熊野純彦『三島由紀夫』を読む

熊野純彦『三島由紀夫』(清水書院)を読む。同社の「人と思想シリーズ」その197巻目。圧倒的な傑作評伝である。熊野は哲学者、マルクス、ヘーゲル、カント、レヴィナスなどについて書いている。さらに最近は本居宣長論も評価が高い。難解な哲学で知られる廣…

シランさび病

連休の頃は団地の花壇にシラン(紫蘭)の花が満開だった。いまは葉が生い茂っている。その葉の一部に黄色い汚れのようなものが目立っている。何だろう。近づいて見ればシランさび病だった。かなり蔓延している。 さび病菌によって起こるさび病は種々あるが、…

Stepsギャラリーの吉岡まさみ展「秘密の記憶2020」を見る

東京銀座のStepsギャラリーで吉岡まさみ展「秘密の記憶2020」が開かれている(7月22日まで)。吉岡は1956年、山形県生まれ。1981年に東京学芸大学教育学部美術科を卒業している。作家であり、ここStepsギャラリーのオーナーでもある。 ギャラリーの奥の壁に…

JINENギャラリーの黒石美奈子展を見る

東京日本橋小伝馬町のJINENギャラリーで黒石美奈子展が開かれている(7月12日まで)。黒石は1982年山形県生まれ、2002年女子美術大学短期大学部絵画コースを卒業し、2004年に武蔵野美術学園メディア表現科版画コース研究課程を修了している。2007年にギャラ…

私のチープなお宝

私にはチープなお宝が2つある。一つは映画『スエーデンの城』のサウンドトラックのドーナツ盤レコード。映画はモニカ・ビッティ(ママ)主演、ロジェ・バディム監督、フランソワズ・サガン原作だった。レコードのA面が「スエーデンの城」、B面が「恋の終末」…

JCIIフォトサロンの鬼海弘雄作品展「王たちの肖像」を見る

東京千代田区一番町のJCIIフォトサロンで鬼海弘雄作品展「王たちの肖像」が開かれている(8月2日まで)。鬼海は浅草の浅草寺境内で待っていて、気に入ったモデルが来ると声をかけて写真を撮らせてもらっている。しかし鬼海の気に入るモデルはめったにいない…

TAVギャラリーの「ノアの安産祈願展」を見る

東京阿佐ヶ谷のTAVギャラリーで「ノアの安産祈願展」が開かれている(7月12日まで)。出品作家は、生須芳英、村井祐希、名源、山縣瑠衣、笹岡由梨子。 生須は1996年群馬県生まれ、2014年多摩美術大学中退。村井は1995年横浜市生まれ、2017年多摩美術大学絵画…

ギャルリー東京ユマニテの木村太陽展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテで木村太陽展「ペインティング&立体」が開かれている(7月22日まで)。ギャラリーのホームページから、 木村は1970年生まれ。創形美術学校研究科卒業後から間もなく作品を発表し、2000年以降はドイツ、アメリカ(ニューヨ…

古賀太『美術展の不都合な真実』を読む

古賀太『美術展の不都合な真実』(新潮新書)を読む。これがとても興味深い内容だった。古賀は元朝日新聞の事業部で美術展の企画をしていた。その体験をもとに美術展の裏事情を書いている。そのあたりのことは一応知っているつもりだったが、私の知識なんか…

ギャラリーテムズの上野明美展を見る

東京武蔵小金井のギャラリーテムズで上野明美展が開かれている(7月12日まで)。上野は京都府生まれ、1983年に嵯峨美術短期大学洋画専攻を卒業している。1995年に当時銀座3丁目にあったギャラリー21+葉アネックスで初個展を行った。その後さまざまな画廊で…

MEMの三島喜美代展を見る

東京恵比寿のナディッフアパート3階のMEMで三島喜美代展が開かれている(7月5日まで)。三島は何と1932年生まれ、今年88歳になる! その年齢が信じられないくらい若々しいインスタレーションだ。画廊のホームページから、 三島喜美代が長年取り組んできた…

トキ・アートスペースのいぐちなほ展「n次元―描かれない形と色―」を見る

東京外苑前のトキ・アートスペースでいぐちなほ展「n次元―描かれない形と色―」が開かれている(7月5日まで)。いぐちは東京出身、1996年に学習院大学文学部哲学科を卒業している。2011年このトキ・アートスペースで初個展、以来ほぼ毎年同じ画廊で個展を続…

サイト青山の井上活魂「吊り書展」を見る

東京青山のサイト青山で井上活魂「吊り書展」が開かれている(7月5日まで)。井上は2年前にもここで「平成の貝塚展」をやっていた。ごみを画廊中にぶちまけて貝塚に見立てていた。 今回はタイトル「吊り書展」とDM葉書の写真から、何かにぶら下がって逆立…

山梨俊夫『絵画逍遥』を読む

山梨俊夫『絵画逍遥』(水声社)を読む。山梨は長く神奈川県立近代美術館に勤め、現在は国立国際美術館館長。神奈川県立近代美術館で3回開かれた田淵安一展の企画は山梨だったと思う。早川重章展もジャコメッティ展も。かつて読んだ山梨の『現代絵画入門』(…

ギャラリーなつかの中嶋由絵・濱田富貴・吉永晴彦展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで「View’s view 中嶋由絵・濱田富貴・吉永晴彦展」が開かれている(7月18日まで)。ここでは3人のうちの濱田富貴を紹介したい。濱田は1972年福岡県生まれ、2000年に武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コースを修了して…

信濃毎日新聞に紹介された山本弘

長野県安曇野市にギャルリー留歩(るぽ)という画廊がある。いまここで「栗原一郎展 おんなを描く」が開かれている(7月31日まで)。その一隅に山本弘『湘(しょう)』が特別展示されている。油彩3号(27.3×22.0cm)、1974年制作。湘は山本弘の一人娘、この…

はみだしYouとPia

「はみだしYouとPia」というツイッターを書いている人がいる。昔発行されていた『Weeklyぴあ』にその名前のコラムがあった。その中から面白いと思ったものを選んで載せているらしい。私もそこに投書していたことがあるので見てみた。この雑誌は創刊半年後か…

ツルティム・ケサン、正木晃『増補 チベット密教』を読む

ツルティム・ケサン、正木晃『増補 チベット密教』(ちくま学芸文庫)を読む。本書裏表紙の惹句から、 インド仏教の本流を汲むチベット密教は、解脱への手段として、長らくタブー視されていた「性」まで取り込んだため、興味本位による憶測と恣意的な解釈が…

トキ・アートスペースの四塚祐子展を見る

東京渋谷区外苑前のトキ・アートスペースで四塚祐子展が開かれている(6月28日まで)。四塚は1970年京都生まれ、1990年に成安女子短大(現成安造形大学)日本画専攻を卒業し、その後フランスへ行って、2000年にヴェルサイユ美術学校を卒業している。2001年に…

『定本 黒田三郎詩集』を読む

『定本 黒田三郎詩集』(昭森社)を読む。600ページ余の厚い本に200篇ほどの詩が収録されている。黒田三郎は好きで読んできたが、こんなまとまったものを読むのは初めてだ。 まとめて読んで、やはり良いのは『ひとりの女に』として出版された詩集だ。奥さん…

片山杜秀『皇国史観』を読む

片山杜秀『皇国史観』(文春新書)を読む。皇国史観とは、日本の歴史を万世一系である天皇が君臨する神国の歴史として描く歴史観、と取りあえず『広辞苑』を引いて、さらに、明治以来近代日本の大きな枠組みを作り上げているもの、とする。その枠組みが「天…

幽草の句

先日曽根原幽草のあじさいの句を紹介したが、『合同句集 岳樺』(雲母長野句会発行)に載っているほかの句も紹介したい。発行は平成2年、1990年1月1日。 あぢさゐや南溟遠く沈みし船悲しみを頒つひとありさくらんぼ甚平やどこから見ても小さき耳さぎ草の揺る…

菊のアザミウマ

ベランダの鉢植えの野菊が少しおかしい。鉢土は濡れていて乾いていないのに、葉が内側にカールしている。葉の色も汚れたような感じだ。ルーペで見てみる。葉の表面にごく小さな黒っぽい粒々がびっしり付いている。 すぐに分った。これはアザミウマの幼虫(若…

羽黒洞の亀井三千代展「カルマフリー」を見る

東京湯島の羽黒洞で亀井三千代展「カルマフリー」が開かれている(6月28日まで)。亀井は1966年生まれ、慶應義塾大学文学部哲学科卒業。1996年より東京医科歯科大学・解剖学講座にて解剖学聴講、解剖図を描き始める(2004~2010専攻生 )。現在、墨、日本画…

祝田秀全『近代建築で読み解く日本』を読む

祝田秀全『近代建築で読み解く日本』(祥伝社新書)を読む。近代日本建築史のつもりで読み始めたら違っていた。タイトルを見れば、そう考えた私が間違っていた。建築を歴史の視点から見るという本だった。それはそれでなかなか興味深く読めた。 明治維新後、…

日本橋高島屋の美術展を見る

東京日本橋の日本橋高島屋S.C.本館6階美術画廊の天野裕夫彫刻展と同じく本館6階の美術画廊Xの長沢明展を見る。 天野は1954年岐阜県生まれ、1978年に多摩美術大学大学院彫刻科を修了している。天野はここ日本橋高島屋や椿近代画廊で何度も個展を繰り返してい…

紫陽花の句

紫陽花が咲いている。日本古来のガクアジサイに加えて、それがヨーロッパへ渡って改良され、西洋アジサイとかハイドランジアという名前で街のあちこちに青、ピンク、白などの花を咲かせている。 ここにアジサイの句を紹介する。 あ ぢ さ ゐ や 南 溟 遠 く …

山本弘生誕90年

昨日6月15日は山本弘の誕生日だった。生誕90年となる。 ・ 山本弘を偲んで、暮沢剛巳『現代美術のキーワード100』(ちくま新書)を手に取った。購入したのは11年前、しかしこれは一種の事典だから興味のあるところだけ拾い読みしてきた。今回初めて「アンフ…

Stepsギャラリーの「うのぜみ2020 ブレと滲みと不定形」を見る

東京銀座のStepsギャラリーで「うのぜみ2020 ブレと滲みと不定形」が開かれている。これは嵯峨美術大学で教えている宇野和幸が教え子を選んでここStepsギャラリーで「うのぜみ」展として毎年行っているものだ。今年は宇野のほか勝木有香と蘇理愛花が参加して…

佐藤正午『小説の読み書き』を読む

佐藤正午『小説の読み書き』(岩波新書)を読む。岩波書店のPR誌『図書』に2年間連載したもの。作家佐藤正午が著名な12冊の小説を取り上げて感想を書いている。これが面白い。作家らしく文体などのある種細部にこだわり、それを追求していく。 中勘助の『銀…