動物

死臭について

高見順の詩「三階の部屋」を引く。 三階の部屋 窓のそばの大木の枝に カラスがいっぱい集まってきた があがあと口々に喚(わめ)き立てる あっち行けとおれは手を振って追い立てたが 真黒な鳥どもはびくともしない 不吉な鳥どもはふえる一方だ おれの部屋は…

奥野良之助『金沢城のヒキガエル』(再録)

書店に『金沢城のヒキガエル』(平凡社ライブラリー)が平積みされていた。以前、本書を紹介したことを思い出し、あれから15年経ったからいいかと思ってここに再録することにした。(「奥野良之助「金沢城のヒキガエル」の進化論批判」) ・ 今西錦司を読ん…

山極寿一・小川洋子『ゴリラの森、言葉の海』を読む

山極寿一・小川洋子『ゴリラの森、言葉の海』(新潮文庫)を読む。ゴリラ研究者の山極と、『博士の愛した数式』の作家小川の対談集。これがとても良かった。小川は河合隼雄との対談『生きるとは、自分の物語をつくうること』(新潮文庫)も良かった。優れた…

幸田正典『魚にも自分がわかる』を読む

幸田正典『魚にも自分がわかる』(ちくま新書)を読む。副題が「動物認知研究の最先端」。ホンソメワケベラという小さな熱帯魚が「鏡に映った自分の姿を見て、それが自分だとわかる」という嘘のような驚くべき研究。 長い間、鏡に映る像を見て自己認知できる…

椿玲奈『カイメン』を読む

椿玲奈『カイメン』(岩波科学ライブラリー)を読む。カイメンは英語でスポンジ、食器洗いの人工のスポンジの元となった海綿動物だ。動物なんである。しかし、カイメンには脳も神経も消化管や筋肉すらない。 カイメンは水中に漂う植物プランクトンなどをこし…

ヤギのミルクを飲む

毎日新聞のコラム「今週の本棚・なつかしい一冊」に柚木麻子・選 『ハイジ』=J・シュピーリ作、矢川澄子・訳(福音館書店)が取り上げられている(11月14日付け)。 大人になって一番良かったことは、小さな頃、活字で読んで「これはなんだろう?」と不思…

落ちていたツバメの雛

娘と駅ビルで待ち合わせ、家を出たらマンションの通路にゴミが落ちていた。よく見ると死んだツバメの雛だった。実はその日の朝も同じ場所で死んでいたツバメの雛を見た。通路の上にツバメの巣があるのだった。娘に少し遅れると連絡して家に戻りティッシュと…

島泰三『ヒト、犬に会う』を読む

島泰三『ヒト、犬に会う』(講談社選書メチエ)を読む。副題が「言葉と論理の始原へ」で、タイトルとそぐわない。実は本書は言葉の発生を追求している。ヒトは犬との共生によって言葉を得たという驚くべき仮説を論証するのだ。 全体の20%を占める第1章が「…

丸木スマの猫の絵

丸木位里と丸木俊の絵を展示している埼玉県の「原爆の図・丸木美術館」が「臨時休館・緊急支援ページを開設」した。https://marukigallery.jp/news/news-2686/ 臨時休館中の丸木美術館を支えてください原爆の図丸木美術館は、開館当初から多くの市民の力に支…

高木佐保『知りたい! ネコごころ』を読む

高木佐保『知りたい! ネコごころ』(岩波科学ライブラリー)を読む。高木は同志社大学心理学部を卒業したあと京都大学大学院に入学し、行動文化学を学んでネコの心理を研究することになった。 高木はネコにエピソード記憶があるか実験する。いくつかのエサ…

猫の死

飼っていた猫が死んだ。チビ19歳と半歳(推定)だった。人間でいえば95歳くらいか。2000年9月頃公園で雨に濡れて弱っていた子猫をカミさんが拾ってきた。動物病院に連れて行くと生後2か月くらいで、寄生するノミが多く野良の母猫が生んだものだろうと診断さ…

ジェニファー・アッカーマン『鳥! 驚異の知能』を読む

ジェニファー・アッカーマン『鳥! 驚異の知能』(ブルーバックス)を読む。副題が「道具を作り、心を読み、確率を理解する」というもの。著者はサイエンスライターで、数多くの鳥類学者たちにインタビューして、その結果を本書にまとめている。通常の新書の…

『わたしのノラネコ研究』を読む

山根明弘『わたしのノラネコ研究』(さ・え・ら書房)を読む。先日紹介した『ねこの秘密』(文春新書)の著者が書いたジュニア向けの本だ。「わたしの」となっているのは、先輩伊澤雅子の絵本『ノラネコ研究』に対して山根のという意味だろう。伊澤の本が小…

『ねこの秘密』を読む

山根明弘『ねこの秘密』(文春新書)を読む。著者は北九州市自然史・歴史博物館の学芸員で、学生時代からノラネコの研究を続けてきた。動物学者が書いた猫の生態に関する(というと難しそうだが実は)易しい猫の入門書だ。猫好きならとても参考になって楽し…