Stepsギャラリーの槙野匠展を見る

 東京銀座のStepsギャラリーで槙野匠展「かたちの辺り」が開かれている(9月24日まで)。槙野は茨城大学大学院教育学研究科美術教育専修を修了している。1994年にときわ画廊などで個展をし、つくば美術館などのグループ展に参加している。

 今回大きな立体作品が2点、画廊の壁に設置されている。

 「雲の考」は左右370cmの大きなもの。素材は鋼板・アクリルウレタン塗料となっている。こんなに大きければ重量もバカにならないだろうと思ったが、画廊主によるととても薄い鋼板なので案外軽いのだと言う。小さな箱を連結した作品で、箱と言えばミニマルアートのジャッドを連想するが、ジャッドが無機質でのっぺりとしたほとんど意味を捨象した作品なのに対して、槙野の作品は饒舌な表層を持ち、造形的にも豊かで

魅力的な主張を示している。いわばジャッドの真逆の方向だ。

「雲の考」



 「橋の考」は左右261.5cm、高さ52cm、やはり鋼板・アクリルウレタン塗装となっている。題名の「橋」のように、どこか太鼓橋を思わせるものがある。

「橋の考」



 槙野の作品こそ美術館に収蔵されるべきではないか。それだけの完成度を持っている。撮影し忘れてしまったが、事務所には小品が何点も展示されていた。これらがまた魅力的で格安だった。ちょっとほしかった。

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槙野匠展「かたちの辺り」

2022年9月14日(水)-9月24日(土)

12:00-19:00(土曜日17:00まで)日曜日休廊

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Stepsギャラリー

東京都中央区銀座4-4-13琉映ビル5F

電話03-6228-6195

http://www.stepsgallery.org