2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
東京銀座のガルリSOLで松尾玲央奈展が開かれている(9月9日まで)。松尾は1984年、福岡県生まれ。2007年に女子美術大学芸術学部立体アート学科を卒業し、2012年に同大学大学院美術研究科美術専攻後期博士課程を修了している。博士論文は「抽象性と感情移入…
NHKFMを聴いていたらローラ・ライトの歌う 「The Last Rose of Summer」が紹介された。それはとてもきれいな歌声だった。 https://www.youtube.com/watch?v=UUpG_mlU1dM この「The Last Rose of Summer」は日本では「庭の千草」の名前で小学校で歌わされた記…
私の昨日の「スパイラルガーデンの菅木志雄展を見る」に、長谷見雄二さんがコメントを寄せてくれた。その内容が菅木志雄作品論としてすばらしく、コメント欄に埋もれさすのは勿体ないと思い、長谷見さんの許可を得てここに転載する。 以下、長谷見雄二さんの…
東京表参道のスパイラル1階のスパイラルガーデンで 菅木志雄展「放たれた景空」が開かれていた(8月27日まで)。菅は岩手県盛岡市出身、1968年に多摩美術大学絵画科を卒業し、「もの派」の主要メンバーとして活動した。2015年には東京都現代美術館で大規模…
篠田魔弧という画家がいた。 矢島一族 1908(明治41)年、長野県下伊那郡上郷村上黒田(現飯田市)、篠田伊義の三男として生まれる(本名篠田信義)。 戦前に2カ年ほど絵の勉強のため上京し、帰郷後は林や山中に家を建て自然児を自認し制作を続ける。 アン…
中村隆夫『象徴主義』(東信堂)を読む。美術の象徴主義について知りたくて本書を選んだ。副題が「モダニズムへの警鐘」とあるように、中村はヨーロッパ近代の象徴主義を印象主義等モダニズムへの対抗として捉える。そして象徴主義には決まった様式がないと…
東京銀座の藍画廊で大場さや展「ある日の地面-the ground of one day」が開かれている(8月29日まで)。大場は1980年宮城県生まれ、2006年に東北芸術工科大学大学院彫刻領域を修了している。2015年Hasu no hanaで初個展。 タイトルの「ある日の地面」のよう…
東京銀座のガルリSOLで奥西千早展「この曲について」が開かれている(8月29日まで)。奥西は2019年武蔵野美術大学大学院修士課程日本画専攻コースを修了している。 今回画廊の奥半分の壁に作品を展示しているが、その長い作品はすべて繋がっている。と同時…
細見綾子『細見綾子』(春陽堂俳句文庫)を読む。細見は1907年(明治40年)生まれの俳人、第13回蛇笏賞を受賞している。1997年に90歳で亡くなった。沢木欣一が創刊した「風」同人で、沢木と結婚後「風」編集発行人を務めた。ベテランの俳人だ。 代表作の一つ…
先崎学『将棋指しの腹のうち』(文藝春秋)を読む。以前、先崎の『小博打のススメ』を読んでから先崎の文章のファンになった。将棋のことはよく分からないが、先崎は名文家であり、またハチャメチャなキャラクターなのだ。 先崎学は12歳で麻雀を覚えたという…
先に読んだ下巻に続いて、『証言・昭和の俳句 上』(角川選書)を読む。黒田杏子が聞き手となって、著名な俳人たちにインタビューしてまとめたもの。取り上げられた俳人は、桂信子、鈴木六林男、草間時彦、金子兜太、成田千空、古館曹人の6人。 六林男が内輪…
高橋源一郎『誰にも相談できません』(毎日新聞出版)を読む。毎日新聞におよそ5年間にわたって掲載された「人生相談」から100本を選んだもの。主に家庭内の悩み、夫婦や親子、嫁姑、恋人、友人、悩みは様々だ。『アンナ・カレーニナ』の有名な言葉「幸福な…
冨山和彦『コロナショック・サバイバル』(文藝春秋)を読む。副題が「日本経済復興計画」というもの。佐藤優が毎日新聞に書評を書いている(6月6日付)。それを引く。 冨山氏は、新型コロナウイルスがもたらす経済危機は3段階で到来すると予測する。第一波…
東京京橋のアートスペース羅針盤で沢登丈夫個展が開かれている(8月23日まで)。沢登は会期最終日の8月23日に77歳の誕生日を迎えるという。しかし今回が初個展なのだ。 沢登は東大を卒業後、大手の化学メーカーに勤務した。実は沢登は年季の入った美術のコ…
ベランダにツタの鉢植えが5鉢ほど並んでいる。一番古いものは持ち込んで40年ほどになる。持ち込むというのは鉢上げすることだ。で、その大事なツタの葉が歯抜けのように惨めな姿になっているのに気が付いた。鉢の下に黒い細かい粒が落ちている。どうやら糞…
『証言・昭和の俳句 下』(角川選書)を読む。黒田杏子が聞き手となって、著名な俳人たちにインタビューしてまとめたもの。この下巻では7人の俳人が語っている。津田清子、古沢大穂、沢木欣一、佐藤鬼房、中村苑子、深見けん二、三橋敏雄。 話が面白かったの…
山鳥重『「気づく」とはどういうことか』(ちくま新書)を読む。山鳥は失行症・失語症・失認症・健忘症などの高次脳機能障害の専門家。臨床の現場から脳の認知について独特の研究をしている。山鳥の『言葉と脳と心』(講談社現代新書)も極めて興味深く読ん…
朝日新聞の校閲センターの佐藤司が「ことばサプリ」というコラムに「どどめ色」を取り上げていた(6月20日、朝日新聞)。校閲センターといえば言葉の専門家、半端な部署ではない。ただ、このことについては書きづらく2か月近く取り上げるのを躊躇してきた。 …
毎日新聞の書評欄に小島ゆかりが『佐藤鬼房俳句集成/第1巻 全句集』(朔出版)を紹介している(8月1日)。 やませ来るいたちのようにしなやかに なんとしなやかで、なんとしたたかな俳句かと思う。 そして他にも、 切株があり愚直の斧があり 鶺鴒(せきれい…
古い写真を整理していたら24年前の野見山暁治さんを撮った写真がでてきた。1996年11月10日、練馬区立美術館で野見山暁治展が開かれたとき、会場で野見山さんが自分の絵について語るという日があった。その時撮ったもの。野見山人気は大変なもので会場が観客…
東京墨田区京島のギャラリーTOWEDで「整頓された混乱」が開かれている(8月29日まで)。高橋直宏と野原万里絵の二人展だ。 高橋は1991年北海道生まれ、2020年金沢美術工芸大学大学院博士後期課程美術工芸研究科彫刻分野 博士(芸術)学位を取得している。2017…
山本弘「幼」、油彩、F12号(60.6cm×50.0cm) 1978年制作、48歳のときのほとんど最晩年の作品。最後に到達した境地と言えるだろう。 実はキャンバスが貼られている木枠が割れていてキャンバスが歪んでいた。そのためまだ一度もじっくり見たことがなかったし…
京橋の国立映画アーカイブで篠田正浩監督『乾いた花』を見る。主演が池辺良、相手役が加賀まりこ、原作が石原慎太郎。見終わって原作を50年ぶりに読む。 映画は面白かった。さすがは篠田正浩監督だ。インテリヤクザの話、映画も原作もインテリヤクザとは言っ…
古い写真を整理していたら20年ほど前の画家たちの写真が出てきた。あの頃はコニカビッグミニというコンパクトカメラを持ち歩いていて気になったものを撮影していた。もちろんフィルムカメラの時代だ。 それをここに紹介して記録とする。 2000年8月の石川雷太…
教えてくれた人がいて、福島次郎『三島由紀夫―剣と寒紅』(文藝春秋)を読む。著者は大学生のとき三島の『仮面の告白』を読み、自分と同じ趣味(男色)の人がいると、三島に興味を持ち、『禁色』を読んでその中に出てくる男色家たちが集まる店の場所を聞くた…
レオン・フライシャーが亡くなったと朝日新聞に報じられていた(8月4日)。 フライシャーはアメリカのピアニスト、8月2日、92歳で亡くなった。 記事に「30代で筋肉が収縮する難病となり、長年にわたって左手で演奏を続け、指揮、教育に活動の場を広げた」と…
東京有楽町の駅前に新しくギャラリーCADAN YURAKUCHOが移転オープンしたというので訪ねてみた。CADANはContemporary Art Dealers Association Nippon(日本現代美術商協会)の略称で、現代美術の画廊42社と法人特別会員、個人賛助会員から構成されている。代…
東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で亀元円展「Hidden Place」が開かれている(8月8日まで)。亀元は1992年東京都生まれ、2016年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 卒業、2018年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コースを修了している。 2019…
西研『ヘーゲル・大人のなりかた』(NHKブックス)を読む。第1刷が1995年、もう25年前になる。翌年購入して今まで読まないで積んでいた。自分がヘーゲルを読んで来なかったことに気が付いた。岩波文庫の『小論理学』を読んだだけだったと思う。それは40年以…
山田洋次『映画をつくる』(国民文庫)を読む。第1刷が1978年だから42年前の出版。この時山田洋次47歳、『男はつらいよ』も17作まで撮ったところだ。もう松竹のドル箱監督になっていた。松竹では大島渚と同期、ほかに篠田正浩、吉田喜重などがいた。 最初に…