2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

萬年一剛『富士山はいつ噴火するのか?』を読む

萬年一剛『富士山はいつ噴火するのか?』(ちくまプリマ―新書)を読む。副題は「火山のしくみとその不思議」。著者は火山学者、裏表紙の惹句を引く。 富士山はこの300年ほど噴火していないが、それは仮の姿。 実はとても活発な火山だ。次に噴火するとしたら…

藍画廊の上野茂都展を見る

東京銀座の藍画廊で上野茂都展「赤竜」が開かれている(10月1日まで)。上野は1961年千葉県生まれ、1987年多摩美術大学大学院彫刻専攻を修了している。1986年にギャラリー葉で初個展、以来ギャラリー21+葉や藍画廊などで20数回個展を開いてきた。3年前のこ…

ギャラリーなつかの「たまびやき」を見る

東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」展が開かれている(10月1日まで)。たまびやきとは、多摩美術大学工芸学科/陶/選抜作品展のこと。今週が学部生で来週が院生になる。 栗原智美、「人肉の表現で皮革製品を模した作品」とある。 和田遥、「雪が…

巷房・階段下の菅野美榮展を見る

東京銀座の巷房・階段下で菅野美榮展「旅スル種子2022」が開かれている(10月1日まで)。菅野は群馬県出身、1968年共立女子短期大学を卒業したのち、1971年日本デザインスクールを卒業している。1990年、銀座のギャラリー・オカベで初個展。その後、ギャラ…

ガルリSOLの石垣むつみ展を見る

東京銀座のガルリSOLで石垣むつみ展が開かれている(10月1日まで)。石垣は東京生まれ、文化学院デザイン科・芸術科を修了している。1993年に目黒のギャラリークラマーで個展を行い、その後ギャラリー砂翁や空想ガレリア、ギャラリーYORI、ギャラリー紡、ギ…

塚谷裕一『漱石の白百合、三島の松』を読む

塚谷裕一『漱石の白百合、三島の松』(中公文庫)を読む。副題が「近代文学植物誌」とあり、植物学の専門家である塚谷が日本近代文学に登場する植物についてあれこれ論評している。 本書に興味を持ったのは、須藤靖が「注文の多い雑文 その59」で推薦してい…

中島国彦『森鴎外』を読む

中島国彦『森鴎外』(岩波新書)を読む。鴎外の「決定版」評伝。私は漱石はほとんど読んだが鴎外はほとんど読んでいない。しかし漱石と並ぶ近代文学の重要作家だから読んでみなければなるまい。 鴎外は『舞姫』を書いたようにドイツ留学中に恋人を作り、別れ…

ガルリH(アッシュ)の木村桃子展を見る

東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で木村桃子展「もれる光 のびる線」が開かれている(10月1日まで)。木村は1993年東京都生まれ、2017年に武蔵野美術大学造形学部彫刻科を卒業し、2019年に同大学大学院造形研究科修士課程美術研究彫刻コースを修了し…

いりや画廊の岡本敦生展を見る

東京入谷のいりや画廊で開廊10周年特別展 岡本敦生展「穴を掘る-2022」が開かれている(10月6日まで)。岡本は1951年広島市生まれ、1977年に多摩美術大学大学院彫刻科を修了している。1983年以来ギャラリー山口で11回個展、そのほか様々なギャラリーで個展…

コバヤシ画廊の村上早展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で村上早展が開かれている(10月1日まで)。村上は1992年群馬県生まれ。2014年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻を卒業し、2017年同大学大学院博士後期課程中退。毎年コバヤシ画廊で個展を続けていて今年が7回目になる。201…

Stepsギャラリーの槙野匠展を見る

東京銀座のStepsギャラリーで槙野匠展「かたちの辺り」が開かれている(9月24日まで)。槙野は茨城大学大学院教育学研究科美術教育専修を修了している。1994年にときわ画廊などで個展をし、つくば美術館などのグループ展に参加している。 今回大きな立体作…

黒鉄ヒロシ『マンガ猥褻考』を読む

黒鉄ヒロシ『マンガ猥褻考』(河出新書)を読む。カバーの惹句から、「……天才漫画家が、ついに生涯のテーマのひとつ“ワイセツ”に、真正面から挑む。歴史、文学、美術、映画、哲学、博物学の知見を総動員して、その秘密に迫る。超絶技巧の作画でおくる、完全…

鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題とは何か』の書評

鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題とは何か』(明石書店)を中島京子が書評している(毎日新聞2022年9月17日付)。その内容が凄まじい。 ……いったい「入管問題」の本質はなんなのか。 編者の一人の鈴木江理子は、「暴力性」と書く。 「収監の可否判断に司…

筒井清忠編『昭和史講義【戦後文化篇】(下)』を読む

筒井清忠編『昭和史講義【戦後文化篇】(下)』(ちくま新書)を読む。本書戦後文化篇下巻は、映画などを主体に音楽やマンガやテレビなどを扱っている。いままで映画は監督を中心に見ていくという視点が多かったが、本書は映画会社から映画史を見ていくとい…

ギャラリーアビアントの「淑女展」を見る

東京吾妻橋のギャラリーアビアントで「淑女展」が開かれている。知人が何人か出品している。 古茂田杏子は両親とも画家で、父が古茂田守介、母が美津子、2012年に目黒区立美術館で古茂田守介+古茂田美津子展が開かれている。古茂田はいつも昭和的抒情の世界…

かわかみ画廊の沓澤貴子展を見る

東京北青山のかわかみ画廊で沓澤貴子×里佳孝展が開かれている(9月24日まで)。沓澤はタブロー、里は木彫を展示している。ここでは沓澤を紹介する。沓澤は静岡県生まれ、1996年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、1998年に同大学大学院油絵コースを…

ギャラリーSAOH & TOMOSの梅田恭子展「砂に水」を見る

東京神宮前のギャラリーSAOH & TOMOSで梅田恭子展「砂に水」が開かれている(9月24日まで)。梅田は東京都生まれ、1994 年 多摩美術大学美術学部デザイン科グラフィックデザイン専攻を卒業、1996 年 同大学大学院 美術研究科デザイン専攻を修了している。19…

ギャルリー東京ユマニテbisの中井川由季展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで中井川由季展「そして地中へ」が開かれている(10月1日まで)。中井川は1960年茨城県生まれ、1984年に多摩美術大学絵画科を卒業し、1986年に同大学大学院美術研究科修士課程を修了している。 1990年にポルトガルより…

コバヤシ画廊の渋谷和良展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で渋谷和良展が開かれている(9月17日まで)。渋谷は1958年東京生まれ、1981年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業し、1983年に同大学大学院美術研究科版画専攻修士課程を修了している。2002年から1年間、文化庁在外派遣研修員として…

村上慧『家をせおって歩いた』を読む

村上慧『家をせおって歩いた』(夕書房)を読む。先日読んだ絵本の村上慧『家をせおって歩く』の日記編。2014年4月5日から2015年4月8日までの1年間、村上は家をせおって東京から東北を経て日本海沿いに大阪、神戸まで歩き、そこからフェリーで大分へ渡っ…

瀬古浩爾『定年後に見たい映画130本』を読む

瀬古浩爾『定年後に見たい映画130本』(平凡社新書)を読む。その「まえがき」から、 いま、わたしが見る映画は、単純におもしろそうだなと感じるものばかりである。本書で選んだ映画ももっぱら「おもしろさ一番」である。もう見栄を張ることも、強迫観念に…

eitoeikoの江川純太展を見る

東京神楽坂のeitoeikoで江川純太展「語られない言葉」が開かれている(9月24日まで)。江川は1979年神奈川県生まれ、2003年多摩美術大学日本画専攻を卒業している。トーキョーワンダーウォール、VOCA展、シェル美術賞など様々なグループ展に選ばれている。e…

ガルリSOLの米田称侑展を見る

東京銀座のガルリSOLで米田称侑展が開かれている(9月5日まで)。米田は1994年富山県生まれ、2017年に女子美術大学芸術学部美術学科洋画専攻を卒業、2019年に同大学大学院美術専攻か博士前期課程を卒業している。今回が初個展となる。 米田の言葉、 一つの…

JINENギャラリーの川上春奈展を見る

東京日本橋小伝馬町のJINENギャラリーで川上春奈展「穴掘る私と」が開かれている(9月11日まで)。川上は1997年愛知県生まれ、2020年に京都藝術大学(旧京都造形芸術大学)総合造形コースを卒業している。在学中に車両系建設機械運転免許を取得している。 …

発想はどこから来るか

横尾忠則『創造&老年』(SBクリエイティブ)に次のような横尾の発言がある。 あのね、直感が浮かんできたりすることがあるじゃないですか? 普段の自分では想像もできないような面白いことや不思議なことが、ある時突然、浮かんでくる。それはどこから来る…

コバヤシ画廊の作田美智子展を見る

DM葉書 東京銀座のコバヤシ画廊で作田美智子「斜影」が開かれている(9月10日まで)。作田は2005年に女子美術大学芸術学部工芸学科ガラスコースを卒業し、2007年に東京藝術大学大学院美術研究科ガラス造形研究室を修了している。今回が初個展となる。 作田…

村上慧『家をせおって歩く(かんぜん版)』を読む

村上慧『家をせおって歩く(かんぜん版)』(福音館書店)を読む。福音館の発行する『月刊たくさんのふしぎ』という小学生向けの雑誌として刊行されたものを改訂・増補した「かんぜん版」。絵本の体裁をとっている。作者は1988年生まれ、武蔵野美術大学建築…

東京国立近代美術館のゲルハルト・リヒター展を見る

東京国立近代美術館のゲルハルト・リヒター展を見る。リヒターは「ドイツが生んだ現代で最も重要な画家」(東京国立近代美術館のちらし)と言われている。1932年ドイツのドレスデンで生まれた。第2次世界大戦の結果ドレスデンは東ドイツになる。リヒターは19…

サリンジャー『彼女の思い出/逆さまの森』を読む

サリンジャー『彼女の思い出/逆さまの森』(新潮社)を読む。サリンジャーが戦前から戦後すぐの頃発表した短篇8つと戦後に発表した中篇「逆さまの森」が金原瑞人の新しい訳で収録されている。 「逆さまの森」はこれまでも「倒錯の森」の題で訳されている。…

ギャラリー檜Bの飯沼知寿子展を見る

東京京橋のギャラリー檜Bで飯沼知寿子展「Noise」が開かれている(9月3日まで)。飯沼は1984年神奈川県生まれ、2010年に東京造形大学大学院造形研究科を修了している。2010年にトキ・アートスペースで初個展、その後もトキ・アートスペースやギャラリー檜…