東京虎ノ門の麻布台ヒルズギャラリーでアレクサンダー・カルダー展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」が開かれている(9月6日まで)。カルダーについて、ギャラリーのHPから引用する。
カルダー(1898年ペンシルベニア州ローントン生、1976年ニューヨーク市没)は、20世紀を代表する芸術家です。古典的な芸術家の一家に生まれた彼は、針金を曲げたりねじったりすることで、立体的な人物を空間に「描く」という新しい彫刻の手法をあみだし、芸術活動をスタートさせました。吊るされた抽象的な構成要素が、絶えず変化する調和の中でバランスを保ちながら動く「モビール」の発明で最もよく知られています。
カルダーはモビールの発明者だ。今までカルダーのモビールはあちこちで見てきたが、こんな風にまとめてみるのは初めてだった。初期の絵画作品も展示されているが主たる展示はモビールと鉄板を組合わせた彫刻作品。
カルダーの発明したモビールはその後多くの作家がその原理を取り入れて制作している。紐で吊ってバランスを取るという原理なので誰でも再現しやすく、しかもバランスを取らねばならないから突拍子もない造形はしづらい。そんなことからモビールはみな似てしまう。見て回りながら既視感が拭いきれなかった。
床に置かれた鉄板を組合わせた造形はどこか動物を連想させる。それはモビールにも感じられた。絵画についてはミロなどの影響が強く認められ、独自性にはほど遠い印象だった。
麻布台ヒルズギャラリーという外国人と富裕層が多い場所だからこれで良いのかもしれないが、私にはカルダーの退屈さがよく分かった展覧会だった。入り口の注意事項に、作品に息を吹きかけないこととあるのがカルダーっぽかった。図録はやはりかなり高額だった。
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アレクサンダー・カルダー展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」
2024年5月30日(木)―9月9日(金)
10:00-18:00(金・土・祝日前日~19:00まで)
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麻布台ヒルズギャラリー
東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズガーデンプラザA MB階
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/calder-ex/