節分の夜の短歌

2月3日は節分だった。節分の夜は大島かづ子の短歌を思い出す。 追儺の豆外には打たじ戸はたてじ召さりし護国の鬼の兄来よ 追儺(ついな)は節分の夜、桃の弓で葦の矢を放って悪魔を追い払う儀式。戦死した兵は鬼となって国を守るとされた。戦死した兄を妹…

菊畑茂久馬『絵かきが語る近代美術』を読む

菊畑茂久馬『絵かきが語る近代美術』(弦書房)を読む。九州派の重鎮菊畑茂久馬が平成13年から14年にかけて福岡県立美術館で連続講演をした記録を再構成・加筆したものとのこと。菊畑は画家だけれど、日本近代美術史としてきわめて面白い。 前半は江戸時代か…

TS4312の田淵安一展を見る

東京四谷三丁目のTS4312で田淵安一展が開かれている(2月26日まで)。田淵は1921年福岡県生まれ、1945年東京大学文学部美術史学科に入学、在学中から猪熊弦一郎に師事。1951年渡仏、以後パリを拠点に制作・発表を続けた。1985年フランス政府より芸術文化勲…

銀座 蔦屋書店の堀本達矢個展を見る

東京銀座のギンザシックスにある銀座蔦屋書店ギンザ アトリウムで堀本達矢個展「Meet the KEMONO」が開かれている(2月8日まで)。堀本は1993年三重県生まれ、沖縄県立芸術大学大学院彫刻専修を修了している。2016年に沖縄県立芸術大学ピロティで初個展、…

コバヤシ画廊の保科豊巳展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で保科豊巳展が開かれている(2月9日まで)。これは「80年代の美術」というシリーズの6回目だ。保科は1953年長野県生まれ、1979年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、1984年に同大学大学院博士後期課程美術専攻を満期退…

ギャラリー川船の「日芸版画修了卒業制作展」を見る

東京京橋のギャラリー川船で「日芸版画修了卒業制作展」が開かれている(2月4日まで)。日本大学芸術学部の大学院の版画分野修了制作および大学版画専攻の卒業制作を展示している。主な作品を紹介する。 青柳有華(銅版画) 岡本彩椰・院生(銅版画) 石川…

ガルリSOLの「LIFE vol.2 #4」を見る

東京銀座のガルリSOLで「LIFE vol.2 #4」が開かれている。6人の彫刻家などのグループ展で、SOLが作家を選んでいる。 笹井南海 笹井南海「ひこう少年」。 川島史也 川島史也。1989年栃木県足利市生まれ、2019年筑波大学大学院博士後期課程修了。 森哲弥 森哲…

菊地暁『民俗学入門』を読む

菊地暁『民俗学入門』(岩波新書)を読む。タイトル通りの見事な民俗学入門書。柳田国男が始めた民俗学はどこか古臭い印象で、もう流行らない過去の学問かと漠然と思っていた。とんでもないことだった。 本書は3つの章からなり、それぞれ3つのテーマを掲げ…

eitoeikoの石垣克子展を見る

東京神楽坂のeitoeikoで石垣克子展「基地のある風景Ⅲ」が開かれている(2月18日まで)。石垣は1967年沖縄県石垣市生まれ、1991年沖縄県立芸術大学美術工芸学部美術学科絵画専攻を卒業、1997年に初個展を行い、その後県内外での個展を40回以上行っている。 D…

山崎努『「俳優」の肩ごしに』を読む

山崎努『「俳優」の肩ごしに』(日本経済新聞出版)を読む。山崎が昨年の8月に「日本経済新聞」に連載したもの。初め幼少の頃の思い出から書き始めている。最初はちょっと危なっかしい。大丈夫かなと危惧しながら読む。ところが俳優を志してから筆が乗り始…

梅崎春生『カロや』を読む

梅崎春生『カロや』(中公文庫)を読む。梅崎は飼った猫をカロと名付ける。4代にわたって飼われたが、いずれもカロと名付けられた。その3代目のカロについて、 (……)カロが、我が家の茶の間を通るとき、高さが5寸ばかりになる。私が茶の間にいるとき、こと…

いりや画廊の丸山富之展を見る

会場風景(パンフレットより) 東京北上野のいりや画廊で“いりや画廊開廊10周年記念展#3”丸山富之展「水平の空-おもかげ」が開かれている(1月28日まで)。丸山は1956年長野県生まれ、1986年東京藝術大学大学院彫刻専攻を修了している。1987年ときわ画廊…

パレアナの北崎洋子展を見る

DM葉書 東京神楽坂のパレアナで北崎洋子展「時のスケッチ」が開かれている(1月26日まで)。北崎は1960年女子美術短期大学美術科卒業、個展は、ぎゃるり しらの、ギャラリー汲美、ギャラリー砂翁、中和ギャラリー、K'sギャラリー、ギャラリーテムズなどで行…

山本弘のデッサン2点

『山本弘遺作画集』に山本のデッサンが掲載されている。鳥を描いたものは1966年、自画像は1970年の作で、自画像は40歳の時のものということになる。 1966年は愛子と結婚した年、1970年の翌年長女の湘が生まれている。 鳥 自画像

山本弘へのオマージュ

もう40年近く前になるが、『山本弘遺作画集』に菅沼秀雄さんが「山本弘へのオマージュ」と題して追悼文を寄稿してくれた。菅沼さんは山本の小学校の同級生。私が紹介されたとき、魚問屋の専務だった。 以下、菅沼秀雄さんの投稿全文。 ・ 小学校が山本弘との…

クロスビューアーツの桑原理早展を見る

東京京橋のクロスビューアーツで桑原理早展が開かれている(1月28日まで)。桑原は1986年、東京都出身。2011年に武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業し、2013年同大学大学院造形研究科日本画コースを修了している。2013年アートスペース羅針盤で初個展…

ギャルリー東京ユマニテbisの佐藤翼展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで佐藤翼展が開かれている(1月21日まで)。佐藤は1994年東京生まれ、現在多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻版画研究領域在籍中。今まで、高円寺や吉祥寺の画廊で個展を開いていて、今回が3回目の個展…

ギャラリー58の「Square展」を見る

東京銀座のギャラリー58で第10回「Square展」が開かれている(1月21日まで)。Square展とは、「30×30mの正方形展」との副題があり、参加作家が30cm四方のキャンバス(作品)各1点を出品するもの。今回46名の作家が参加している。 私が興味を持った作品を紹…

Stepsギャラリーの一色映理子展を見る

東京銀座のStepsギャラリーで一色映理子展「One More Light」が開かれている(1月21日まで)。一色は1981年、愛媛県生まれ。2004年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、2006年に同大学大学院美術専攻油絵コースを修了している。2005年に銀座のフタバ…

塚本豊子『画廊と作家たち』を読む

塚本豊子『画廊と作家たち』(新潮社図書編集室)を読む。長く東京小金井市で双ギャラリーを主宰していた塚本が、昨年同ギャラリーの閉廊にあたり、30数年前の吉祥寺での開廊から閉廊までの主な展覧会を振り返って記録している。 初期には菅木志雄や森村泰昌…

若桑みどり『女性画家列伝』を読む

若桑みどり『女性画家列伝』(岩波新書)を読む。雑誌『創文』に連載したものをまとめたもの。12人の女性画家を取り上げ、その画家の「本質をえぐる」という点を追及している。 取り上げている画家は、シュザンヌ・ヴァラドン、アルテミジア・ジェンテレスキ…

『O・ヘンリーニューヨーク小説集』を読む

『O・ヘンリーニューヨーク小説集』(ちくま文庫)を読む。もう60年近く前に読んだ・ヘンリーの短篇集だが、本書はニューヨークを舞台にしたものを集めている。しかし、特筆すべきは訳者だろう。青山南+戸山翻訳農場 訳となっている。青山南は有名な翻訳者…

原和の祥月命日

友人の原和(はらかず)が19年前の今夜(13日の深夜〜14日にかけて)亡くなった。亡くなる直前の夜9時頃電話をしてきて、54年付き合ってくれたけどさよならと言った。酔っていてろれつが回らなかった。ぐでんぐでんだった。20歳の頃から死ぬ死ぬと言ってい…

佐野洋子『覚えていない』を読む(再掲)

佐野洋子『覚えていない』(マガジンハウス)を読む。主に1990年前後に雑誌等に掲載されたエッセイなどを集めたもの。佐野を読む面白さは、女性の極論的本音を知ることができると思われるからだ。 佐野が、テレビのアナウンサーが、年取って容貌がおとろえた…

谷川俊太郎『女に』を読む

谷川俊太郎『女に』(集英社)を読む。詩が谷川俊太郎、絵が佐野洋子。本書の初版はマガジンハウスからで1991年だった。谷川はこの前年1990年に佐野洋子と3回目の結婚をしている。この時谷川は59歳、佐野は2度目の結婚で52歳だった。 『女に』は佐野と結婚…

青柳いづみこ『ヴィンテージ・ピアニストの魅力』を読む

青柳いづみこ『ヴィンテージ・ピアニストの魅力』(アルテスパブリッシング)を読む。ヤマハの会員誌『音遊人(みゅーじん)』に2012年から連載したもの。執筆時点でおおむね75歳以上のピアニストをヴィンテージ・ピアニストとして取り上げている。その数40…

ガルリSOLの松尾玲央奈展を見る

東京銀座のガルリSOLで松尾玲央奈展「列なり逢う想い」が開かれている(1月21日まで)。松尾は1984年、福岡県生まれ。2007年に女子美術大学芸術学部立体アート学科を卒業し、2012年に同大学大学院美術研究科美術専攻後期博士課程を修了している。初個展は20…

十亀弘史が朝日歌壇賞を受賞

第39回朝日歌壇賞に佐々木幸綱は十亀弘史の次の歌を選んだ(朝日新聞2023年1月8日付)。 戦争は祈りだけでは止まらない 陽に灼かれつつデモに加わる 十亀さんは時折朝日歌壇に選ばれ常連の一人となっている。もう何年にもなるが、ある時獄に入ると詠って強…

墨田区の石けん工場の火災跡地を見る

暮れの12月27日東京匡墨田区立花3丁目の化学工場から火が出て、工場や隣接する住宅など5棟2600平方mが焼けた。火事の11日後に火災現場を見に行った。 火災についての東京新聞の記事によると、「署などによると、工場は木造2階建てで、約1300平方メートルが…

山本弘の作品解説(111)「箱」

山本弘「箱」、油彩、F10号(天地45.5cm×左右53.0cm) 1976年制作、山本弘46歳の晩年の作品。ワシオトシヒコさんが雑誌『美庵』に紹介してくれたことがある。私も山本が身近な箱を描いたと思っていた。ところがある人が、この絵は何を意味しているのか考えな…