高橋源一郎『間違いだらけの文章教室』を読む

高橋源一郎『間違いだらけの文章教室』(朝日文庫)を読む。以前、『ぼくらの文章教室』として単行本で出ていたものを改題し、学生たちの書いた「吉里吉里国憲法前文」を加筆したもの。 例文にいくつもの文章が引用されている。最初の文章は、木村センという…

座・高円寺で『大いなる平和』を見る

座・高円寺で芝居『大いなる平和』を見る。これは毎年恒例の座・高円寺の劇場創造アカデミー10期生修了上演で、原作がエドワード・ボンドの『戦争戯曲集三部作』、3幕の演出がそれぞれ松本修、生田萬、佐藤信が担当している。上演時間が6時間半! 3幕それぞ…

アンドーギャラリーの中沢研展を見る

東京江東区平野のアンドーギャラリーで中沢研展が開かれている(4月18日まで)。中沢は1970年東京生まれ、1994年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。1992年にINAXギャラリー2で個展を開いた後、ギャラリー現やギャラリー山口、ギャラリ…

トキ・アートスペースの高橋理加展「Nussun dorma~誰も寝てはならない」を見る

東京神宮前のトキ・アートスペースで高橋理加展「Nussun dorma~誰も寝てはならない」が開かれている(2月23日まで)。東京での個展は8年ぶりだという。高橋は1963年東京生まれ、多摩美術大学絵画科を卒業している。画廊のホームページに高橋のだろう言葉が掲…

ギャラリーなつかの酒井香奈展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで酒井香奈展が開かれている(2月29日まで)。酒井は1969年茨城県生まれ、1992年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、1994年に同大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了している。2008年と2010年にこのなつかで個展…

ガルリSOLの島田佳樹個展「すべて、太陽のせいです。」を見る

東京銀座のガルリSOLで島田佳樹個展「すべて、太陽のせいです。」が開かれている(2月22日まで)。島田は1994年埼玉県生まれ、2019年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。今回が初個展となる。 画廊には何本もの木の柱が立っている。根元には錘のよう…

鬼海弘雄『靴底の減りかた』を読む

鬼海弘雄『靴底の減りかた』(筑摩書房)を読む。厳しい写真を撮っている鬼海の文字だけのエッセイ集だ。いや、32ページのモノクロ写真が挟み込まれているが。 鬼海は淡々と書き綴っていく。事件はほとんど起こらない。いや鬼海はトルコだけで15年間に6回旅…

Stepsギャラリーの追悼展ミラン・トゥーツォヴィッチを見る

東京銀座のStepsギャラリーで追悼展ミラン・トゥーツォヴィッチが開かれている(2月27日まで)。ミラン・トゥーツォヴィッチは1965年旧ユーゴスラヴィアに生まれ、1991年にベオグラード藝術大学興行学部を卒業し、2019年に心筋後梗塞のために亡くなった。今…

トキ・アートスペースの山添潤彫刻展「きざみもの」を見る

東京神宮前のトキ・アートスペースで山添潤彫刻展「きざみもの」が開かれている(2月16日まで)。山添は1971年京都府生まれ、1995年にKOBATAKE工房を修了している。2004年にギャラリー4GATSで初個展、以来京都や東京の画廊で個展を繰り返している。ここトキ…

府中市美術館の青木野枝展「霧と鉄と山と」を見る

東京の府中市美術館で青木野枝展「霧と鉄と山と」が開かれている(3月1日まで)。青木の略歴を美術館のホームページから引く。 1958年東京都生まれ。鉄板から切り抜いた形をつなげて広い空間に展開し、新しい彫刻のかたちを提案している。近年はガラスや石膏…

無人島プロダクションの風間サチコ展「セメントセメタリー」を見る

東京墨田区江東橋の無人島プロダクションで風間サチコ展「セメントセメタリー」が開かれている(3月8日まで)。風間は1972年東京生まれ、1996年武蔵野美術学園版画研究科を修了している。1998年にギャラリー山口で初個展、その後、ギャラリー手、マキイマサ…

荒木経惟『写真ノ説明』を読む

荒木経惟『写真ノ説明』(光文社新書)を読む。2016年の2月、4年前に発行されている。アラーキーの過去の写真を取り上げて本人が解説している。 まず光文社新書編集部の企画が安直ではないだろうか。アラーキーの写真は繰り返しダイジェストして紹介されてい…

河合隼雄『猫だましい』を読む

河合隼雄『猫だましい』(新潮文庫)を読む。「猫たましい(魂)」と「猫だまし(騙し)」をかけているという。河合はユング派の臨床心理学者、月刊雑誌に1年間連載したものをまとめている。猫に関係する小説を取り上げて魂を語ろうという。 取り上げられる…

「第18回NAU21世紀美術連立展」を見る

六本木の国立新美術館で「第18回NAU21世紀美術連立展」を見る(2月16日まで)。NAUというのは、New Artist Unit Exhibitionの略。知人が何人か参加している。知人たちの作品を紹介する。 湯沢茂好 私と同郷の作家、銀座のギャラリー檜で個展を続けている 瀬…

国立新美術館の「DOMANI・明日2020」を見る

東京六本木の国立新美術館で「DOMANI・明日2020」が開かれている(2月16日まで)。文化庁が派遣して世界各地で研修した作家たち10 人が取り上げられている。それは、石内都、畠山直哉、米田知子、栗林聡・栗林隆、日高理恵子、宮永愛子、藤岡亜弥、森淳一、…

千葉市民ギャラリー・いなげの堀由樹子展「空と森と、」を見る

千葉市稲毛の千葉市民ギャラリー・いなげで堀由樹子展「空と森と、」が開かれている(2月23日まで)。堀は1971年東京生まれ、1994年に東京造形大学絵画専攻を卒業し、1995年に同大学絵画専攻研究生を修了している。1995年にJ2ギャラリー、その後なびす画廊、…

東直子歌集『青卵』を読む

東直子歌集『青卵(せいらん)』(ちくま文庫)を読む。東2冊目の歌集。その歌のいくつかを引く。 ママンあれはぼくの鳥だねママンママンぼくの落とした砂じゃないよねピストルに胸を刺されて死んだのよ、ママン、水着の回転木馬煙立つ終点の駅我がドアを砂…

猫の死

飼っていた猫が死んだ。チビ19歳と半歳(推定)だった。人間でいえば95歳くらいか。2000年9月頃公園で雨に濡れて弱っていた子猫をカミさんが拾ってきた。動物病院に連れて行くと生後2か月くらいで、寄生するノミが多く野良の母猫が生んだものだろうと診断さ…

養老孟司『形を読む』を読む

養老孟司『形を読む』(講談社学術文庫)を読む。副題が「生物の形態をめぐって」とあり、解剖学者の立場から生物、とくに動物の形態を論じている。『バカの壁』がベストセラーになった解剖学者の3冊目の著作で、解剖学という基礎学をじっくり研究した人だか…

獄舎の歌

朝日新聞の「朝日歌壇」に吉島覚の歌が馬場あき子選で載っている(2月2日付け)。 年越して訳の分からぬ一体感真夜の獄舎に静かな熱気 (広島市)吉島覚 獄舎と詠っていて広島市在住とあるから広島刑務所に服役中なのだろうか。今まで気がつかなかったが、ネ…

東京オペラシティアートギャラリーの白髪一雄展を見る

東京初台の東京オペラシティアートギャラリーで白髪一雄展が開かれている(3月22日まで)。白髪の作品は近年欧米で評価が高く、1点数億円で取引されているらしい。展覧会のちらしから、 白髪一雄(1924-2008)は、戦後日本の前衛芸術を牽引した具体美術協会…

2019年に読んだ本から

2019年は126冊の本を読んでいる。その中から特に良かったものを挙げてみる。順不同、思いつくままに並べていて、決して良い順というわけではない。小説は2冊だけで、どちらもスタニスワフ・レムのSFだ。美術史が3冊。音楽論が5冊だが、その内4冊が片山杜秀だ…

江原順『日本美術界腐敗の構造』を読む

知人に勧められ江原順『日本美術界腐敗の構造』(サイマル出版会)を読む。1978年、もう40年以上前に出版された本。時事的な内容を扱っているので面白いのだが古さは否めない。「まえがき」の冒頭で以下のように書かれている。 この本を書くか、書かないか、…

東京藝術大学卒業・修了作品展を見る

東京上野の東京都美術館と東京藝術大学で東京藝術大学卒業・修了作品展が開かれている(2月2日まで)。その中からいくつかを紹介する。 須田紘平 田村なみちえ 上川桂南恵 赤澤玉奈 井上園子 和久千文 水野千尋 小林茉莉 驫木麻左臣 葛城龍哉 白井雪音 澤村…

島尾新『水墨画入門』がとても良い

島尾新『水墨画入門』(岩波新書)がとても良い。島尾は元東京国立文化財研究所勤務。島尾についてはこのブログでも何度か紹介している。 何かの本で水墨画については、矢代幸雄『水墨画』(岩波新書)がいいと書かれていた。たしかに良い本だったが、古いの…

長谷川義史『絵本作家のブルース』を読む

長谷川義史『絵本作家のブルース』(読書サポート)を読む。長谷川が季刊雑誌『この本読んで!』の巻頭に見開き2ページで連載しているものを単行本化したもの。B5判の大型本で、季刊だから年に4回発行、33回までが収められている本書は8年以上連載したこと…

東京ステーションギャラリーの坂田一男展「捲土重来」を見る

東京ステーションギャラリーで坂田一男展「捲土重来」が開かれている(1月26日まで)。ちらしの文章を引く。 キュビスム以降の抽象絵画の展開を核心で理解し、その可能性を究極まで押しすすめた画家坂田一男(1989-1956)。世界的にも稀有な高い次元に到達…

hinoギャラリーの多和圭三 多摩美術大学退職記念展を見る

東京八丁堀のhinoギャラリーで多和圭三 多摩美術大学退職記念展が開かれている(2月15日まで)。多和は1952年愛媛県生まれ、1978年日本大学芸術学部美術学科彫刻専攻卒業、1980年日本大学芸術学部芸術研究所修了、2009年多摩美術大学彫刻科教授就任、そして…

道浦母都子『無援の抒情』を読む

道浦母都子『無援の抒情』(岩波同時代ライブラリー)を読む。感動して読み終わって、いくつか知っている歌やエッセイがあるのはどこで知ったのだったのかと考えていた。念のためにこのブログを検索したら4年前に読んで感想をアップしていた。すっかり忘れて…

中和ギャラリーの柴田和×池田孝友 二人展を見る

東京銀座の中和ギャラリーで柴田和×池田孝友 二人展が開かれている(1月25日まで)。柴田は1934年生まれ、帝国美術学校(武蔵野美術大学の前身)を卒業。1960年代、美術グループ乱立の時代はネオ・ダダのメンバーらとも一緒に活動していた。1963年、最後の読…