2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧
神奈川県立近代美術館葉山で「戦争/美術1940-1950」を見る。副題が「モダニズムの連鎖と変容」、その難しそうな題名の意味は、ちらしを読むと理解できる。 1940年代の日本は、戦争という美術家たちにとって非常に困難な時代でありながらも、モダニズムの成…
正宗白鳥『何処へ 入江のほとり』(講談社文芸文庫)を読む。白鳥を読むのはひと月前に『文壇五十年』(中公文庫)を読んで以来やっと2冊目。今回白鳥を読んだのは、先日読んだ安岡章太郎『文士の友情』(新潮社)に白鳥の「入江のほとり」を推薦している文…
六本木の国立新美術館で開かれているアメリカン・ポップ・アート展を見た。アメリカに住むジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻の個人コレクションだという。代表的なポップ・アーティストの優れた大作が揃っていて本当に見事な展覧会だと思う。展覧会のち…
近くの植物園にこんなプレートが立っている。 ハマナシ 浜梨 通称 ハマナス バラ科 バラ属 分布=北海道〜本州(銚子、鳥取の沿岸まで)〜東北アジア一帯 海岸性 花は香料・薬用 実食用 普通使われているハマナスが通称であるとして、ハマナシ(浜梨)の名を…
安岡章太郎『文士の友情』(新潮社)を読む。副題が「吉行淳之介の事など」で、吉行ファンとしては読まずばいられない。何しろ吉行の愛人でかつ『暗室』のモデルを自称する大塚英子の『「暗室」のなかで−吉行淳之介と私が隠れた深い穴』(河出書房新社)とい…
朝日歌壇にガリーナ・ヴィシネフスカヤのヴォカリーズの歌が載っていた(2013年6月24日)。作者は八尾市の水野一也氏。 金色の蜂蜜のような母音にてヴィシネフスカヤの歌うヴォカリーズ それがYOU TUBEにもアップされていた。 ラフマニノフ「ヴォカリーズ」…
近所の公園の彼岸花が満開になった。彼岸花は有毒植物で、地下の鱗茎に毒がある。人里近くにしか生えていない。妖しく美しい花で、しかも有毒だなんて、どこやらの美女みたいだ。 むかし飢饉の折り、この鱗茎を砕き水さらしして解毒し食用にしたという。これ…
山梨俊夫『絵画を読み解く10のキーワード』(小学館)を読む。山梨はきわめて優れた現代美術論『現代絵画入門』(中公新書)の著者だ。 昨日の(その1)のフランシス・ベーコンについで、マティスとピカソの比較を紹介する。まずマティスの『夢』(1940年)…
山梨俊夫『絵画を読み解く10のキーワード』(小学館)を読む。山梨はきわめて優れた現代美術論『現代絵画入門』(中公新書)の著者だ。だから期待して読んだ。期待は少々裏切られた。本書は、10のキーワード「笑い」「死」「子ども」「時間」「スポーツ」な…
東京浅草橋のマキイマサルファインアーツで企画展「Try to Remember the Kind of September」が開かれている。キュレーターの佐藤の企画で4人の作家が取り上げられている。英語のタイトルは、「Try to Remember 思い出して」の歌詞「思い出して あの9月の…
正宗白鳥『文壇五十年』(中公文庫)を読む。戦前、文壇の大御所だった白鳥が、戦後すぐの頃に、明治36年に読売新聞社の記者となって以来の文壇50年を振り返って書いている。同時代を見てきた作家の証言は、なかなか驚くような出来事に満ちている。 日清戦争…
東京調布市の調布画廊で柴田和展が開かれている(9月21日まで)。柴田は1934年生まれ、武蔵野美術大学の前身帝国美術学校を卒業している。柴田は以前このブログでも取り上げた堀内康司の仲間で、戦後堀内と一緒に活動していた。柴田には詳しく聞かなかった…
東京銀座のペッパーズギャラリーで影山由佳展「momentaryswitch」が開かれている(9月21日まで)。影山は1986年東京都生まれ、2010年に多摩美術大学美術学部を卒業している。2011年にこのペッパーズギャラリーで初個展を開いた。昨年はニューヨークでも個展…
宮田昇『新編 戦後翻訳風雲録』(みすず書房)で先代の早川書房社長早川清の唖然とする言葉を紹介している。 早川という人は、「どケチ」というより、財産と名がつくものの保全に関してきわめてこだわる点で、特異であったのである。自分がいったん手にした…
所沢市郊外の旧所沢市立第2学校給食センターで「引込線2013」というアートイヴェントが開かれている(9月23日まで)。これは今まで「所沢ビエンナーレ『引込線』」と名づけていたのを改称したもの。ビエンナーレの名称を外したのは、今後毎年開催するとい…
JR総武線の中吊り広告が、エイズ予防財団のエイズ検査をしようというポスターだった。キャッチコピーが、 検査。 それが、 スタートライン。 というもの。 ボディーコピーは、 HIV(エイズ)の治療は、すごく進歩していて、正直、驚きました。 いまは、早期…
近所の小さな植物園に在来種のワタが植えられている。綿シャツの綿、コットンだ。はじめ黄色い花が咲き、実ができて、その実が膨らんで白い棉が飛びだした。植物は「棉」、製品になると「綿」と表記する。木ヘンと糸ヘンの違いだ。 江戸時代から日本で栽培さ…
岩波文庫の『近代日本短篇小説選 昭和篇3』を読む。紅野敏郎ほか4人が編集して、13人の作家が取り上げられている。サンフランシスコ講和条約が発効し、日本が独立を取り戻した戦後の1952年から1969年までに発表された短篇小説をまとめたもの。13人の作家は…
高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』(ちくま文庫)を読む。印刷過程で必要な作業「校正」、しかし校正ミスはつきものだ。作家や編集者、校正者などが、自分の校正ミス、誤植について書いている。執筆者53名、これは書き下ろしでなく、編者たちが過去の文献か…
東京京橋の南天子画廊で横尾忠則展「日本の作家222」が開かれている(9月14日まで)。ギャラリーのHPから、 『日本の作家222』日本の作家 222作者: 横尾忠則出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (1…
東京中央区八丁堀のギャラリーFUMA CONTEMPORARY TOKYO / BUNKYO ARTで松本真由子展「混在」が開かれている(9月20日まで)。松本は1982年、千葉県生まれ。2009年に東京京橋のギャラリー be Tokyoで初個展を開いたほか、岡本太郎現代芸術賞展やトーキョーワ…
草薙奈津子『美術館へ行こう』(岩波ジュニア新書)を読む。草薙は神奈川県の平塚市美術館長。ジュニア新書だが、大人が読んで十分面白いし、美術館について教えられることが多い。て言うか、美術館についてほとんど知らないことばかりだったことを知ったほ…
秋葉原のギャラリーJIKKAで飯山由貴個展「湯気 けむり 恩賜」が開かれている(9月18日まで)。飯山は1988年、神奈川県生まれ。2011年に女子美術大学絵画学科洋画専攻を卒業し、2013年に東京芸術大学大学院美術研究科油画を修了している。2011年に銀座ギャラ…
神楽坂のセッションハウス・ガーデンで工藤洋子展が開かれている(9月13日まで)。工藤は1983年東京生まれ、2006年に明星大学造形芸術学科日本画・陶芸専攻を卒業している。2006年にJR奥多摩駅ステーション・ギャラリーで初個展をし、その後奥多摩の画廊で…
神奈川県立美術館 鎌倉で松田正平展を見た。9月1日が最終日だったので、やっとその1日前に行って来た。松田正平は私にとって長い間不思議な画家だった。なんかとてつもなく下手に思えるのだが、洲之内徹は松田を絶賛していて、薔薇の絵は梅原龍三郎より良…
東京京橋のLIXILギャラリー(旧INAXギャラリー)がビルの改装を終えて、9月2日からリニューアルオープンした。その最初の個展が奥村昂子展「−あれを作る−」だ(9月28日まで)。 奥村は1984年東京生まれ、2008年に東京造形大学彫刻専攻を卒業し、2012年に…
八谷和彦の手作り(?)飛行機が飛んだのを朝日新聞に紹介された(9月2日夕刊)。見出しが「ナウシカになれた10秒」というもの。 宮崎駿監督の代表作「風の谷のナウシカ」で、主人公が操る小型飛行機「メーヴェ」を模した機体を実際に作って、飛んだ人がい…
笹沼俊樹『現代美術コレクションの楽しみ』(三元社)を読む。サラリーマン・コレクターの書いたコレクション歴なのだが、これが実におもしろかった。著者は1939年生まれの商社マンで、ニューヨークに駐在したり、欧米へ何度も出張したりして、その都度現代…
井ノ口馨『記憶をコントロールする』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「分子脳科学の挑戦」。朝日新聞の書評欄で福岡伸一が推薦していた(6月30日)。福岡の書評から、 ……私たちが何かを体験すると、脳の海馬でシナプスが回路を作る。それが記憶の元…
朝日新聞に連載されているコラム「悩みのるつぼ」、いつも驚くような相談と回答が掲載されているが、8月最後の土曜日の相談にはびっくりした。回答者は上野千鶴子で、その回答は一応予測の範囲内だったが。その驚いた相談、 私79歳、主人88歳。 主人は4年…