2020-01-01から1年間の記事一覧
東京日本橋の高島屋で野見山暁治100歳記念展が1月9日から始まる(1月18日まで)。髙島屋日本橋店本館8階ホールで開催というからいつもの6階美術ギャラリーではない。大きな会場で高島屋もリキを入れているようだ。それはそうだろう、100歳記念展なんてほと…
佐藤秀明『三島由紀夫』(岩波新書)を読む。佐藤は三島由紀夫文学館館長。その地位に相応しく三島に関する資料を徹底的に読み込んでいるように見える。 三島は早熟な少年だった。15歳の頃詩を量産している。「詩はまつたく楽に、次から次へ、すらすらと出来…
古い資料を処分するため押し入れの奥から引っ張り出していた中に、「針生一郎氏『芸術の役割』を語る」という小冊子があった。銀座のギャラリイKで行われたギャラリー・トークをまとめてギャラリイKが発行したものだ。トークの日付は24年前の1996年4月10日…
今年の大仏次郎賞は内海健の『金閣を焼かねばならぬ 林養賢と三島由紀夫』(河出書房新社)に決まった。現実に金閣寺を焼いた僧とそれをモデルに『金閣寺』を書いた三島由紀夫を比較検討している。 私は本書を読んでいないが、選考委員の田中優子の選評に興…
イギリスのスパイ小説作家ジョン・ル・カレが12月12日夜、亡くなった。89歳だった。ル・カレは『寒い国から帰ったスパイ』で大成功を収め、その後、のちにスマイリー3部作と呼ばれる連作『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』『スクールボーイ閣下』…
浜崎洋介『三島由紀夫』(NHK出版)読む。「シリーズ・戦後思想のエッセンス」の1冊。 序章で浜崎が「自選短編集」の「解説」に(三島自身が)次のように書いていた、と紹介する。 集中、「詩を書く少年」と「海と夕焼」と「憂国」の3編は、一見単なる物語…
しばらく(1週間くらい)ブログの更新を休みます。
朝日新聞のコラム「古田徹也の言葉と生きる」が、「〇〇感、独特の面白さも」と題して書いている(11月26日)。 昨今濫用されがちな「〇〇感」という言葉だが、この種の言葉には独特の面白い側面も見て取れる。 たとえば、ファッションの分野などでいま頻出…
毎日新聞のコラム「今週の本棚・なつかしい一冊」に柚木麻子・選 『ハイジ』=J・シュピーリ作、矢川澄子・訳(福音館書店)が取り上げられている(11月14日付け)。 大人になって一番良かったことは、小さな頃、活字で読んで「これはなんだろう?」と不思…
東京京橋の南天子画廊で岡崎乾二郎展「TOPICA PICTUSきょうばし」が開かれている(12月12日まで)。岡崎は1955年東京生まれ、昨年から今年にかけて豊田市美術館で大規模な回顧展が開かれた。 夏に天王洲アイルのTakuro Someya Contemporary Artで個展が開か…
東京新宿のアートコンプレックスセンターで谷口ナツコ展「得体」が開かれている(11月29日まで)。私は外出を控えているので見に行くことができないが、過去の展示歴から見れば優れた展示であるのは間違いないだろう。 谷口は1968年北海道生まれ。今までギャ…
毎日新聞の「人生相談」で65歳の男性の相談に渡辺えりが答えている(11月21日)。 妻がいるのですが、この年になっても女性にもてたいと思う気持ちが抑えられません。真面目な顔をしていても、街ゆく女性を見ていやらしい妄想をしてしまいます。これからの人…
河野裕子『歌集 蝉声』(青磁社)を読む。河野は2010年8月12日、乳がんのため64歳で亡くなった。本書は夫の歌人永田和宏とやはり歌人の息子と娘の永田淳、永田紅の3人が没後編集して出版したもの。第1部が雑誌に2009年4月に発表したものから、2010年8月号に…
しばらく(1週間くらい)ブログの更新を休みます。
東京京橋のギャラリーなつかで桑原理早展が開かれている(11月14日まで)。桑原は1986年、東京都出身。2011年に武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業し、2013年同大学大学院造形研究科日本画コースを修了している。2013年アートスペース羅針盤で初個展、2…
東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2020 “コルセット”」が開かれている(11月14日まで)。西成田は1953年茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い…
ベランダにスミレの繁茂したプランターがある。その向こうにローズマリーを植えた鉢が並んでいる。スミレのプランターの一角に小さな植物が生えている。よく見ればこれはローズマリーの幼植物だ。種がこぼれて実生で育ったのだろう。小さく見えるが発芽後3年…
2年前に本書をブログに紹介した。ここにそれを再録する。 ・ 高橋三千綱『作家がガンになって試みたこと』(岩波書店)を読む。高橋が岩波書店のPR誌『図書』に2017年4月号から1年間連載したもの。途中から連載を読み始め、単行本になって通して読んだ。現在…
東京浅草橋のTAKU SOMETANIギャラリーでAhmed Mannan個展が開かれている(11月22日まで)。Mannanは日本とパキスタンのハーフで現在20歳、東京芸術大学在学中。2019年にギャラリー恵風で初個展、今回が2回目の個展となる。作家の言葉をギャラリーのHPから引…
朝日新聞のコラム「うたをよむ」に河野裕子の最後の歌が紹介されていた(11月1日付け)。江戸雪が「時空を超える孤独」で書いている。 耳底にゆふべの水のひかるごと明日は死ぬべき蝉を聴きしか 『ひるがほ』 暗がりを蜀もてひとり歩むがに身をかがめ聞くひ…
東京銀座の藍画廊で若宮綾子展が開かれている(11月7日まで)。これがとても良かった。若宮は1966年神奈川県横浜生まれ、1989年女子美術大学芸術学部洋画科油絵専攻卒業、1990年同大学芸術学部研究課程を修了している。1993年に藍画廊で初個展、以来毎年の…
東京都荒川区のうつゆみこアトリエで、うつゆみこ写真展「ネタ帖 花蓮 瑠美衣さん」が開かれている。不思議なタイトルだが、「ネタ帖」というのは、高校生の頃から書き込んでいるネタ帖のことで100冊ほどあるという。ただ、今回私は見なかった。 「花蓮」と…
高樹のぶ子『小説伊勢物語 業平』(日本経済新聞出版)を読む。小説を読むなんて今年やっと数冊目だろうか。久しぶりに読んだせいかかったるいという印象だ。評論集ならさっさと主張なりテーマなりが提示されるのに、小説はぐだぐだ続いてなかなか本質に触れ…
福井紳一『戦後日本史』(講談社+α文庫)を読む。戦後日本史についてきわめて詳しく書かれている。日本近代史はずいぶん読んできたつもりだけれど知らないことがたくさん書かれている。 1964年、アメリカ軍の司令官だったカーチス=ルメイに勲一等旭日大綬章…
東京墨田区江東橋の無人島プロダクションで加藤翼展「Superstring Secrets」が開かれている(10月31日まで)。加藤は1984年埼玉県生まれ、2007年武蔵野美術大学 造形学部 油絵学科を卒業し、2010年東京藝術大学 大学院美術研究科絵画専攻油画を修了している…
東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で小林絵里佳展が開かれている(11月7日まで)。小林は1994年東京都生まれ、2017年に武蔵野美術大学造形学部彫刻科を卒業し、2019年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。ガルリHでは昨年に続いて2…
東京京橋のギャラリイKで飯島千恵個展が開かれている(10月31日まで)。飯島は1993年埼玉県生まれ、東洋大学文学部インド哲学科を卒業している。美術は内海信彦に師事したようだ。2016年画廊香月で初個展、その後ギャラリイKで2回、そして今回がKでの3回目の…
東京両国のアートトレースギャラリーで「カナタのてざわり」展が開かれている(11月3日まで)。参加作家は、コヤマイッセー、橋本佐枝子、長谷川美祈、馬見塚喜康の4人。 コヤマは1980年東京墨田区生まれ、2004年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し…
東京小金井市のギャラリーテムズで杉原民子展が開かれている(11月1日まで)。杉原は佐賀県出身、東京オリンピックの年に生まれたという。1998年以来、OギャラリーUP・SやギャラリーTEMS、Shonandai My ギャラリーなど多くのギャラリーでもう20回近く個展を…
東京神田のギャラリーN神田社宅で小川愛展が開かれている(10月31日まで)。小川は1994年愛知県生まれ、2017年名古屋芸術大学美術学部美術学科洋画コースを修了した。2015年に愛知県で初個展、以来ギャラリーN神田社宅の本店、名古屋のギャラリーNで2回個展…