた。以前も一度紹介したことがあったが、もう少し詳しく紹介したい。(宮崎章夫「旅の師匠」朝日新聞1995年6月6日夕刊)。 宮沢は自分には「旅の師匠」がいると書く。あるテレビ局に勤めていたF氏…

見慣れない花の名前は?

娘がスマホにGoogleレンズというアプリを入れてくれた。これが大変な優れもので、スマホのカメラで撮影すると即座に対象の名前を教えてくれる。旧中川の河川敷に作られている花壇の花はネモフィラであり、同じくドイツアヤメとかオオツルボとかガザニアとか…

シジフォスの辛さ

NKHの番組「やわらかアタマが世界を救うスペシャル!」を見ていたら、受験生に勉強の意欲をかきたてるためのボールペンが紹介されていた。インクが入っている芯にインクの残量が分かる目盛りを入れている。毎日その目盛りを見れば、自分がどんなに勉強したか…