2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ポーラ ミュージアム アネックスの板谷龍一郎展を見る

東京銀座のポーラ ミュージアム アネックスで板谷龍一郎展「Everyday Life THERE」が開かれている(9月23日まで)。板谷は1974年大阪生まれ、大阪からトロント、東京、ロンドンの生活を経て、現在はベルリン在住。住んでいる街や旅先の風景、部屋にあるモノ…

小森収インタビュー集『はじめて話すけど……』を読む

小森収インタビュー集『はじめて話すけど……』(草原推理文庫)を読む。小森収が8人の作家や編集者たちにインタビューしたもの。明確なテーマを決めて、そのテーマに絞ってインタビューしている。各務三郎は早川書房の『ミステリマガジン』の編集長だった。…

川村記念美術館休館か

DICは27日、保有・運営するDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)の運営を見直すと発表した。東京に移転するか運営を中止するかを検討する。年内に結論を出し、2025年1月下旬に休館する。資産効率の観点から運営方法の見直しが必要だと判断した。(日本経済新聞…

末木文美士『日本思想史』を読む

末木文美士『日本思想史』(岩波新書)を読む。カバー袖の惹句に、 古代から今にいたるまで、日本人はそれぞれの課題に取り組み、生き方を模索してきた。その軌跡と膨大な集積が日本の思想史をかたちづくっているのだ。〈王権〉と〈神仏〉を二極とする構造と…

ギャルリー東京ユマニテbisのコノハ展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisでコノハ展「何が言いたい?」が開かれている(8月31日まで)。コノハは2002年茨城県生まれ、現在美大に在学中で今回が初個展となる。 「沈まぬ舟」 初個展だというが面白かった。シュールレアリスム的な作品だが、むし…

アートトレースギャラリーの戸田尚克展を見る

東京両国のアートトレースギャラリーで戸田尚克展「ささらぐ」が開かれていた(8月26日まで)。戸田尚克は1995年東京生まれ、2022年東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。その後ドイツへ留学した模様。2018年熱海市のギャラリーで発表し、…

カフカ著、頭木弘樹 編『決定版 カフカ短編集』を読む

カフカ著、頭木弘樹 編『決定版 カフカ短編集』(新潮文庫)を読む。なぜ今カフカ短編集かと思ったら、編者の頭木は20歳で難病になったと後書きで書く。13年間の闘病生活で、『決定版カフカ全集』(新潮社、全12巻)をかたわらに置いて、全巻をそれぞれ100回…

ガルリSOLの「ステキナ彫刻たち展」を見る

東京新富のガルリSOLで「ステキナ彫刻たち展」が開かれている(8月31日まで)。彫刻家の4人展で、参加しているのは石彫の長内夏希、金属の福田直樹と翁長瞳、それにミクストメディアの小俣英彦。 長内夏希の石の作品は4つで1作品とのこと。4人のうち、…

トキ・アートスペースの瀬戸理恵子作品展を見る

東京神宮前のトキ・アートスペースで瀬戸理恵子作品展「断面から見えてくるもの」が開かれている(9月1日まで)。瀬戸は広島市生まれ、武蔵野美術大学油絵学科を卒業し、その後広島大学大学院美術教育専攻を修了している。1995年渡米、1997年ペンシルヴァ…

ギャラリーSAOH & TOMOSの大矢雅章展を見る

東京神宮前のギャラリーSAOH & TOMOSで大矢雅章展「constellation」が開かれている(8月31日まで)。大矢は1972年神奈川県生まれ、1998年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。深沢幸雄・森野眞弓・渡辺達正氏より銅版画を学ぶと略歴にあ…

ギャラリーQの安藤開展を見る

東京銀座のギャラリーQで安藤開展が開かれている(8月24日まで)。安藤開は1988年神奈川県生まれ、2013年に多摩美術大学美術学部工芸科を卒業し、2015年同大学大学院美術研究科博士前期課程工芸選考を終了した。2014年にギャラリーQで初個展、以来ギャラリ…

アートスペース羅針盤の鈴木律子展を見る

東京京橋のアートスペース羅針盤で鈴木律子展が開かれている(8月24日まで)。鈴木律子は1971年三重県生まれ、主に名古屋、三重の画廊で発表している。 鈴木の言葉、 大地のエネルギーや楠から伝わる生命の大切さを3次元の世界で表現しようと模索しています…

国立新美術館の田名網敬一展を見る

東京六本木の国立新美術館で田名網敬一展「記憶の冒険」が開かれている(11月11日まで)。田名網は1936年東京生まれ、武蔵野美術大学を卒業している。世界各地で個展を開いているというが、私は10年以上前ギンザグラフィックギャラリーで個展を見たのを憶え…

須藤靖『AIなき世界に戻れるか?』を読む

須藤靖『AIなき世界に戻れるか?』(インターナショナル新書)を読む。副題が「物理学者、17の思考実験」というもの。東大教授だった宇宙物理学者の須藤靖が、東京大学出版会のPR誌『UP』に連載したエッセイと他の雑誌に掲載した合計17編をまとめたもの。 「…

熊野純彦の外国語学習

熊野純彦は私が贔屓にしている哲学者だ。廣松渉の弟子であり、多くのすぐれた著書がある。哲学書の翻訳も多い。その熊野純彦が「語学との付き合い、思い出すまま」というエッセイを書いている(『図書』2024年6月号)。 熊野は英語のほか東大で第2外国語と…

マツバランとの闘い

園芸店で売られていたマツバラン ネットのニュースが稀少植物のマツバランが住宅街の溝に生えていると報じていた。マツバランは去年江東区の園芸店に鉢植えが売られていたのを見たことがあった。 もう30年近く前になるが、上野のグリーンクラブで野茨の鉢植…

ハルノ宵子『それでも猫は出かけていく』を読む

ハルノ宵子『それでも猫は出かけていく』(幻冬舎文庫)を読む。ハルノ宵子は吉本隆明の娘で作家の吉本ばななの姉、漫画家。ハルノは両親と3人で住む一軒家で多くの猫と暮らしていた。しかし、「家猫」は数匹で、多くは餌をもらいに家の中まで入ってきたり…

文藝春秋 編『想い出の作家たち』を読む

文藝春秋 編『想い出の作家たち』(文春文庫)を読む。故人となった作家たちの家族から、作家の想い出を語ってもらうというインタビューシリーズ。1990年~1993年の『オール讀物』に連載された。インタビューアーは岡崎満義。家族だけが知っている作家の内輪…

古松崇志『草原の制覇』を読む

古松崇志『草原の制覇』(岩波新書)を読む。副題が「大モンゴルまで」で、「シリーズ 中国の歴史」の第3巻。この巻は「外から絶えず影響を及ぼし、ついに中国と一体となる草原世界を論じる」とあり、2世紀から13世紀の中国の中原と草原の歴史を描いている…

東京都現代美術館の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」を見る(その3)

東京都現代美術館で「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」が開かれている(11月10日まで)。高橋龍太郎は精神科医で戦後日本の現代美術を3500点も収集している。美術館のHPから、 日本の現代美術を中心とするコレクションとしては世界最大級の高橋龍…

東京都現代美術館の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」を見る(その2)

東京都現代美術館で「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」が開かれている(11月10日まで)。高橋龍太郎は精神科医で戦後日本の現代美術を3500点も収集している。美術館のHPから、 日本の現代美術を中心とするコレクションとしては世界最大級の高橋龍…

東京都現代美術館の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」を見る(その1)

東京都現代美術館で「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」が開かれている(11月10日まで)。高橋龍太郎は精神科医で戦後日本の現代美術を3500点も収集している。美術館のHPから、 日本の現代美術を中心とするコレクションとしては世界最大級の高橋龍…

李禹煥2題

つげ義春に『李さん一家』というマンガがある。「僕」の2階に李さんという朝鮮人一家が住みついている。奥さんと子どもが2人、李さんは定職がなく相当な怠け者なので生活は苦しい。奥さんは僕が作ったキューリを時たま失敬していく。庭に作ったドラム缶の風…

ギャラリーアビアントの「ひとまず移転オープン展」を見る

東京吾妻橋のギャラリーアビアントで「ひとまず移転オープン展」が開かれている(8月9日まで)。ギャラリーアビアントは長くアサヒビール本社近くのビルで営業してきたが、ビルの都合で閉廊し、この度新しいスペースで開業した。その移転オープン展が開か…

麻布台ヒルズギャラリーのカルダー展を見る

東京虎ノ門の麻布台ヒルズギャラリーでアレクサンダー・カルダー展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」が開かれている(9月6日まで)。カルダーについて、ギャラリーのHPから引用する。 カルダー(1898年ペンシルベニア州ローントン生、1976年ニューヨーク…

ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』を読む

ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』(講談社文庫)を読む。知らない作家だった。1936年にアメリカのアラスカで生まれ、鉱山技師の父親に従ってアメリカの鉱山街を転々とした。戦争中はテキサスの母の実家に住んだが、祖父は酒浸りの歯科医だった。…

日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリーの森下進士展を見る

東京日本橋室町の日本橋三越本店本館6階コンテンポラリーギャラリーで森下進士展「分断カラフル」が開かれている(8月5日まで)。森下進士は1983年生まれ、2010年東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業し、2012年同大学大学院美術研究科研究領域油画を修了し…