2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

コバヤシ画廊の西成田洋子展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2022」が開かれている(11月5日まで)。西成田は茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形してい…

並木浩一・奥泉光『旧約聖書がわかる本』を読む

並木浩一・奥泉光『旧約聖書がわかる本』(河出新書)を読む。旧約聖書学者の並木とその教え子で作家の奥泉との対談集。奥泉は大学で旧約聖書をテキストに学生たちに教えてもいる。 「対談形式による旧約聖書の概説書」とまえがきで奥泉が書いているとおり、…

夢枕獏『仰天・俳句噺』を読む

夢枕獏『仰天・俳句噺』(文藝春秋)を読む。俳句にまつわるエッセイ。以前夢枕の『仰天・プロレス和歌集』(集英社文庫)を読み、それが面白かったので期待して読んだ。夢枕は最盛期には月に原稿用紙1000枚も書いたという。なるほど、それほど量産できる理…

ギャラリー絵夢の間島秀徳展を見る

東京新宿のギャラリー絵夢で間島秀徳展「龍が、見える。」が開かれている(10月30日まで)。間島は1960年茨城県生まれ、1984年東京藝術大学美術学部日本画専攻を卒業、1986年同大学大学院美術研究科修士課程を修了している。1988年より各地のギャラリーで個…

ギャラリイKの内海信彦展を見る

東京京橋のギャラリイKで内海信彦展「ウクライナの犠牲者のためのレクイエムとウクライナの友への連帯のための New Innerscape Series 2022」が開かれている(11月5日まで)。内海は1953年生まれ、東京都出身。1974年慶應義塾大学法学部政治学科中退。1975…

ガルリSOLのグループ展「選択の行方」の尹苑が面白い

東京銀座のガルリSOLでグループ展「選択の行方」が開かれている(10月29日まで)。東京藝術大学と金沢美術工芸大学の修士課程に在籍する彫刻専攻の院生たち2名ずつが参加する彫刻展だ。 私には尹苑が面白かった。尹は1993年中国上海市生まれ、アメリカでデザ…

コバヤシ画廊の浅葉雅子展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で浅葉雅子展が開かれている(10月29日まで)。浅葉は1982年、女子美術大学日本画専攻を卒業。2003年にKONSTFACK(スウェーデン国立デザイン工芸芸術大芸術専攻)で学んでいる。1996年に銀座スルガ台画廊で初個展、2011年からはコバヤシ…

藍画廊の若宮綾子展が素晴らしい

東京銀座の藍画廊で若宮綾子展「居間にて」が開かれている(10月29日まで)。若宮は神奈川県横浜生まれ、1989年女子美術大学芸術学部洋画科油絵専攻卒業、1990年同大学芸術学部研究課程を修了している。1993年に藍画廊で初個展、以来毎年のように藍画廊で、…

御徒町の黒焼屋

東京御徒町にイモリなどの黒焼の店がある。以前から黒焼というのはどんな効用があるのか不思議に思っていた。それが最近読んだ鶴見俊輔『日本の地下水』(編集グループSURE)に載っていた。鶴見が『江戸っ子百話』というガリ版雑誌を紹介している。 ……ふだん…

青柳いづみこ『ショパン・コンクール見聞録』を読む

青柳いづみこ『ショパン・コンクール見聞録』(集英社新書)を読む。2021年に行われた第18回ショパン国際ピアノコンクール、そのコンクールを現場で見て聴いた青柳いづみこの臨場感あふれる報告書。青柳は現役のプロピアニストで演奏会を繰り返していて、し…

アートギャラリー絵の具箱の北崎洋子展を見る

アートギャラリー絵の具箱で北崎洋子展「風のように」が開かれている(10月23日まで)。北崎は1960年女子美術短期大学美術科卒業、個展は、ぎゃるり しらの、ギャラリー汲美、ギャラリー砂翁、中和ギャラリー、K'sギャラリー、ギャラリーテムズなどで行って…

閉店したカフェへのメッセージ

東京神楽坂の少し本通を外れたところに繁茂した植物に覆われた廃屋のような建物があった。近づいて見ると植物はキヅタで、入り口の木のドアが閉まっていてそのドアいっぱいに落書きのような文字が書き込まれていた。それを拾ってみた。どうやらここは「ムギ…

BLUM & POEの岡崎乾二郎展を見る

東京原宿駅前のBLUM & POEで岡崎乾二郎展「TOPICA PICTUS Revisited: Forty Red, White, And Blue Shoestrings And A Thousand Telephones」が開かれている(11月6日まで)。岡崎は1955年東京生まれ。2019年から2020年にかけて豊田市美術館で大規模な回顧展…

ヒノギャラリーの多和圭三新作展を見る

東京八丁堀のヒノギャラリーで多和圭三新作展が開かれている(11月12日まで)。多和は1952年愛媛県生まれ、1978年日本大学芸術学部美術学科彫刻専攻卒業、1980年日本大学芸術学部芸術研究所修了、2009年多摩美術大学彫刻科教授就任、そして2020年3月で多摩美…

ギャラリーなつかの内平俊浩展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで内平俊浩展が開かれている(10月22日まで)。内平は1960年石川県生まれ、1982年に名古屋芸術大学美術学部彫刻科を卒業している。1986年KOBATAKE彫刻工房基礎科を修了。1987年画廊春秋で初個展、以来ギャラリーなつか等で個展を…

森浩一『敗者の古代史』を読む

森浩一『敗者の古代史』(角川新書)を読む。袖の惹句から、 歴史は勝者によって書かれている。朝廷に「反逆者」とされた者たちの足跡を辿り、『古事記』や『日本書記』の記述を再検証。筑紫君石井、両面宿儺、蘇我入鹿……地域の埋もれた伝承を掘り起こすと見…

牧野雅彦『ハンナ・アレント』を読む

牧野雅彦『ハンナ・アレント』(講談社現代新書)を読む。本書は「現代新書100(ハンドレッド)」という新しいシリーズで、帯には次のように書かれている。 ①それは、どんな思想なのか(概論) ②なぜ、その思想が生まれたのか(時代背景) ③なぜ、その思想が…

銀座蔦屋書店の桜井孝身・櫻井共和展を見る

東京銀座のギンザシックスにある銀座蔦屋書店ギンザ アトリウムで桜井孝身・櫻井共和展「九州派をつくったもの、九州派からうまれたもの」が開かれている(10月19日まで)。桜井孝身は菊畑茂久馬とともに九州派を代表する画家。櫻井共和はその息子にあたる。…

ガルリアッシュの亀元円展を見る

東京日本橋小舟町のガルリアッシュで亀元円展が開かれている(10月22日まで)。亀元は1992年東京都生まれ、2016年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 卒業、2018年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コースを修了している。2019年に初個展、ガルリアッ…

ギャルリ・シェーヌの笠谷耕二展を見る

東京銀座のギャルリ・シェーヌで笠谷耕二展が開かれている(10月15日まで)。笠谷は1964年東京都生まれ、2006年~2007年にフィレンツェに留学し、イタリア工芸技術を学ぶ。2010年にExhibit live & Morisギャラリーで、その後ガレリア・グラフィカbisで7回個…

ギャラリー暁の南島隆展を見る

東京銀座のギャラリー暁で南島隆展「悠久のジョージア」が開かれている(10月15日まで)。南島は1957年長野県飯田市生まれ、1983年武蔵野美術大学大学院彫刻科を修了している。私とは同郷で高校の後輩にあたる。 2005年に愛知万博で「グルジア賞」を受賞して…

ギャラリーQの井上修策展を見る

東京銀座のギャラリーQで井上修策展が開かれている(10月15日まで)。井上は1984年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業している。長年ギャラリー現で個展を開いていたが、最近はギャラリーQで開催している。 今回は先週と今週の2週続けていて、先週は「…

SCAIザ・バスハウスの李禹煥展を見る

東京上野桜木のSCAIザ・バスハウスで李禹煥展「物質の肌合い」が開かれている(10月15日まで)。ギャラリーのホームページから、 李禹煥(1936年生まれ)は、1956年に来日。60年代後半より本格的に制作を開始し、戦後の日本美術史における重要な動向「もの派…

ギャラリーアビアントの及川伸一展を見る

DM葉書 東京吾妻橋のギャラリーアビアントで及川伸一展が開かれている(10月16日まで)。及川は1949年東京生まれ。1980年から1992年まで独立美術に出品していたが、1992年からは個展を主な発表の場所としている。これまでギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、…

トルーマン・カポーティ『ここから世界が始まる』を読む

トルーマン・カポーティ『ここから世界が始まる』(新潮文庫)を読む。カポーティの10代の頃書かれた初期短篇集。巻末に村上春樹が「解説 天才作家の天才的習作」を書いている。天才の言葉が2度も使われているが、キモは「習作」だ。やはりカポーティと言え…

三木那由他『会話を哲学する』を読む

三木那由他『会話を哲学する』(光文社新書)を読む。副題が「コミュニケーションとマニピュレーション」。このコミュニケーションとマニピュレーションについて、 ……話し手が発言をおこない、それによって聞き手とのあいだで共有の約束事が形成されるとき、…

ガーディアン・ガーデンの佐川梢恵・森野麻琴展を見る

東京銀座のガーディアン・ガーデンで佐川梢恵・森野麻琴展「明日天国を離れる」が開かれている(10月22日まで)。二人展のように見えるが、実は森野麻琴は佐川梢恵が創造した架空のキャラクター。佐川は1997年生まれ、女子美術大学デザイン・工芸学科ヴィジ…

Stepsギャラリーの小林誠展を見る

東京銀座のStepsギャラリーで小林誠展「the way the fish go」が開かれている(10月8日まで)。小林は1952年長野県生まれ。1987年に銀座煉瓦画廊、その後ギャラリーセンターポイント、ギャラリー21+葉、ギャラリー現などで個展を開いてきた。 上の作品の部…

ギャラリーなつかの「たまびやき」を見る

東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」展が開かれている(10月8日まで)。たまびやきとは、多摩美術大学大学院/工芸専攻 陶/選抜作品展のこと。先週が学部生で今週が院生になる。 安部正兼、大きく不気味な魚を作っている。80キロもあるという。こ…

白井聡『長期腐敗体制』を読む

白井聡『長期腐敗体制』(角川新書)を読む。これが実に面白かった。袖の惹句から、 なぜ、この国ではいつも頭(トップ)から腐っていくのか? そして、不正で、無能で、腐敗した政権が続いてしまっているのか? 実は、第二次安倍政権以降の状況は「体制」と…