中央公論新社 編『対談 日本の文学 素顔の文豪たち』を読む

 中央公論新社 編『対談 日本の文学 素顔の文豪たち』(中公文庫)を読む。1960年代の後半に中央公論社から『日本の文学』全80巻が刊行された。その月報の対談を編集したもの、全3巻で刊行予定の1冊目。24篇が収録されている。

 幸田露伴について幸田文瀬沼茂樹が語っている。それがとても興味深く楽しい。森鴎外については、森茉莉三島由紀夫が、また小堀杏奴大岡昇平が対談している。そのように息子や娘に親のことを聞き、あるいは漱石など弟子に話を聞いている。

 宮本百合子については湯浅芳子本多秋五が聞いているが、湯浅芳子は百合子と同棲しソ連にも一緒に行って暮らしていた。最後に百合子は湯浅のもとから逃げ出して宮本顕司と一緒になる。百合子について語るのは湯浅芳子が最適の人選だったろう。

 今までこんなに豊かな文学史の資料を編集して出版しなかったことが勿体ないことだった。講談社はずいぶん前から文学全集などの月報を講談社文芸文庫で発行して来ていた。月報には興味深いエッセイや対談などが多い。ぜひ各社がこのように編集して発行するようにしてほしい。

 本書に関して唯一の小さな不満はその地味すぎるカバーデザイン。あまりにも古すぎる。中公文庫のカバーデザインは根本的に考えたほうがいいのではないか。