並木浩一・奥泉光『旧約聖書がわかる本』を読む

 並木浩一・奥泉光旧約聖書がわかる本』(河出新書)を読む。旧約聖書学者の並木とその教え子で作家の奥泉との対談集。奥泉は大学で旧約聖書をテキストに学生たちに教えてもいる。

 「対談形式による旧約聖書の概説書」とまえがきで奥泉が書いているとおり、『旧約聖書』の本文を直接引用して、それを論じている。私は『新約聖書』は一応読んだが、『旧約聖書』はやっと「創世紀」を読んだきりだったので、とても勉強になった。あとはわが師山本弘が「伝道者の書」の冒頭を好んで引用していたのを聞いていただけだ。

 本書は4つの章に分かれているが、とくに「ヨブ記」については、並木自身の訳文をあげ、全体の4分の1を当てて詳しく解説している。

 『旧約聖書』は2000年にわたって語り継がれてきたので、様々な人の手が入っている。並木はそれらを手寧に解説してくれる。

 山本弘が好んで引用した「伝道者の書」の冒頭を引く。

 

エルサレムでの王、ダビデの子、伝道者のことば。

空の空。伝道者は言う。

空の空。すべては空。

日の下で、どんなに労苦しても、

それが人に何の益になろう。