エッセイ

東海林さだお『サンマの丸かじり』を読む

東海林さだおの「食」の長期連載エッセイの文庫版最新作で39冊目の『サンマの丸かじり』(文春文庫)を読む。単行本はさらに数冊は刊行されているはず。もとは『週刊朝日』に毎号見開き2ぺージで連載されているもの。東海林さだおのエッセイを読むのはこれが…

久住昌之『東京都三多摩原人』を読む

久住昌之『東京都三多摩原人』(朝日新聞出版)を読む。本書は朝日新聞出版のPR誌『一冊の本』に連載されていたもの。連載されていた当時時々拾い読みしていた。 著者紹介を見て初めて『孤独のグルメ』の原作者であることを知った。とはいえ、タイトルは聞い…

町山智浩「USAカニバケツ」を読む

町山智浩「USAカニバケツ」(ちくま文庫)を読む。副題が「超大国の三面記事的真実」で、要するにアメリカの新聞雑誌に載ったスターやスポーツ選手などのスキャンダルやゴシップを紹介している。アメリカのジョーク集かと勘違いして買ってしまったのだった。…

思い出す人々:衛生害虫を研究していたY先生

Y先生は厚生省の予防衛生研究所でハエの薬剤抵抗性を研究していた。ソ連時代に公費で出張したとき、通訳をしてくれたモスクワ大学日本語科の女子学生が、私のこと喜ばせてください、楽しませてくださいと言うので、それじゃあ×××をしようと言うと隠語のせい…

思い出す人々:K化学工業の課長山内さん

若い頃営業の仕事をしていた。クライアントの担当者がK化学工業の山内さんという課長だった。その会社は二つの会社が合併してできた会社で、建前は対等合併だったが、実際は吸収合併だった。山内さんは吸収された方の名古屋支店長だった。合併した会社の技術…

川崎徹の名エッセイ「猫とわたし」

講談社のPR誌「本」9月号に川崎徹の「猫とわたし」というエッセイが載っている。公園の野良猫に餌をやっている話だ。 ゆっくり自転車をこぎながら、口でチチッと音をたてた。二度たてただけで、繁みからチカ、ボブ、太郎が走り出てくる。 わたしは自転車を…

週刊朝日編「ひと、死にであう」を読んで

先に野良猫の死についての早坂暁の名エッセイを紹介した(id:mmpolo:20080227)。これが掲載されているのが週刊朝日編「ひと、死にであう」(朝日選書)で、死に関する名エッセイが並んでいるものと期待して読んだ。 「週刊朝日」に連載されたリレーエッセイ…

少し精神が錯乱した

昔、一時不思議な精神状態に陥った。現実感が失われ不安に囚われた。当時そのことを簡単に記録しておいた。それが次の文章だ。 正方形、その一辺を半径として描かれた正方形の中の弧、その弧が交わっている正方形の一つの角より出発し、弧の上を時計の針と反…

帰燕せつなき高さ飛ぶ

帰燕せつなき高さ飛ぶ ――山本弘、わが敬愛する画家の思い出―― 山本弘に初めて会った時、坂口安吾の「堕落論」を読めと言われた。私が19歳、山本さんが37歳だった。美人の奥さん(愛子さん)はまだ26歳。もう36年前になる。 ぼくは弟子はとらないから先生と呼…