アートスペース羅針盤の荒井裕太郎展を見る

 東京京橋のアートスペース羅針盤で荒井裕太郎展「2001~2003年作を中心に」が開かれている(7月12日まで)。荒井裕太郎は1960年東京生まれ、1985年東京藝術大学美術学部工芸科を卒業し、1987年同大学大学院修士課程彫金科を修了している。1986年にかねこあーとG1で初個展、以来さまざまな画廊で個展を開いてきたが、ここ羅針盤では2001年以来今回で11回目になる。

 荒井裕太郎の言葉、

「2001~2003年作を中心に」展に寄せて

今回は旧作品による初めての個展となります。予てからもう一度我が子達に日の目を見せたいとの思いと過去と現在の変遷をたどりたかったことが理由です。干支が二回りし作品も大きく変わりましたが先の作品は今観てもなかなか良いなと思う反面いささか情緒的ともいえる表現に照れくさくもなります。「袋状の一つ」シリーズも十年ほど経とうとしていますがこちらは先に比べれば攻撃的で、この変遷を鑑み私は自己表現に哲学や思想などなく素材における表現の可能性を追っていただけで何か言葉を超えた抽象度の高い曰く言い難いものを造りたかったのだと改めて確認した次第です。

 



 画廊の正面壁に鉄製の柱状のものが42本並べられている。こちらが23年前の旧作のようだ。右の壁に展示されている逆L字型の作品は2002年とこれも古い作品だ。

 荒井の最近の作品(「袋状の一つ」シリーズ)はかなり複雑な造形を示している。厚い鉄板を変形し溶接して、鉄でありながらどこか有機的な形を見せている。おそらく技術的にはかなり高度なものなのだろう。それに比べれば旧作は造形的には単純かもしれないが、一方で魅力的なのも事実だった。

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荒井裕太郎展「2001~2003年作を中心に」

2024年7月4日(木)―7月12日(金)

11:00-19:00(日曜休廊)

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アートスペース羅針盤

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F

電話03-3538-0160

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