2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

日劇ミュージックホールの思い出

イタリアの映画監督ヤコペッティの「世界残酷物語」は大ヒットした映画だった。それで続編の「世界女族物語」が作られた。画家のクラインがヌードモデルの体にに青い絵の具を塗り、キャンバスに押し付けて作品を作ったり、パリのムーラン・ルージュのレビュ…

もの派のエース関根伸夫の個展を見た

昨年末銀座のギャラリー美術世界で関根伸夫の個展を見た。一昨年もここで個展が開かれた。金箔を貼ったボードに穴を開けたり、それを版画にしたりしている。版画も金色だ。あの関根がどうしてこんなxxのような作品を作っているのか? 関根伸夫はリー・ウーフ…

スカトロ2題

スカトロ2題。前座はともかく真打ちは本当に汚いので、覚悟されたい。 阿佐ヶ谷のアルス・ノーヴァというスタジオではしばしばアングラ芝居が行われていた。その公演の肝心な劇団名を忘れてしまったが、舞台で男性俳優が小便をする場面があった。床にバケツ…

薔薇絵、彼女はユニークなダンサーだ

何年前になるのだろう、薔薇絵さんというダンサーのダンスというか舞踏を何度か見た。あれはまだ日暮里にあったdie pratzeという劇場だった。薔薇絵はほとんど裸でほとんど照明を落とした舞台で踊っていた。劇場とか舞台とか書いたが、スタジオみたいな空間…

音大の学生の悲劇

知人の娘さんがピアノを習っていた。小さい時から優秀でピアノの塾でもトップクラスだった。高校は普通高校だったが、週3回以上ピアノの先生について勉強していた。 その甲斐あって優秀な成績でT音楽大学ピアノ科に現役で入学した。しかし入学してまもなく…

この言葉を言ったのは誰だろう?

昔読んだ次の言葉の作者を知りたい。ドイツ人だと思ったが。 ナチズムがなかったら諸君は平和な市民生活を過ごしただろう。しかし、諸君がいなかったらナチズムは決して勝利を収めなかったであろう。

名人芸は置き去りにされる

もう20年ほど前、おじいさんのグラフィックデザイナーが、最近のデザイナーは烏口が使えないと嘆いていた。10年ほど前、今でも現役のグラフィックデザイナーは最近のデザイナーはロットリングが使えないと批判的な口ぶりで言っていた。そして最近のデザイナ…

場所の記述について

いつも画廊を回ってそれを逐一「画廊日記」に記録している。それとは別に普通の日記も書いている。その普通の日記には画廊や作家(画家や彫刻家など美術作家)たちのことは詳しくは書かない。ただどこら辺りの画廊を回ったかを記している。その記述法につい…

サンショウウオを食べる

以前、昆虫食について紹介した(id:mmpolo:20070104)が、茅野市出身の建築史学者藤森照信の場合はもっとすごいものだ。なんと山椒魚を丸飲みしてしまう。 小学校高学年の頃と思うが、春、杖突峠の野遊びの時、「テルボも来るか」と誘われたので、中学生たち…

恵口烝明という詩人がいた

私の手許に「衛星都市の彼方で」という詩集のコピーがある。詩人の名前は恵口烝明、発行所は大阪の詩人の支路遺耕治の他人の街社だ。 30年前友人が阿佐ヶ谷の古本屋で見つけて買った。そのコピーだ。本扉に献辞が書かれていて、「金井美恵子さま 恵口烝明」…

30年前の発禁本は

もう30年も昔になるが、朝日新聞にある写真集がわいせつ物として摘発されたとの記事が出ていた。写真集と書いたが、いわゆるビニ本(立ち読み防止等のためにビニールの袋で包装し、店頭では内容が見られないポルノ写真本:ウィキペディアより)で、いまでも…

3人の大久保がいる

丸谷才一がナボコフ「ロリータ」の新訳(訳者:若島正)を絶賛していた。丸谷は以前「ロリータ」の旧訳が出たとき書評でその訳(訳者:大久保康雄)をけなしたら、しばらくたって大久保康雄からあれは自分が訳したのではないとの弁解の手紙を受け取ったと書…

巨乳という文化の成立基盤

最近、長友健二「アグネス・ラムのいた時代」(中公新書ラクレ)という本が発行された。店頭で立ち読みしたが、口絵にアグネス・ラムの当時の写真が載っていて懐かしかった。30年前、日本の若い男たちはみんなアグネス・ラムに夢中になったのだ。可愛いのに…

カレル・チャペック「園芸家12カ月」、あるいは継続

ロボットという言葉を発明したチェコのSF作家カレル・チャペックに「園芸家12カ月」(中公文庫)というエッセイがある。これがすこぶる傑作だ。園芸家12カ月 (中公文庫)作者: カレルチャペック,Karel Capek,小松太郎出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1996…

ハンプティー・ダンプティーを知っているか?

昨年「オール・ザ・キングスメン」(スティーヴン・ザイリアン監督)という映画が公開された。これは1949年の同名の映画(ロバート・ロッセン監督)のリメークとのこと。英語の題名が、All The King's Menという。原作はアメリカの作家ロバート・ベン・ウォ…

ハイテクは古びる

日記をつけ始めて40年以上になる。ずっとノートに万年筆で書いてきた。6年前、マックのBiDiaryというシェアウェアの日記ソフトに変えた。検索が簡単だし、去年の同じ日、一昨年の、そのまた前の同じ日がすぐに見られて本当に重宝した。一昨年だったか、マッ…

猫に知性はあるか?

猫に知性がある、というと何を言い出すのかと思われるかも知れない。 わが家には2匹の猫がいる。6歳と5歳のどちらも雄だ。拾ってきたときは1か月くらいと2か月くらいの子猫だった。子猫は本当に可愛い。子猫も赤ん坊は可愛いことで保護者の庇護を受ける…

植物の名前を覚える

亡くなった植物学者の浅野貞夫先生と植物図鑑用の写真を撮り歩いたことがある。その時先生から教わった植物の名前はよく覚えている。植物の名前は覚えにくいのに。 ここで比較しているのは一人で植物図鑑を引きながら植物の名前を覚えようとした時の経験だ。…

瀬戸内寂聴「孤高の人」文庫化される

先日の日記(id:mmpolo:20070114)で紹介した瀬戸内寂聴「孤高の人」が新しく文庫で発売された。 孤高の人 (ちくま文庫)作者: 瀬戸内寂聴出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/02メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 23回この商品を含むブログ (9件) を見る

虫えい形成昆虫が枯葉を生長させるという驚くべき事例

2005年9月に京都大学で行われた「ゴール形成節足動物の生物多様性に関する国際シンポジウム(主催:日本虫えい形成節足動物研究会)」で驚くべき研究が発表がされた。専門的な内容だがきわめて重要だと思われるのでここに紹介したい。これは同シンポジウム…

稲作の起源、中尾佐助の誤り

今西錦司グループの中尾佐助が好きでたくさんの著書を読んできた。むしろ中尾を通じて今西を知ったのだと思う。最初に読んだのが「栽培植物と農耕の起源」(岩波新書)だった。それから「照葉樹林文化」(中公新書)「続照葉樹林文化」(中公新書)「料理の…

突然なぜ思い出したのか

道を歩いていて急に手紙を持ち歩いているのを思い出した。何かポストのイメージが浮かんだ。この辺りにポストがあるような気がして探すと歩いてきたビルの陰にあるのを見つけた。手紙を投函して考えた。なぜ今急に手紙のことを思い出したのか。 以前からこの…

淀川長治と蓮實重彦の映画対談がおもしろかった!

現行の雑誌マリ・クレール以前に別のマリ・クレールがあった。中央公論社から発行されていた。男性読者の多い女性誌と言われていた。編集スタッフに安原顕がいた。当時の雑誌を2冊保管している。いわゆる永久保存版だ。 1冊は1990年7月号「映画特集」もう…

乳房はオーラをまとっている

夏のことだった。池袋東武デパート地階の出口、小さな人工池と地上へ登るエスカレーターのある広場あたりで女性が二人争っていた。それもかなり激しい争い方だ。二人とも無言で。野次馬が遠巻きに見ていた。一体何事か、どちらが被害者かと思ったが、どうや…

医者に鼻で笑われたこと

医者に鼻で笑われたことが2回ある。一度はラジオのDJが髭は歯を守るために存在する。その証拠に、髭を伸ばしていた人間が髭を落とすと途端に歯ががたがたになると言っていた。それを歯医者に話すと鼻で笑われた。否定されてもどこか半信半疑で、それが理由…

盲腸憩室炎という変わった病気

若いとき盲腸の手術を受けた。始まる前に看護婦さんが15分ほどで終わりますよと私の質問に答えて言った。二人ほどの医者が近所の地価の話をしながら手術を進めていった。部分麻酔だから聞こえるのだ。不謹慎だと思ったがそうではなかった。手術がルーチンだ…

絵の値段の不思議

あんたは絵に詳しいだろう。知り合いが家を建てたので富士の絵を贈りたいんだ。6万円くらいで見つけてくれ、取引先の部長から頼まれた。 懇意にしている画商さんを訪ねる。条件を話すと、デパートへ行くと画廊の隣に工芸品売り場があるでしょう、その値段は…

池田満寿夫、落ちた偶像

東京大丸デパートの美術館へ何かの展覧会を見に行った帰り、デパートの工芸品売り場を見ていた。まあ、通りすがりに横目で見ていたというのがより正確だが。陶器といっても日常品ではなく、美術陶器みたいなのが並んでいた。その時不意に眼の隅に何か気にな…

良い骨董商の見つけ方

友人から祖父が残した書画骨董を売りたいのだが、どこか良い骨董商がいたら紹介してほしいと言われた。 良い骨董商というのは形容矛盾だ。そんな骨董商は存在しない。村田喜代子「人が見たら蛙に化れ」(朝日文庫)という小説は骨董商が主人公で、何も知らな…