植物の名前を覚える

 亡くなった植物学者の浅野貞夫先生と植物図鑑用の写真を撮り歩いたことがある。その時先生から教わった植物の名前はよく覚えている。植物の名前は覚えにくいのに。
 ここで比較しているのは一人で植物図鑑を引きながら植物の名前を覚えようとした時の経験だ。その方法では覚えるのが難しかった気がする。なぜだろう。
 単純に考えれば、人から直接教えてもらう場合、経験が濃いから覚えやすいのだろう。しかし別の考え方もある。
 直接人から教わる場合、人は断定して教えてくれる。これはキンランだ。ギンランだ。こっちはササバギンランだ。それに対して、図鑑で覚えようとする時なかなか断定できないものだ。これはおそらくアレチノギクだろう。オオアレチノギクではないだろうな。こっちはヒメムカシヨモギかな。わずかに迷いながら覚えようとするから、自信がもてない。そのために、図鑑を見ながら一人で覚えようとするのは難しいのではないか。そんな気がするのだ。