東京銀座のガルリSOLで奥西千早展「この曲について」が開かれている(8月29日まで)。奥西は2019年武蔵野美術大学大学院修士課程日本画専攻コースを修了している。
今回画廊の奥半分の壁に作品を展示しているが、その長い作品はすべて繋がっている。と同時に個々のピースに分かれてもいて、小さなピースごとに値段を付けて販売している。日本画の伝統の絵巻物の形式を再現しつつ、それらがすべて小品から成っているという新しい作品形態を展開している。そう言葉にするとさほど新しい試みではないという意見も聞かれそうだが、絵巻物を換骨奪胎した作品だと捉えれば、そしてそのことに自覚的に制作したものだという観点から、やはり日本画の新しい試みだと言い切っていいのではないか。
個々の作品のつなぎは絵柄でもあるが、また楽譜が描き込まれていて、それによっても繋がっている。
画廊の壁に奥西の言葉が貼ってあった。
たとえば30秒間の静けさと同じ形の空白を、紙の上に再現することができるだろうか。
えがかれた世界はいつも四角い。紙と絵具を用意したら、記憶は絵画の形に変換されてゆく。
フレームの外にある形を想像するためのフレームを用意しなくてはならない。音のない時間を豊かにするための音楽があっても良いだろう。余白を鮮やかに飾るための、頑丈な額縁をつくらなくてはならない。あらゆる形は、形にならないもののためにあるべきである。有るものの輪郭はそのまま、無いものの形を作っている。
作品をアップしたカットも撮ったのだが、残念ながらピンボケになってしまった。
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奥西千早展「この曲について」
2020年8月24日(月)―8月29日(土)
11:00-19:00(最終日17:00まで)
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ガルリSOL
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル6F
電話03-6228-6050
http://www005.upp.so-net.ne.jp/SOL/