社会

高橋源一郎『誰にも相談できません』を読む

高橋源一郎『誰にも相談できません』(毎日新聞出版)を読む。毎日新聞におよそ5年間にわたって掲載された「人生相談」から100本を選んだもの。主に家庭内の悩み、夫婦や親子、嫁姑、恋人、友人、悩みは様々だ。『アンナ・カレーニナ』の有名な言葉「幸福な…

どどめ色という不思議な色

朝日新聞の校閲センターの佐藤司が「ことばサプリ」というコラムに「どどめ色」を取り上げていた(6月20日、朝日新聞)。校閲センターといえば言葉の専門家、半端な部署ではない。ただ、このことについては書きづらく2か月近く取り上げるのを躊躇してきた。 …

佐藤優の書評、冨山和彦著『コロナショック・サバイバル』が興味深い!

佐藤優が冨山和彦著『コロナショック・サバイバル』(文藝春秋)を毎日新聞に紹介している(6月6日)。それがとても興味深い。 冨山氏は、新型コロナウイルスがもたらす経済危機は3段階で到来すると予測する。第1波がローカルクライシスだ。〈出入国制限はも…

司馬遼太郎『この国のかたち 二』を読む

司馬遼太郎『この国のかたち 二』(文春文庫)を読む。『文藝春秋』の巻頭言として連載したものを24回分まとめている。単行本は30年前に出たものだが内容は古びていない。 この巻頭言は時事的なものではなく、日本の歴史、文化を毎回原稿用紙10枚ほどにまと…

浅田次郎のお母さんのエピソード

朝日新聞に連載コラム「かあさんのせなか」があって、今日は浅田次郎だった。「タフで恋多き永遠の神秘」となっている。記者の聞き書きのようだ。 浅田次郎のお母さんは美しい人だったという。浅田の小説が映画化されて女優さんと会う機会があったが、おふく…

仕事の極意

私の考える仕事の極意を紹介したい。これは以前も書いたことだが再録する。 まず重要なモットーを紹介する。 ・仕事に関しては「面倒」と言わない。 仕事というものは総て面倒なものなのだ。あえて面倒なことをして対価を得ている。仕事に対して面倒だと言っ…

シジフォスの辛さ

NKHの番組「やわらかアタマが世界を救うスペシャル!」を見ていたら、受験生に勉強の意欲をかきたてるためのボールペンが紹介されていた。インクが入っている芯にインクの残量が分かる目盛りを入れている。毎日その目盛りを見れば、自分がどんなに勉強したか…

マスクで覆った顔は・・・

コロナ禍のためマスクの着用が推奨されている。ほとんどの人がマスクを付けていて、さすがに知人では誰か分からないと言うことはない。しかし、あまり知らない人やテレビでたまに見る人も誰か分からないことが多い。 面白かったのは、美人の知人がマスクをし…

AI関連の話題

土曜日の朝日新聞書評にAI関連の書籍の紹介が上下に並んで掲載されていた。瀬名秀明『ポロック生命体』(新潮社)と、谷口将紀・宍戸常寿『デジタル・デモクラシーがやってくる!』(中央公論新社)だ。後者の副題が「AIが私たちの社会を変えるんだったら、…

絲山秋子『御社のチャラ男』の書評

絲山秋子『御社のチャラ男』(講談社)の書評が朝日新聞に載っていた(3月28日)。書評子は辛口斎藤美奈子、チャラ男について簡単にまとめているが、私の理解しているチャラ男とあまりにもピッタリ合っていて驚いた。 チャラ男の定義は一言ではいえないが、…

司馬遼太郎『この国のかたち一』を読む

久しぶり、20数年ぶりに司馬遼太郎『この国のかたち一』(文春文庫)を読む。1986年から1987年の2年間『文藝春秋』に連載した巻頭言をまとめたもの。結局この連載は10年以上続いたので評判が良かったのだろう。今回読み直してみて改めて司馬の魅力に取りつか…

新型コロナウイルスで入院中の渡辺一誠さんの手記

新型コロナウイルス感染で入院中の渡辺一誠さんの手記がすごい。 https://forbesjapan.com/articles/detail/33415 これを読んで本当に外出は控えようという気持ちになった。 入院したら2週間はかかるらしいから。

内田樹『街場の天皇論』を読む

内田樹『街場の天皇論』(東洋経済新報社)を読む。副題が「ぼくはいかにして天皇主義者になったのか」、内田の天皇論である。雑誌編集者から「天皇と近代は両立するのか」と問われて、 現に両立しているじゃないですか。むしろ非常によく機能していると言っ…

天使のトランペットが咲いている

東京日本橋小伝馬町に天使のトランペットと呼ばれるキダチチョウセンアサガオが咲いていた。これが恐ろしい幻覚作用を持っていることを2年前の植松黎の「世界の毒草」で知った。それを紹介した私のブログを再掲する。 ……キダチチョウセンアサガオの原産地の…

阿佐ヶ谷のけやき屋敷再開発

東京の杉並区の中央線阿佐ヶ谷駅から100メートルほどの至近距離にけやき屋敷と呼ばれている大きな屋敷がある。敷地面積10,000平方メートル、約3,000坪、1辺100メートルの正方形に近い。ここが再開発で河北病院になるという。 左隣に杉並第一小学校があるが、…

湊千尋『インフラグラム』を読む

湊千尋『インフラグラム』(講談社選書メチエ)を読む。インフラグラムという言葉は湊の造語で、「情報化社会のインフラとなった写真や映像」のことだという。デジタル化されて写真や映像は世界を席巻している。世界に溢れている。 港はデュシャンを参照した…

糞土師のこと

家で使っていたウォシュレットの調子が悪くなってきた。無理もない、もう20年ほど使っているのだ。業者に頼んで買い替えようとしたら、娘が私がやるという。ヨドバシからパナソニックの温水便座を取りよせて、娘が一人で工事をしてくれた。さすがに新しいの…

令和に寄せて(2)

朝日新聞の「令和に寄せて」に金井美恵子が寄稿している。金井のことだから令和祭りに参加するはずはないが、さすがにいつもの辛辣さは幾分ソフトになっている(5月2日)。 天皇の生前退位と即位による「慶祝」ムードは、10連休を政府が作ったせいで、あらゆ…

令和に寄せて

朝日新聞の連載「オトナになった女子たちへ」で伊藤理佐が書いている(4月26日朝刊)。 ……ふだん、ラジオ生活の今年50歳は、4月1日、「テレビの前」に座っていた。春休みのムスメ(9)も誘って。だって、ムスメは将来、 「えー、〇〇君、令和生まれ? わか…

伊東光晴の橋本健二著『アンダークラス』(ちくま新書)の書評から

毎日新聞の書評欄に伊東光晴が橋本健二著『アンダークラス』(ちくま新書)について紹介している。本書の副題は「新たな下層階級の出現」。伊東によると、橋本は日本の階級構造を、資本家階級、労働者階級、農民や商店主のような旧中間階級、技術者、教員、…

佐野眞一『唐牛伝』を読む

佐野眞一『唐牛伝』(小学館文庫)を読む。副題が「敗者の戦後漂流」となっている。本書は唐牛(かろうじ)健太郎の伝記、唐牛は60年安保当時の全学連委員長だった。全学連は安保改定に激しく反対して連日国会へデモをしかけ、唐牛は警察の装甲車に飛乗りア…

池澤夏樹の提言

朝日新聞に池澤夏樹が連載している「終わりと始まり」というコラムがある。1月9日は「三つの統計から見える日本」と題されていた。「日本が少しずつ衰退してゆくという印象はどこから来るのか」という一節で始まっている。 平成が終わると聞いて振り返れば、…

アラン・ワイズマン『人類が消えた世界』を読む

アラン・ワイズマン『人類が消えた世界』(ハヤカワ文庫)を読む。SFのようなタイトルだが、ノンフィクションだ。増え続けた人類のために、また増大するプラスチックや化学物質などのために、地球は莫大な負荷を受けている。動植物が絶滅の危機にあり、すで…

「非々」という珍しい名字

朝日新聞の朝日歌壇に珍しい名字の女性の短歌が紹介された(10月28日)。 秋海棠と秋明菊が好きだった父は画帖にあまた残せり (島根県 非々玲子) この「非々」という名字は初めて知った。それで「名字由来net」というサイトで調べてみた。非々は愛知県に約…

香原志勢『動作』を読む

香原志勢『動作』(講談社現代新書)を読む。副題が「都市空間の行動学」で、著者の専攻は人類行動学。内容を目次から見ると、 「車内にて――閉鎖移動空間の過ごし方」 「盛り場にて――分身・変身を求めて」 「会議室にて――無為のしぐさを読む能力」 「歌舞伎…

河合隼雄『河合隼雄語録』を読む

河合隼雄『河合隼雄語録』(岩波現代文庫)を読む。息子の河合俊雄編集。本書は1974年から1976年にかけての京都大学臨床心理学教室での心理療法の事例検討会における河合隼雄のコメントをまとめたもの。当時大学院生であった藤縄真理子がそれを録音していて…

佐藤康宏「三つの絞首刑」

東京大学出版会のPR誌『UP』に佐藤康宏が「日本美術史不案内」という連載を書いている。9月号は「三つの絞首刑」と題してオウム真理教の教祖と幹部13名が死刑執行されたことを取り上げている。 2018年7月6日、オウム真理教の教祖と幹部の計7名が絞首刑に処せ…

山田昌弘『悩める日本人』を読む

山田昌弘『悩める日本人』(ディスカヴァー携書)を読む。副題が「“人生案内”に見る現代社会の姿」というもので、読売新聞に大正3年から続いている「人生案内」という人生相談を回答者の一人である山田が分析している。山田は家族社会学が専門の社会学者で、…

南千住のホテル街

連休のはじめに毎年恒例の「こんこん靴市」が南千住の浅草玉姫稲荷神社で開かれている(4月28日・29日)。神社の境内で浅草にある36の靴生産業者が中心となって催すもので、約10万足の靴が並び、市価の6〜9割引きで購入できるというもの。 南千住駅から浅草…

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』を読む

ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』(岩波書店)を読む。著者は『薔薇の名前』で有名なイタリアの作家。本書は講演や雑誌などに掲載された時事評論的な論文5編を収めたもの。翻訳は1998年に出版されたが、現在品切れとなってamazonで古本に高値がついて…