2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』(講談社現代新書)がすばらしい。タイトルが分かりにくいが、現代詩の入門書だ。そういうと何だか七面倒くさい感じがするが、本書は掛け値なしの名入門書と言える。 現代詩を読む人はきわめて少ない。わが尊敬する岳父…
東京銀座のフォルム画廊で森本秀樹展が開かれている(6月1日まで)。森本は1951年、愛媛県宇和島出身。ギャラリー汲美をはじめ、ギャラリーゴトウ、小田急デパートのギャラリーなど数多くの個展を行っている。 フォルム画廊は往年の大コレクター福島繁太郎…
東京銀座の永井画廊で岡野耕三回顧展が開かれている(6月1日まで)。岡野は1940年岡山県味野町(現倉敷市)生まれ。1962年東京芸術大学美術学部に入学、1966年同大学油画科(小磯良平教室)卒業。卒業制作で大橋賞を受賞し、大学院に進学する。大学院2年…
東京銀座2丁目のギャラリー零∞(ゼロハチ)で中西紗和展が開かれている(6月1日まで)。中西は1985年東京生まれ、2011年東京芸術大学大学院彫刻研究領域終了、現在同大学院彫刻研究領域博士課程在学中。グループ展には何度も参加しているが、今回が初個展…
草間彌生『水玉の履歴書』(集英社新書)を読む。著書という形を取っているが、実は鈴木布美子というライターがインタビューしたものを構成したもののようだ。 まず全体のページ数が171ページしかない。新書は普通200〜250ページが標準だ。しかし特徴的なの…
6年ほど前にインセストタブーについて書いたことがあった。インセストタブーとは、Yahoo百科辞典によれば、 インセスト・タブー incest taboo ある範疇(はんちゅう)の親族との性関係や結婚を禁ずる規則をいう。あらゆる人間社会においてみられる。基本家…
鹿島茂の『セーラー服とエッフェル塔』(文藝春秋)がおもしろい。先に読んだ丸谷才一『快楽としての読書〔日本篇〕』(ちくま文庫)に本書が推薦されている。 一見したところ軟らかい随筆をずらりと集めたやうに見える。そして事実その通りである。ビデにつ…
以前読んだ成毛眞『面白い本』(岩波新書)に、アニエス・ジラール『エロティック・ジャポン』(河出書房新社)が面白いと勧められていた。 (本書は)フランス人女性ジャーナリストが書いた日本のエロティシズムの比較文化論である。外からの視点で客観的に…
東京銀座5丁目の養清堂画廊の辻元子展が良かった(5月25日まで)。辻は1997年女子美術大学洋画専攻を卒業し、1999年に東京芸術大学大学院版画専攻を修了している。1997年から版画協会展に出品し、その年山口源新人賞を受賞していて、2005年に会員となる。1…
東京練馬区立美術館で牧野邦夫−写実の精髄−展が開かれている(6月2日まで)。牧野は1925年東京生まれ、1948年に東京美術学校油画科を卒業している。1966年、レンブラントに憧れてオランダを中心に滞欧して研究している。1986年、多くの人に知られることな…
艸場よしみが佐藤文隆にインタビューした『「科学にすがるな!」』(岩波書店)を読む。副題が「宇宙と死をめぐる特別授業」。艸は「くさ」と読む。佐藤文隆は京都大学名誉教授の理論物理学者、宇宙論や一般相対論に関する著書も多い。題名は佐藤の言葉「科…
東京渋谷東急本店のBunkamura Boxギャラリーで「写実幻想絵画展」が開かれている(5月26日まで)。DMの言葉によると、 スーパーリアリズムの表現領域で活躍する6名のアーティストの作品を展開。彼らの飽くなき探求心から生まれた卓越した描写力と、そこに…
久しぶりに向島百花園へ行って5月の花を撮影した。 ニワゼキショウ、アヤメ科。 ハハコグサ、最近はウラジロハハコグサが目立っている。 ショウブ、菖蒲湯に入れるのはこれ。サトイモ科なので花は地味だ。しばしば花ショウブやカキツバタがショウブと呼ばれ…
東京国立近代美術館で開かれているフランシス・ベーコン展を見た。画集の図版では知っていたが、直接作品を見たのは初めてだった。思えばもう何十年も気になっていた画家だ。ようやく見ることができて、この展覧会を実現してくれた東京国立近代美術館に感謝…
松浦健二『シロアリ』(岩波書店)を読む。「岩波科学ライブラリー〈生きもの〉」シリーズの1冊。副題が「女王様、その手がありましたか!」とくだけたもの。内容も一般向けというかヤングアダルト向けのやさしい記述になっている。裏表紙の惹句は、 ここに…
葛飾区の奥戸街道沿いに渋江公園があった。小さな公園だったが、バラの花壇が作られていて、大輪のバラが満開からやや盛りを過ぎつつある過程だった。「ぼくは薔薇は嫌いだったのに」という詩の一節を思い出しつつ、まだ開ききっていない花を選んで撮影した。
東京銀座1丁目のギャラリーフォレスト・ミニの瀧田紗也香展「少女群像」が魅力的だ(5月18日まで)。瀧田は1990年千葉県生まれ、去年女子美術大学ビジュアルデザイン科を卒業している。今回が初個展。 作品はモノトーンの制服姿の女子高生のさまざまなポー…
高階秀爾『ニッポン現代アート』(講談社)を読む。講談社のPR誌『本』の表紙に現代美術の作品を取り上げ、その作品解説を高階はもう7年間以上も続けている。本書はその平成20年7月号から平成22年12月号までの30点をまとめたものだ。 まず高階のみごとな「…
山秋真『原発を作らせない人びと』(岩波新書)を読む。副題を「祝島から未来へ」といい、山口県の上関原発建設に粘り強く反対し続けている祝島の人々とその運動のルポルタージュだ。これがすばらしかった。 反対運動の報告書なんて固いばかりで面白いものは…
表参道の岡本太郎記念館で開かれているChim↑Pom展「PAVILION CHIMPOM」を見てきた(7月28日まで)。岡本太郎記念館に行ったのは初めてだった。華道の小原会館の先にあった。ここは岡本太郎の住居兼アトリエだったところで、太郎の死後記念館として公開され…
何を? オブジェ 「柳ぎ」の「ぎ」って? 銀座のみゆき通りでは花壇の上で荷下ろしする業者がいるんだ。 トマソン(渋谷にて)
近くの小さな植物園にマムシグサが生育していた。マムシグサは毒草だが、救荒植物でもあると聞いた。飢饉のときに、有毒な芋を水さらしして毒を抜き、でんぷんを取って餅を作って食べたという。四国、特に高知には戦後までこの餅があったと中尾佐助が書いて…
東京京橋のギャラリーなつかで開かれている三上秀夫展「経と緯/壁から20ミリ」がおもしろい(5月18日まで)。 三上は1962年埼玉県蓮田市生まれ、1985年に東京芸術大学美術学部工芸科を卒業し、1987年に同大学院美術研究科染織専攻を修了している。1986年に…
注意しながら散歩をしていれば、何かと興味深いものに当たる。 展葉してきたムクゲの葉の表面に小さな水滴のようなものが光っていた。 その葉の上の(over)葉の裏を見ると、ワタアブラムシがびっしり寄生している。ワタアブラムシは数多くの植物に寄生する…
青柳いづみこ『我が偏愛のピアニスト』(中央公論新社)を読む。青柳は現役のピアニストにして文筆家、ピアニストをはじめとする音楽に関する著作が多い。恩師を描いた『翼のはえた指 評伝安川加壽子』では吉田秀和賞を受賞し、仏文学者の祖父を描いた『青柳…
加藤周一は自伝『羊の歌』(岩波新書)で日米開戦の夜、新橋演舞場へ文楽を見に行ったと書いている。それに対して鷲巣力が疑問を呈しているという。海老坂武『加藤周一』(岩波新書)から、その箇所を引く。 もう一つ、これは2011年9月、鷲巣力氏がその講演…
日本経済新聞電子版に「丸善が4カ月の取引停止 国立美術館の閲覧室運営辞退で」という見出しのニュースが掲載された(4月25日)。それによると、 図書館の運営支援を手掛ける書店大手の丸善(本社・東京)が東京・六本木の国立新美術館から受注した資料閲…
赤坂ACTシアターでアトリエ・ダンカン・プロデュースの芝居『しゃばけ』を見た。原作が畠中恵、脚本・演出が鄭義信、出演が沢村一樹、臼田あさ美、宇梶剛士、高橋光臣、阿知波悟美、麻美れいなどだ。 演出等を担当した鄭義信は2008年に脚本・演出を担当した…
美術評論家の名古屋覚が『ギャラリー』4月号の「評論の眼」に、東京都現代美術館が閉館することになるだろうと書いた。 ……ところで、そんなインチキみたいな展示を多くやる東京都現代美術館を閉館し、主に都内在住作家による最新のアニメやゲームと、書や工…
洲之内徹『芸術随想 しゃれのめす』(世界文化社)を読む。同じく洲之内の『芸術随想 おいてけぼり』(世界文化社)の続編。『芸術新潮』に連載され好評だったエッセイをまとめた『気まぐれ美術館』シリーズに収録されていない、新聞や画廊のパンフレットに…