櫻木画廊の「はじめに四角ありき」を見る

 東京上野桜木にある櫻木画廊で「はじめに四角ありき」という展覧会が開かれている(5月18日まで)。出品作家は、藤澤江里子、樋口朋之、沓澤貴子の3人で、いずれも抽象絵画を制作している中堅作家たちだ。
 藤澤は1960年、東京都生まれ、武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン科を卒業したあとBゼミスクールを修了している。なびす画廊、かわさきIBM市民文化ギャラリー、村松画廊、ギャラリーαM、トキ・アートスペースなどで個展を開いている。一昨年は青梅アートフェアで青梅市立美術館に大作を展示していた。
 樋口は1969年、神奈川県生まれ、1994年に創形美術学校造形科を卒業している。ギャラリーなつかで個展を繰り返し、その他、ギャラリーαM、セゾンアートプログラム・ギャラリーなどで個展を開いている。
 沓澤は1971年、静岡県生まれ、1996年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、1998年に同大学大学院油絵コースを修了している。2001年ガレリアラセンで初個展を開き、Oギャラリー、かわさきIBM市民文化ギャラリー、ギャラリー砂翁などで発表をしてきている。


 藤澤は最近、都内各地の画材店などの小さなスペースで発表を重ねてきたが、ここに紹介した20号かそれ以上の大きな作品で本領を発揮するように思う。洗練された「線」が見事で、色彩もすばらしい。3人の中ではもっとも完成度が高い作家だ。



 樋口の作品では、とくにグレーの地に黄や白の線が引かれたのが良かった。また黄と黒の2点の作品は一見抽象だが、ターミナル駅に集まっている線路や、下り坂の自動車道路を見下ろしている風景を作品化しているようだ。

 沓澤は抽象的な形を描きながら、独特の色彩感覚を示している。その形と色彩の組み合わせが沓澤の世界だ。ときに高い完成を見せたり迷ったりしているようにも見える。今回の色彩は迷いながらも高い達成に近づいているようだ。未完成の印象だからこそ沓澤の将来に期待している。
 優れた抽象作家3人展だ。ぜひ足を運んでいただくことをお勧めする。
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「はじめに四角ありき」
2014年5月6日(火)−5月18日(日)
11:00−18:30(最終日は17:30まで)
月曜休廊
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櫻木画廊
東京都台東区上野桜木2-15-1
電話03-3823-3018
http://www1.tcn-catv.ne.jp/sakuragi_art/
JR日暮里駅南口から谷中の墓地を通って徒歩10分
東京メトロ千代田線千駄木駅1出口から徒歩13分
東京メトロ千代田線根津駅1出口から徒歩13分
SCAI THE BATHHOUSEの前の交番横の路地を入って50mほどの左側