ジェニファー・アッカーマン『鳥! 驚異の知能』を読む

 ジェニファー・アッカーマン『鳥! 驚異の知能』(ブルーバックス)を読む。副題が「道具を作り、心を読み、確率を理解する」というもの。著者はサイエンスライターで、数多くの鳥類学者たちにインタビューして、その結果を本書にまとめている。通常の新書の倍の410ページもあり、膨大な事例集となっている。巻末の謝辞は7ページにわたって、多くの名前が挙げられている。
 海部宜男が毎日新聞に書評を寄せていた(2018年4月8日)。その一節、

 鳥の渡りは、昔から大きな謎だった。大洋や時に赤道も超え、長距離の渡りを繰り返す。嵐で迷っても、目的地に到達する。この強力なナビゲーション能力の研究では、視覚的目印、地球磁場、太陽の位置と時間、夜空の星、匂いなどが候補に挙がってきた。現在の結論は「鳥はそれらのすべてを動員する」。空から地上を俯瞰する鳥の「脳内地図」は、私たちの想像を超えるものらしい。

 それらの具体的な事例が、詳しいエピソードとともに列挙される。驚くべき鳥の能力だ。『ひょっこりひょうたん島』の魔女ペラさんに倣って言えば、「感心するわよね」。
 ただ、この400ページを超える事例集、少々退屈であることは否めない。サイエンスライターがインタビューをもとに書き起こしているので、各研究者たちの研究成果を羅列するしかなくて、それらの膨大なデータから何かを総括することは(立場上)不可能なのだ。
 以前も似たような本の感想を書いたことがあったけど、膨大なエピソードは興味深いものだけれど、そのデータから得られる結論をこそ知りたいのだ。
 てな訳で私的にはペケだった。