進化論
吉川浩満『理不尽な進化』(ちくま文庫)を読む。副題が「遺伝子と運のあいだ」。第1章は地球上の生物種が過去99.9%絶滅していると驚くべき指摘がされる。ほぼすべての種が絶滅する。生き残っているのはわずか0.1%に過ぎない。しかしそれは適者が生き残っ…
ジャレド・ダイアモンド『若い読者のための第三のチンパンジー』(草思社文庫)を読む。副題が「人間という動物の進化と未来」。人間の近縁種はチンパンジー(コモンチンパンジー)とボノボ(ピグミーチンパンジー)であり、人間は第三のチンパンジーだとい…
書店に『金沢城のヒキガエル』(平凡社ライブラリー)が平積みされていた。以前、本書を紹介したことを思い出し、あれから15年経ったからいいかと思ってここに再録することにした。(「奥野良之助「金沢城のヒキガエル」の進化論批判」) ・ 今西錦司を読ん…
富岡幸一郎『生命と直感』(アーツアンドクラフツ)を読む。副題が「よみがえる今西錦司」で、今西錦司の業績を再確認、再評価しようという書。今西錦司という生態学者、進化論者、巨大な知というべき人が亡くなってもう27年になる。あれだけ偉大だった人の…
朝日新聞に連載されている「福岡伸一の動的平衡」というコラムに獲得形質の遺伝について書かれている(2019年8月8日朝刊)。最初に「獲得形質は遺伝しない」。これは現代生物学の基本的原則である。しかしこれが、だった、と過去形に書き換えられつつある。…
本多久夫『形の生物学』(NHKブックス)を読む。カバーの内側の惹句を引く。 単細胞のゾウリムシから多細胞のヒトまで、生物は、今あるこの多様な形に、どうやってたどり着いたのか。本書では、多細胞生物の「袋」に着目し、生物体の内と外の境目について考…
池田清彦『ぼくは虫ばかり採っていた』(青土社)を読む。昆虫学者、進化論学者である池田の様々な発言を集めたエッセイ集。これが面白かった。iPS細胞のもたらす未来とか、クローン人間の未来予想図とか、性の決定が複雑なことなどを話題に取り上げている。…
池田清彦『進化論の最前線』(インターナショナル新書)を読む。聞きなれない新書だが、今年1月に創刊した集英社インターナショナルの新しい新書名だ。池田清彦は構造主義進化論を提唱している生物学者。本書は出版された月に購入したが、池田は地球が温暖化…
鈴木紀之『すごい進化』(中公新書)を読む。“「一見すると不合理」の謎を解く”というのが副題。著者は昆虫学者なので、昆虫の事例がたくさん紹介される。いずれもとても興味深い。 塚谷裕一が読売新聞に書評を書いている(7月16日)。 性の進化の問題とは…
木村資生『生物進化を考える』(岩波新書)をやっと読む。分子進化の中立説を説いた進化論の大御所の本をようやく読んだ。発行されてから29年も経つ。評価の高い本だが、いままで敬遠してきた。ダーウィンの自然淘汰論やその後の総合説が気に入らなかったし…
千葉聡『歌うカタツムリ』(岩波科学ライブラリー)を読む。カタツムリという地味な生物を研究対象としている進化論の本だ。標題の所以は200年前ハワイの古い住民たちがカタツムリが歌うと信じていたことによる。19世紀の半ばハワイでのカタツムリの研究を通…
有田隆也『生物から生命へ』(ちくま新書)を読む。副題が「共進化で読みとく」とあるように、著者は「共進化」という概念を使って生命を考える。共進化とは2種の生物間で、お互いに利用しあったり、一方が他方を搾取するなどの関係にある状況だと説明され…
杉晴夫『人類はなぜ短期間で進化できたのか』(平凡社新書)と、更科功『化石の分子生物学』(講談社現代新書)を続けて読んだ。前者の副題は「ラマルク説で読み解く」であり、後者は「生命進化の謎を解く」という。 ダーウィン進化論が定説になっている現代…
今西錦司を読んで以来ダーウィンの進化論に疑問を持っていた。いまは総合説と言って突然変異と適応で説明されている。今西は競合でなく「棲み分け」を提案し、賢い蟻と愚かな蟻がいても踏みつぶされるときは一緒で、どんな個体が残っても種が存続するように…