エッセイ

酒村ゆっけ、『無色、ときどきハイボール』が面白そう

東大教授で、宇宙論・地球系外惑星の専門家須藤靖が朝日新聞の書評欄に、酒村ゆっけ、『無色、ときどきハイボール』(ダイヤモンド社)を紹介している。(4月10日付) 須藤はテレビ番組「孤独のグルメ」が好きだが、酒抜きである点がやや残念と書き、本書は…

司馬遼太郎『この国のかたち 三』を読む

司馬遼太郎『この国のかたち 三』(文春文庫)を読む。司馬のエッセイは優れていて好きだ。司馬の小説はほとんど読んでこなかったけれど、『街道をゆく』は全43巻を2回通読したくらい好きなのだ。 『この国のかたち』は雑誌『文藝春秋』の巻頭言として連載し…

高峰秀子『にんげん住所録』を読む

高峰秀子『にんげん住所録』(文藝春秋)を読む。先月某所で一時手許に読む本がなくなって、某所の自由に読める小さな本棚から借りたもの。高峰のいつもの読みやすいエッセイが並んでいる。 その中で子供のころから映画の子役として引っ張りだこの忙しさだっ…

和田誠『銀座界隈ドキドキの日々』を読む

1963年の銀座by和田誠 和田誠『銀座界隈ドキドキの日々』(文春文庫)を読む。和田はイラストレーターとして有名だが、最初はライト・パブリシティにデザイナーとして入社する。多摩美在学中に日宣美に応募して1等賞を取った。その頃の日宣美はデザイナーの…

石田千『窓辺のこと』を読む

石田千『窓辺のこと』(港の人)を読む。朝日新聞の「書評委員が選ぶ『今年(2020年)の3冊』」に須藤靖が取り上げていた。 『窓辺のこと』(石田千著、港の人・1980円) 初回の書評で取り上げたかったものの、出版後2カ月以内の原則に抵触して断念した。先…

先崎学『将棋指しの腹のうち』を読む

先崎学『将棋指しの腹のうち』(文藝春秋)を読む。以前、先崎の『小博打のススメ』を読んでから先崎の文章のファンになった。将棋のことはよく分からないが、先崎は名文家であり、またハチャメチャなキャラクターなのだ。 先崎学は12歳で麻雀を覚えたという…

相生坂、赤城坂を歩く

筑摩書房のPR誌『ちくま』に、ほしおさなえが「東京のぼる坂くだる坂」というエッセイを連載している。4月号は「相生坂、赤城坂」と題されて、神楽坂あたりを歩いてスケッチしている。 そのスケッチ=イラストがこれ。イラスト=九ポ堂とある。 右下に神楽坂…

美濃瓢吾『浅草木馬館日記』を読む

美濃瓢吾『浅草木馬館日記』(筑摩書房)を読む。美濃は毎年3月に上野の東京都美術館で開かれる「人人展」の常連画家で、「大入」と書かれた文字の前に招き猫が座っている絵を描き続けている。初めて彼の個展を見たのは上野仲通りの入口近くのビルの高い階に…

先崎学『摩訶不思議な棋士の脳』を読む

先崎学『摩訶不思議な棋士の脳』(日本将棋連盟)を読む。将棋の先崎9段の『週刊文春』の連載エッセイをまとめたもの。先崎は文章が上手くわずか3ページずつの短いエッセイながらちゃんと読ませるから大したものだ。 とは言え、短いので傑作といえるのはそん…

高橋秀実『悩む人』を読む

高橋秀実『悩む人』(文藝春秋)を読む。副題が「人生増段のフィロソフィー」とある。高橋は読売新聞の「人生相談」の回答者をつとめていたことがあった。本書はその時の相談と回答に、『文学界』に連載したエッセイ「悩む人」を組み合わせたもの。読売新聞…

東海林さだお『サンマの丸かじり』を読む

東海林さだおの「食」の長期連載エッセイの文庫版最新作で39冊目の『サンマの丸かじり』(文春文庫)を読む。単行本はさらに数冊は刊行されているはず。もとは『週刊朝日』に毎号見開き2ぺージで連載されているもの。東海林さだおのエッセイを読むのはこれが…

久住昌之『東京都三多摩原人』を読む

久住昌之『東京都三多摩原人』(朝日新聞出版)を読む。本書は朝日新聞出版のPR誌『一冊の本』に連載されていたもの。連載されていた当時時々拾い読みしていた。 著者紹介を見て初めて『孤独のグルメ』の原作者であることを知った。とはいえ、タイトルは聞い…

町山智浩「USAカニバケツ」を読む

町山智浩「USAカニバケツ」(ちくま文庫)を読む。副題が「超大国の三面記事的真実」で、要するにアメリカの新聞雑誌に載ったスターやスポーツ選手などのスキャンダルやゴシップを紹介している。アメリカのジョーク集かと勘違いして買ってしまったのだった。…

思い出す人々:衛生害虫を研究していたY先生

Y先生は厚生省の予防衛生研究所でハエの薬剤抵抗性を研究していた。ソ連時代に公費で出張したとき、通訳をしてくれたモスクワ大学日本語科の女子学生が、私のこと喜ばせてください、楽しませてくださいと言うので、それじゃあ×××をしようと言うと隠語のせい…

思い出す人々:K化学工業の課長山内さん

若い頃営業の仕事をしていた。クライアントの担当者がK化学工業の山内さんという課長だった。その会社は二つの会社が合併してできた会社で、建前は対等合併だったが、実際は吸収合併だった。山内さんは吸収された方の名古屋支店長だった。合併した会社の技術…

川崎徹の名エッセイ「猫とわたし」

講談社のPR誌「本」9月号に川崎徹の「猫とわたし」というエッセイが載っている。公園の野良猫に餌をやっている話だ。 ゆっくり自転車をこぎながら、口でチチッと音をたてた。二度たてただけで、繁みからチカ、ボブ、太郎が走り出てくる。 わたしは自転車を…

週刊朝日編「ひと、死にであう」を読んで

先に野良猫の死についての早坂暁の名エッセイを紹介した(id:mmpolo:20080227)。これが掲載されているのが週刊朝日編「ひと、死にであう」(朝日選書)で、死に関する名エッセイが並んでいるものと期待して読んだ。 「週刊朝日」に連載されたリレーエッセイ…

少し精神が錯乱した

昔、一時不思議な精神状態に陥った。現実感が失われ不安に囚われた。当時そのことを簡単に記録しておいた。それが次の文章だ。 正方形、その一辺を半径として描かれた正方形の中の弧、その弧が交わっている正方形の一つの角より出発し、弧の上を時計の針と反…

帰燕せつなき高さ飛ぶ

帰燕せつなき高さ飛ぶ ――山本弘、わが敬愛する画家の思い出―― 山本弘に初めて会った時、坂口安吾の「堕落論」を読めと言われた。私が19歳、山本さんが37歳だった。美人の奥さん(愛子さん)はまだ26歳。もう36年前になる。 ぼくは弟子はとらないから先生と呼…