村上隆のマイ・ロンサム・カーボーイ


 もう十数年前になるが、小山登美夫ギャラリー村上隆の「マイ・ロンサム・カーボーイ」を見た。小山さんが、これがアメリカでは300万円で売れるんですよと、ちょっとばかり呆れたように言った。私もアメリカではこんなものが売れるんだと意外に思った。
 その後、アメリカのオークションで16億円で取引されて話題になった。呆れて見たときのざっと500倍だ。1万円で売ったものが500万円で転売されたことになる。村上隆が転売されたときには作者にも3%の著作見料を支払うことを売買契約に入れさせることにした理由がよく理解できる。
 あの現代美術の画商のホープである小山さんだって想像もできなかった展開なのだ。私ごときに予測できようはずがなかった。