2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

5月末頃の花

5月末頃の墨田区で撮った花。 薔薇が満開だ。 カモミールまたはカミツレ、カミルレ ドクダミ ホタルブクロ(蛍袋)、子供の頃採ったホタルを入れて遊んだ アザミは種類が多い。これは何アザミだろう(これのみ江東区) ウラハグサ(裏葉草)またはフウチソ…

吉田秀和さんが亡くなった

吉田秀和さんが亡くなった。5月22日夜だったという。98歳という高齢にも関わらず、惜しい人を亡くしてしまったという感が強い。いつまでも元気で生きていてほしかった。丸谷才一が追悼を書いている(朝日新聞5月29日夕刊)。 批評家は二つのことをしなけれ…

劇作家サラ・ケインの病気

鴎座フリンジ企画で演じられた『洗い清められ』の作者はイギリス人の劇作家サラ・ケインだ。サラを紹介する芝居のパンフレットより、 サラ・ケイン(Sarah Kane) イギリス人作家。1971年エセックス州生まれ。プリストル大学を首席で卒業後、バーミンガム大…

鴎座の『洗い清められ』を見て

鴎座フリンジ企画の芝居『洗い清められ』を渋谷のスペースEDGEで見る。イギリスのサラ・ケイン作。サラは1971年生まれ、28歳のときうつ病で自死している。演出は川口智子、2010年に同じ作品をリーディング形式で『クレンズド』として上演し、2011年は『浄化…

丸谷才一『人形のBWH』を読んで

丸谷才一のエッセイ集がなぜか好きで文庫版が出ると買ってすぐ読んでしまう。特別傑作というわけでもないのだが、丸谷の好奇心が私のそれと相似形なのかもしれない。文体はちょっとだけしつこくて気に入らないのだが。 それからいつもタイトルが変だと思う。…

今村昌平『遙かなる日本人』を読んで

今村昌平『遙かなる日本人』(岩波同時代ライブラリー)を読む。映画監督今村昌平の自伝かと思ったら、あちこちに書いたものをまとめたエッセイ集だった。映画監督になる過程を素描したものもあり、東南アジアに連れて行かれて売春をさせられた「からゆきさ…

少し変な写真3題

「トビに注意!」 これは神奈川県立近代美術館 葉山の入口にある看板。「手に食べ物を持っているとトビにねらわれて危険です」とある。 ・ 銀座の並木に食いこんだ鉄パイプ。 ・ 中華料理屋の店頭に貼られたちらし。 店の名前は大菜門、こう書いて「ダイナモ…

恩地日出夫の自伝と山田風太郎日記の交差点

映画監督恩地日出夫の自伝『「砧」撮影所とぼくの青春』(文藝春秋)を読む。1933年1月東京生まれの恩地は昭和19年8月、小学校6年のとき長野県飯田市へ学童疎開する。「とにかく腹がへった。軒先の干柿を盗んだ。栗林に盗みに入り、見つかって、追いかけ…

LIXILギャラリーの一ツ山チエ展が興味深い

東京京橋のLIXILギャラリーで開かれている一ツ山チエ展が興味深い。LIXILギャラリーは以前INAXギャラリーといっていたところ。会社名が変わってギャラリーの名前も変わった。 一ツ山チエは1982年静岡県生まれ、2004年に東京工芸大学デザイン学部を卒業してい…

5月20日の墨田区の花

5月20日に東京墨田区で撮影した花。 バラ。特別な品種ではないのだろうが、きれいだった。 カルミア。ツツジの仲間。 ニオイバンマツリ。名前のように香りが高い。 旧中川の土手に咲いていたユウゲショウ。マツヨイグサの仲間で、ヒルザキツキミソウを小型…

古田亮『高橋由一』を読んで

古田亮『高橋由一』(中公新書)を読む。副題が「日本洋画の父」、あの中学の美術の教科書にも載っている鮭を描いた明治の洋画家の伝記だ。「はじめに」にこんなことが書いてある。 本書は、この《鮭》を描いた高橋由一という画家の物語である。画家の伝記と…

川本三郎『今ひとたびの戦後日本映画』を読んで

川本三郎『今ひとたびの戦後日本映画』(中公文庫)を読む。雑誌『世界』に1992年から1993年頃連載したもの。戦後日本映画について語って、当時の日本の社会を分析したり、ときに女優や男優についても語っている。映画をよく見て深く読み込んでいる。しかし…

K'sギャラリーの上田泰江展が良い

東京京橋のK'sギャラリーで開かれている上田泰江展が良い(5月26日まで)。上田泰江は1930年京都府生まれで、現在も京都に住んでいる。今年82歳という高齢なのだ。去年も紹介したが作品はすばらしい。上田は西新宿にあった杏美画廊でしばしば個展をしていた…

村上隆のマイ・ロンサム・カーボーイ

もう十数年前になるが、小山登美夫ギャラリーで村上隆の「マイ・ロンサム・カーボーイ」を見た。小山さんが、これがアメリカでは300万円で売れるんですよと、ちょっとばかり呆れたように言った。私もアメリカではこんなものが売れるんだと意外に思った。 そ…

クストーという海洋学者がいた

15年ほど前に亡くなったクストーという海洋学者がいた。彼の撮った映画に『クストー、海の世界』というのがあったことを憶えている。Wikipediaによると、 ジャック=イヴ・クストー(Jacques-Yves Cousteau, 1910年6月11日 - 1997年6月25日)は、フランスの海…

朝日歌壇の「せつ子」の短歌

2012年4月12日の朝日新聞の朝日歌壇に馬場あき子と永田和宏が採った短歌。作者は群馬県の酒井せつ子さんという人。 せつ子来るせつ子もう帰る吾の名の飛び込んでくる亡母(はは)の日記帳 私も母の亡くなる前の2年間ほどは毎月母の入っている田舎の施設を…

野見山暁治『続々アトリエ日記』が楽しい

銀座5丁目のナカジマアートで「野見山暁治の墨絵展」が開かれている(5月23日まで)。数年前に外苑前にあった永井画廊で開かれた墨絵展と異なり、今回はとても良い。来場した画家たちの何人もが同じ意見だった。 会場で出版されたばかりの野見山暁治『続々…

大矢雅章のオブジェ展を見た、また高島進の銀筆のドローイングも

六本木のShonandai MY Galleryで大矢雅章展が開かれている(20日まで)。大矢は1972年神奈川県生まれ、1998年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。深沢幸雄・森野眞弓・渡辺達正氏より銅版画を学ぶと略歴にある。その後文化庁新進芸術家…

S. レムの影響

SF

ビルの窓ぎわで作業をしている時、窓の外を何か大きなものが動いているのに気付いた、その大きな機械はゆっくりと下へ移動していった。無人で動いている窓掃除の機械だった。だが、それは映画『未知との遭遇』を思い出させた。巨大な宇宙船が地球にやってき…

金井美恵子『本を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬ』を読んで

金井美恵子『本を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬ』(日本文芸社)は30年近く前に雑誌に連載された彼女のエッセイをまとめたものだ。金井美恵子の鋭い毒舌が楽しめる。 短篇の持つ利点は、読者にとって、ということで言えば、とんでもない下手糞な文…

各氏が語る『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』

読売新聞の書評欄のコラム「ポケットに1冊」にジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』が取り上げられている(5月6日)。 ……4月に「裏切りのサーカス」のタイトルで公開された映画に合わせ、英情報部を舞台にした1974年のスパイ小…

萩尾望都『なのはな』を読む

萩尾望都といえば『ポーの一族』は私でも知っているし、今年紫綬褒章を授章した漫画家だ。毎日新聞の書評欄にその萩尾望都の新作『なのはな』(小学館)が紹介された(2012年5月6日)。筆者は「阿」と署名している。 サブカルチャーの筆頭といえるマンガは…

木瓜を詠んだ俳句

つぎのような木瓜(ボケ)を詠んだ俳句を知って、先日撮影したボケの花を思い出した。 木 瓜 の 朱 の 少 し み だ ら に 咲 き 満 て り 竹中多恵子 ・ 花弁が少し萎れ始めているところなんざこの句と妙に響き合っている感じがするではないか。 と書いて、…

『「ぴあ」の時代』を読む

掛尾良夫『「ぴあ」の時代』(キネマ旬報社)を読む。雑誌『ぴあ』が2011年7月21号で休刊した。1972年7月に創刊したから39年間続いたのだった。本書はその『ぴあ』の創刊から最大53万部を発行した時代、「ぴあフィルムフェスティバル」を始めたこと、チケ…

シロアリのスウォームを撮る

恒例の銀座のシロアリのスウォームを撮影した。昨年はすでにピークを過ぎてしまっていたので、今年は1時間早くでかけたのだったが、それでもピークが過ぎていた。だから正確に表現すれば、今年もシロアリのスウォーミングを撮り逃がしたと言うべきだろう。…

講談社のPR誌『本』

毎日新聞の書評欄に「MAGAZINE」という雑誌を紹介する小さなコラムがある。4月22日のそれは『本』4月号だった。 本のPR誌は数々あるが、一本筋が通って読み応えがあるのは新潮社の『波』と、この講談社の『本』である。 巻頭に思想についての考察。それも…

『昆虫食入門』を読む

内山昭一『昆虫食入門』(平凡社新書)を読む。私も山国の出身で、子供の頃から、イナゴ、蜂の幼虫(蜂の子)、蚕の蛹(ひび)、カミキリムシの幼虫(ゴトウムシ)などを食べ慣れていた。長野県は海がないせいか、タンパク質を昆虫にも求める食の習慣があっ…

ギャラリーeitoeikoの江川純太展が興味深い

新宿区矢来町のギャラリーeitoeikoで江川純太展「さっき見た新しい世界を忘れて、また見る瞬間の」が開かれていた(4月28日まで)。正式な会期はもう終わってしまったが、好評だった由で会期が延長された(5月8日〜26日)。江川は1978年神奈川県生まれ。2…

誰が見ているのか

画廊を回ろうと銀座へ行った。柳通りと並木通りの交差点で、不意に鞄のなかに手紙を入れていたことを思い出した。近くにポストがないかと見まわした。ちょっと離れたところに赤い郵便ポストが立っていた。いや、ある意味目の前にあったのだ。 しかし、ポスト…

『ハラスのいた日々』を読む

中野孝次『ハラスのいた日々』(文春文庫)を読む。なるほど評判の良い作品だ。本当に面白かった。作家で翻訳家でもある中野が柴犬を飼う。中野は47歳のとき、それまで20年住んだ世田谷の団地を出て、横浜の洋光台に家を建てる。義妹からお祝いに何かあげた…