東京銀座のギンザシックスにある銀座蔦屋書店ギンザ アトリウムで桜井孝身・櫻井共和展「九州派をつくったもの、九州派からうまれたもの」が開かれている(10月19日まで)。桜井孝身は菊畑茂久馬とともに九州派を代表する画家。櫻井共和はその息子にあたる。
櫻井共和は中学を卒業して半年後、父親に連れられてアメリカへ渡り、サンフランシスコで学んだ。しかし1年半後に日本へ戻った。
福岡へ戻ってまた絵を描き始めた。19歳で初めて個展を開くと西日本新聞とフクニチ新聞が取材にきて記事を載せてくれた。実績がないのに、おそらく櫻井孝身の息子だからだろう。
24歳のときフランスから一時戻っていた父から誘われて、絵を学ぶために一緒にフランスへ渡った。フランスで田淵安一と知り合った。田淵は父親の知り合いだった。
26歳で帰国し、福岡で画家生活に入った。その後上京し、みゆき画廊で何度も個展を開いた。そのみゆき画廊でおもしろい話を聞いた。
櫻井は田淵安一を高く評価し、フランスで評価される日本の画家は田淵と自分で、田淵の友人でもある野見山暁治はフランスでは評価されないと断言する。もう閉廊したが、みゆき画廊は野見山暁治のホームギャラリーみたいなところだった。そこで野見山を批判するというのが面白かった。
桜井孝身については、盛名ほどには面白くなかった。九州派といえば、菊畑茂久馬の東京都現代美術館収蔵の「奴隷系図」が圧倒的に印象に残る。それに比べて桜井孝身はイマイチの印象だった。
櫻井の言う、田淵安一がフランスで評価されるというのはその通りだろう。田淵はフランスの文化勲章を受章している。野見山がフランスでは評価されないというのは分からない。だが、桜井親子がフランスで評価されるとも思えない。
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桜井孝身・櫻井共和展「九州派をつくったもの、九州派からうまれたもの」
2022年10月8日(土)―10月19日(水)
11:00-20:00(最終日は18:00まで)
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銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM
東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6階
電話03-3575-7755