2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

キヤノンギャラリー銀座の蜷川実花写真展を見る

東京銀座のキヤノンギャラリー銀座で蜷川実花写真展が開かれている(6月3日まで)。蜷川は木村伊兵衛写真賞などを受賞した人気ある写真家、『ヘルタースケルター』や『ダイナー』などの映画も監督している。東京都庭園美術館のほか、台湾や北京の美術館で…

コバヤシ画廊の井崎聖子展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で井崎聖子展-prominence-が開かれている(6月3日まで)。井崎は東京都出身、1988年に女子美術大学を卒業し、その後Bゼミで岡崎乾二郎や中村一美など錚々たる作家たちに学んでいる。 井崎は黄色い雲のような画面を作っている。絵…

夏井いつき『句集 伊月集 鶴』を読む

夏井いつき『句集 伊月集 鶴』(朝日出版社)を読む。マスコミに出演して人気のある俳人の50代の句を集めた句集。繊細なものへの気づきが見事だと思う。 龍角散みたいに冬の日の匂ふ 馬臭き氷を育てゐるバケツ 水は球体そらも球体春もまた 隠居所の伊万里の…

東京都美術館のマティス展を見る

東京都美術館でマティス展が開かれている(8月20日まで)。「20年ぶり 待望の大回顧展」と謳われている。日時指定の前売券を購入して行って見た。さすが人気で入場に列を作っている。館内も人が多かった。大作は少なく、大回顧展と呼ぶには出品点数もさほど…

橋爪大三郎『死の講義』を読む

橋爪大三郎『死の講義』(ダイヤモンド社)を読む。「はじめに」で「この本は、死んだらどうなるかの話です」と書かれている。橋爪は必ず訪れる「死」に対応するために世界各地の宗教を解説していく。世界の宗教を大きく分けて、一神教(ユダヤ教、キリスト…

中央公論新社 編『対談 日本の文学 素顔の文豪たち』を読む

中央公論新社 編『対談 日本の文学 素顔の文豪たち』(中公文庫)を読む。1960年代の後半に中央公論社から『日本の文学』全80巻が刊行された。その月報の対談を編集したもの、全3巻で刊行予定の1冊目。24篇が収録されている。 幸田露伴について幸田文と瀬…

ギャラリーαM移転オープン

武蔵野美術大学運営のギャラリーαMが長年拠点としていた東神田のスペースを閉じ、この度新宿区の武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスに移転し、新しいスペースでオープンした。JR市ヶ谷駅、地下鉄有楽町線・南北線市ヶ谷駅、都営新宿線市ヶ谷駅からいずれも徒歩3…

蓮實重彦『ゴダール革命』を読む

蓮實重彦『ゴダール革命』(ちくま学芸文庫)を読む。蓮實がゴダールについて書いた論文を集めている。『勝手にしやがれ』から遺作『イメージの本』まで、ゴダールの作品を網羅した評論集だ。 蓮實重彦の批評は表層批評というらしい。作品の内容にはほとんど…

ギャラリーゴトウの森本秀樹展を見る

東京銀座のギャラリーゴトウで森本秀樹展が開かれている(5月30日まで)。森本は1951年、愛媛県宇和島出身。ギャラリー汲美をはじめ、ギャラリーゴトウ、小田急デパートなどで数多くの個展を行っている。昨年12月にもここで個展を開いている。現在宇和島市…

コバヤシ画廊の横須賀幸男展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で横須賀幸男展「Pareidolia II」が開かれている(5月27日まで)。横須賀は茨城県水戸市生まれ、1978年に茨城大学教育学部美術専攻科を卒業している。1984年にギャラリーQで初個展、以来各地の画廊で個展を開いている。 DM葉書には、…

片山杜秀『11人の考える日本人』を読む

片山杜秀『11人の考える日本人』(文春新書)を読む。副題が「吉田松陰から丸山眞男まで」。2017年から2018年までの1年間、文藝春秋主催の「夜間授業」という講座で月1回話した講義録をまとめたもの。8月は夏休みにしたので11回行って、毎回1人の思想家…

ヒノギャラリーの松本陽子 新作展を見る

東京八丁堀のヒノギャラリーで松本陽子 新作展が開かれている(6月3日まで)。松本は東京生まれ、1960年東京藝術大学油画科を卒業している。1991年に国立国際美術館で個展を、2005年に神奈川県立近代美術館鎌倉で二人展、また2009年に国立新美術館でも二人…

ギャラリー58の中村宏展を見る

東京銀座のギャラリー58で中村宏展「戦争記憶絵図」が開かれている(6月3日まで)。中村は1932年静岡県浜松市生まれ、日本大学芸術学部美術学科に学ぶ。現在90歳になる。初めルポルタージュ絵画という社会的な絵画を描く。弱冠23歳で絵画史に残る砂川基地…

靖山画廊の田端麻子展を見る

東京銀座の靖山画廊で田端麻子展「拭くと汚くなる」が開かれている(5月19日まで)。田端は1972年神奈川県藤沢市生まれ、1996年に多摩美術大学油画専攻を卒業している。DM葉書には「昨年ニューヨークで展示された田端麻子の作品は、予想を上回る評価を得て…

持田叙子 編『安岡章太郎短篇集』を読む

持田叙子 編『安岡章太郎短篇集』(岩波文庫)を読む。持田が選んだ安岡章太郎の短篇集。31歳で発表した「ガラスの靴」から58歳の「猶予時代の歌」までの14篇が収録されている。 安岡章太郎は昔何かを読んだけどあまり感心しなかったので、以来読んだことが…

ブログ休み

ブログ、2~3日休みます。

スタニスワフ・レムの凄さ!

スタニスワフ・レム『火星からの来訪者』(国書刊行会)について、若島正が毎日新聞に紹介している((2023年5月13日)。本書の副題が「知られざるレム初期作品集」というもので、「レム・コレクション」の第2期の1冊だ、その書評から、 レムの実質的なデ…

埼玉県立近代美術館の彫刻作品を見る

埼玉県立近代美術館には屋外に数多くの彫刻作品が設置されている。先日戸谷成雄展を見に行った折りにそれらも見てきた。 グレコ 美術館のある北浦和公園の入口にはエミリオ・グレコの「湯あみ」がある。 ボテロ 美術館に近づくとフェルナンド・ボテロの「横…

埼玉県立近代美術館の戸谷成雄展を見る

埼玉県浦和の埼玉県立近代美術館で戸谷成雄展が開かれている(5月14日まで)。美術館のホームページから、 日本の現代美術を代表する彫刻家・戸谷成雄(1947年―)は愛知県立芸術大学で彫刻を専攻したのち、1970年代より本格的な活動を開始しました。彫刻と…

ガルリSOLの菅野美榮展を見る

東京銀座のガルリSOLで菅野美榮展「旅スル種子2023」が開かれている(5月20日まで)。菅野は群馬県出身、1968年共立女子短期大学を卒業したのち、1971年日本デザインスクールを卒業している。1990年、銀座のギャラリー・オカベで初個展。その後、ギャラリー…

ギャルリー東京ユマニテbisの大西由莉展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで大西由莉展が開かれている(5月20日まで)。大西は1983年愛知県出身、2008年武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻コースを修了している。2011年に新宿眼科画廊で初個展、以来ギャルリー東京ユマニテbisな…

藍画廊の日比野絵美展を見る

東京銀座の藍画廊で日比野絵美展「楽園」が開かれている(5月13日まで)。日比野は1986年神奈川県生まれ、2009年に日本大学芸術学部美術学科版画コースを卒業し、2011年に同大学大学院芸術学研究科博士前期過程を修了している。2011年に藍画廊で初個展、そ…

ポーラ ミュージアム アネックスの西島雄志展を見る

東京銀座のポーラ ミュージアム アネックスで西島雄志展「瑞祥 時の連なり」が開かれている(6月4日まで)。西島は1969年神奈川県生まれ、1995年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。主な展覧会に滋賀県「BIWAKOビエンナーレ2022」、群…

銀座K’sギャラリーの神山豊展を見る

東京銀座の銀座K’sギャラリーで神山豊「海洋彫刻」展が開かれている(5月6日:今日まで)。神山は1955年横浜市生まれ、2008年に渡米し、ニューヨークで彫刻を学んだ。個展は3回目、ここK’sギャラリーでは2回目となる。 神山は大きな木彫作品を展示してい…

東京都現代美術館のMOTコレクション「めぐる呼吸」「被膜虚実」を見る

東京木場公園の東京都現代美術館でMOTコレクション「めぐる呼吸」「被膜虚実」が開かれている(6月18日まで)。美術館のホームページから、 1階では、「被膜虚実(ひまくきょじつ)」と題し、1980年代末以降の作品を紹介します。このほど新規収蔵した三上…

西加奈子『くもをさがす』を読む

西加奈子『くもをさがす』(河出書房新社)を読む。4月30日初版発行で、4日後の5月4日付でもう3刷となっているベストセラーだ。カナダに滞在していた西加奈子が乳がんと診察される。ステージ2Bだった。リンパ節に転移しており、抗がん剤治療を経て両乳…

世田谷美術館の麻生三郎展を見る

東京砧公園の世田谷美術館で麻生三郎展「三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」が開かれている(6月18日まで)。以前、美術評論家の針生一郎氏の講演を聞いたとき、自分は戦後の画家で優れていると思うのは、松本峻介、麻生三郎、鶴岡政男だと言われた。麻…

東京都現代美術館の「さばかれえぬ私へ」を見る

東京都現代美術館で「さばかれえぬ私へ」が開かれている(6月18日まで)。これは美術館のホームページによると、 東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)は2018年より、中堅アーティストを対象とした現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award…

橋爪大三郎『アメリカの教会』を読む

橋爪大三郎『アメリカの教会』(光文社新書)を読む。副題が「“キリスト教国家”の歴史と本質」というもの。 アメリカの教会は独特で、まず教会の種類が多い。それに対してヨーロッパは、ある地域にはある教会と決まっている。ウエストファリア条約(1648年)…