2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

巷房地下の作間敏宏展「治癒」を見る

東京銀座のギャラリー巷房2と同ギャラリー階段下で作間敏宏展「治癒」が開かれている(5月31日、今日まで)。どちらも銀座奥野ビルの地下1階にあるスペースだ。正に地下室といった空間で、とくに階段下というのは文字通り階段の下の物置だった場所をギャ…

京橋の加島美術で堀江栞展「生・静」を見る

東京京橋の加島美術で堀江栞展「生・静」が開かれている(6月4日まで)。堀江は1992年生まれ、2014年多摩美術大学美術学部日本画専攻を卒業している。今回が初個展となる。 久しぶりに優れた若い画家の個展を見た。堀江は年老いたキリンや老婆のヌード、オ…

武蔵野市立吉祥寺美術館の「われわれは〈リアル〉である」を見る

武蔵野市立吉祥寺美術館で「われわれは〈リアル〉である」という展示が開かれている(6月29日まで)。副題が「1920s−1950s プロレタリア美術運動からルポルタージュ絵画運動まで:記録された民衆と労働」というもの。 パンフレットの「開催にあたって」から…

銀座ニコンサロンの石川文洋写真展を見る

東京銀座ニコンサロンで石川文洋写真展「戦争と平和・ベトナムの50年」が開かれている(6月3日まで)。ギャラリーのホームページから、「写真展内容」の紹介。 1964年8月、ベトナム沖で米駆逐艦が北ベトナム魚雷艇の攻撃を受けたとされる「トンキン湾事件…

神奈川県立近代美術館 葉山で宮崎進展「立ちのぼる生命」を見る

神奈川県立近代美術館 葉山で宮崎進展「立ちのぼる生命(いのち)」が開かれている(6月29日まで)。宮崎は1922年、山口県生まれ。20歳で日本美術学校を繰上卒業し出兵、敗戦後1949年までシベリアに抑留された。1967年には安井賞を受賞している。 宮崎の主…

砧公園のバラ

今月17日に世田谷美術館の桑原甲子雄写真展を見に行った時、美術館のある砧公園の一角に作られているバラ園のバラがきれいに咲いていた。普段は柵で閉ざされているバラ園をその日の午後1時から2時間ばかり開放するというので待っていて園内に入れてもらっ…

武田泰淳『政治家の文章』を読む

武田泰淳『政治家の文章』(岩波新書)を読む。1960年初版発行、雑誌『世界』に連載したもの。取り上げられた政治家は、宇垣一成、浜口雄幸、芦田均、荒木貞夫、近衛文麿、重光葵、鳩山一郎、徳田球一など。彼らの文章の一部を引いて論評を加えている。 武田…

カード『無伴奏ソナタ』を読む

SF

オースン・スコット・カード/金子浩・金子司・山田和子『無伴奏ソナタ 新訳版』(ハヤカワ文庫SF)を読む。1981年にアメリカで発行された新しいSFの短篇集。成井豊が解説で絶賛している。 (……)1985年。大学を卒業して、高校教師になって2年目、僕はハヤ…

20世紀最後の巨匠 バルテュス展を見る

東京都美術館で「称賛と誤解だらけの、20世紀最後の巨匠」と銘打たれたバルテュス展を見る(6月22日まで)。展覧会のちらしの「バルテュスとは何ものか?」から引用する。 ピカソをして「20世紀の最後の巨匠」と言わしめた画家バルテュス(本名バルタザール…

世田谷美術館の「桑原甲子雄の写真」展が良かった

世田谷美術館で「桑原甲子雄展の写真」展が開かれている(6月8日まで)。これがとても良かった。桑原は1913年に東京下町に生まれ、2007年に亡くなった。展覧会のちらしから、 戦前期、生まれ育った東京の下町をアマチュア写真家として撮り歩いた桑原甲子雄…

ギャラリー・ビー・トウキョウの岸野ひと美展「−うつろい−」が興味深い

東京京橋のギャラリー・ビー・トウキョウで岸野ひと美展「−うつろい−」が開かれている(5月24日まで)。岸野ひと美は山梨県出身、2011年に東京造形大学美術学科彫刻専攻領域を卒業し、2014年に同大学大学院造形専攻美術研究領域を修了している。今回が初個…

ギャラリーMoMo Ryogokuの篠原愛展「chimera」をお勧めします

東京都墨田区両国のギャラリーMoMo Ryogokuで篠原愛展「chimera」が開かれている(5月31日まで)。篠原は1984年鹿児島県生まれ、2007年に多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業している。卒業した年銀座のギャラリーQでの個展で注目された。ついで2011年にギ…

ガーディアン・ガーデンの阪本勇写真展「天竺はどこや!!」がおもしろい

東京銀座のガーディアン・ガーデンで開かれている阪本勇写真展「天竺はどこや!!」がおもしろい(5月29日まで)。おもしろいと書いたものの、おもしろかったのは絵画の方だった。 阪本は1979年、大阪生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。写真家本多元氏に…

讃岐典侍日記が伝える死の瞬間

ドナルド・キーンの『百代の過客』(朝日選書)を読んでいる。副題が「日記にみる日本人」というもので、上下2巻で平安時代の僧円仁の書いた『入唐求法巡礼行記』から徳川時代の川路聖謨の『下田日記』まで80冊近い日記を取り上げ、それぞれ数〜十数ページ…

ギャラリー由芽の山崎康譽展「-Marks-」を見る

東京三鷹のぎゃらりー由芽で山崎康譽展「-Marks-」が開かれている(5月25日まで)。山崎は1952年東京生まれ、1978年に東京学芸大学大学院を修了している。その後バングラデシュ国立芸術大学へ留学してリトグラフを学んだ。1979年にバングラデシュのダッカで…

三浦雅士『漱石』に圧倒される

三浦雅士『漱石』(岩波新書)を読み、その卓抜な漱石論に圧倒される。副題が「母に愛されなかった子」といい、漱石をそのような人間だったと洞察して、その前提から漱石の全作品を読み解いている。その圧倒的な分析にただ驚嘆するしかない。三浦は腑分けを…

G. グリーン『情事の終り』を読む

グレアム・グリーン『情事の終り』(新潮文庫)を読む。上岡伸雄による新訳だ。本書は始め田中西二郎の訳によって『愛の終り』のタイトルで発行された。私も高校生の頃この訳者で読み、新潮文庫も買っている。その後エドワード・ドミトリク監督によって映画…

成尋阿闍梨母の息子への執着

ドナルド・キーンの『百代の過客』(朝日選書)を読んでいる。副題が「日記にみる日本人」というもので、上下2巻で平安時代の僧円仁の書いた『入唐求法巡礼行記』から徳川時代の川路聖謨の『下田日記』まで80冊近い日記を取り上げ、それぞれ数ページをあて…

ちょっと気になる言葉の使い方

たまたま目にしたSNSの掲示板に、ちょっと気になる言葉の使い方があった。 飼っている猫が太りすぎて、獣医からドクターストップがかかってしまったという。それで買いだめしておいたキャットフードが使えなくなった。「少し割高な未開封×××2kg2袋、○○7袋…

フィリップ・K・ディック『時は乱れて』を読む

SF

フィリップ・K・ディック『時は乱れて』(ハヤカワ文庫SF)を読む。本書は30年以上前にサンリオSF文庫として刊行されて、その後サンリオが同文庫を廃刊にして本書も絶版となっていた。これは同じ訳者による改訳決定版とのこと。 ディックは本書を2週間で書…

『ハンナ・アーレント』を読む

矢野久美子『ハンナ・アーレント』(中公新書)を読む。宇野重規が読売新聞の書評欄で紹介していた(5月4日)。 ハンナ・アーレントというと、全体主義やら革命を論じた、ちょっと怖そうな政治哲学者というイメージがあるかもしれない。ところが、日本でも…

『旧約聖書の謎』を読む

長谷川修一『旧約聖書の謎』(中公新書)を読む。旧約聖書の書かれた物語の史実を検証している。どこまでが事実に即しているのか。 取り上げられた物語は、「ノアの方舟と洪水伝説」「出エジプト」「エリコの征服」「ダビデとゴリアテの一騎打ち」「シシャク…

櫻木画廊の「はじめに四角ありき」を見る

東京上野桜木にある櫻木画廊で「はじめに四角ありき」という展覧会が開かれている(5月18日まで)。出品作家は、藤澤江里子、樋口朋之、沓澤貴子の3人で、いずれも抽象絵画を制作している中堅作家たちだ。 藤澤は1960年、東京都生まれ、武蔵野美術大学造形…

『「農民画家」ミレーの真実』を読む

井出洋一郎『「農民画家」ミレーの真実』(NHK出版新書)を読む。美術に関して印象派以前に興味を持っていなかった。バルビゾン派のミレーについては、「種まく人」とか「晩鐘」とかあまりに有名で、図版などでは見ていても実物を見たことがなかった。ミレー…

『昭和史裁判』をおもしろく読んだ

半藤一利・加藤陽子『昭和史裁判』(文春文庫)をおもしろく読んだ。半藤一利は『文藝春秋』元編集長、文藝春秋社専務取締役を歴任し、『日本の一番長い夏』や『ノモンハンの夏』『昭和史』などの著者で、歴史探偵を自称している。加藤陽子は日本近代史学者…

旧中川へカワセミを見に行く、春の花々

1カ月ぶりに旧中川へカワセミを見に行く。4月初め朝日新聞にカワセミが営巣している記事が載って見に行って以来だ。対岸で写真を撮っている人たちの話では、しばらく前に卵から孵って、現在雛に給餌をしているらしい。雌雄が交替で巣に出入りしている。小…

『日本の原子力施設全データ』を読む

北村行孝・三島勇『日本の原子力施設全データ』(講談社ブルーバックス)を読む。副題が「どこに何があり、何をしているのか」とある。「はじめに」に本書の目的が書かれている。 ともすれば敬遠されがちな原子力の基本的な知識をおさらいし、国内にどのよう…

『樹影譚』と『出生の秘密』を読む

丸谷才一『樹影譚』(文春文庫)を数年ぶりに読み直したのは、丸谷が亡くなって誰かが本書を強く勧めていたからだったと思う。鹿島茂だったかもしれない。一緒に三浦雅士『出生の秘密』(講談社)も併せて読むと良いともあった。 『樹影譚』は村上春樹『若い…

LIXILギャラリーの西野康造展「Space Memory」を見る

東京京橋のLIXILギャラリーで西野康造展「Space Memory」が開かれている(5月27日まで)。西野は1951年兵庫県生まれ、1977年に京都市立芸術大学彫刻専攻科を修了している。数々の彫刻展などで受賞をしており、国内外に彫刻作品が設置されているベテランの立…

「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」が良かった

新宿初台の東京オペラシティアートギャラリーで「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」という展覧会が開かれている(6月29日まで)。コンセプチュアルな作品を多く収集するコレクター石川康晴氏のコレクション展とのこと。映像作品が多いのだが、とくに小泉…