2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ルイーズ・バレット『野性の知能』を読む

ルイーズ・バレット/小松淳子・訳『野性の知能』(インターシフト)を読む。副題が「裸の脳から、身体・環境とのつながりへ」といい、これが内容を表している。きわめて興味深い内容だった。だが、同時に読みづらい本でもあった。それは内容が難しいためと…

ギャラリーなつかの國安孝昌展「〜静かに行くこと、遠く内省すること〜」はまるで異次元のようだ!

東京京橋のギャラリーなつかで國安孝昌展「〜静かに行くこと、遠く内省すること〜」が開かれている(9月14日まで)。國安は1957年北海道生まれ、1981年に北海道教育大学教育学部を卒業し、1983年に筑波大学大学院芸術研究科を修了している。 各地のギャラリ…

ASK?Pの佐藤友里子と櫻井美佳の日本画2人展がおもしろい

東京京橋のギャラリーASK?(P)で「isotope−日本画2人展−」が開かれている(8月31日まで)。2人は佐藤友里子と櫻井美佳。 佐藤は1990年、神奈川県生まれ。2012年にイメージフォーラム映像研究所を卒業し、現在女子美術大学日本画専攻在学中。昨年日本画3人…

みゆき画廊の深沢軍治展「−地上の事 II−」がすばらしい

東京銀座のみゆき画廊で深沢軍治展「−地上の事 II−」が開かれている(9月7日まで)。深沢は1943年山梨県生まれ、毎年あちこちの画廊で精力的に何度も個展を開いている。 深沢のすごいところは、どの個展でも多様な表現を見せてくれることだ。毎回以前とは…

オクタビオ・パスと渡辺京二

ノーベル文学賞を受賞したメキシコの詩人オクタビオ・パスは『マルセル・デュシャン論』(書肆風の薔薇)で機械と人間を比較して、人間こそ不死だと書く。 これらの機械は、われわれの身体よりも長もちのする材料でできているにもかかわらず、われわれよりも…

「悩みのるつぼ」の相談がおもしろい

朝日新聞に連載されているコラム「悩みのるつぼ」のQ&Aがなかなかおもしろい。留保付きなのは、経済学者の金子某氏のように常識的な回答者もいいるからだ。私は回答者では、上野千鶴子や車谷直吉のファンだが、車谷は回答者を辞めてしまった。今回紹介する岡…

零∞の渡邊瑠璃展「くうどうのもつものがたり」が興味深い

東京銀座のギャラリー零∞(ゼロハチ)で渡邊瑠璃展が開かれている(8月27日まで)。渡邊は1989年、福岡県生まれ。2013年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業している。今回が初個展となる。 ギャラリーに入ると真ん中に草で編んだ大きな立体が壁に設置…

大小同時の日本人。別々のアメリカ人と猫

室内飼いをしているネコが部屋の隅のネコ用トイレでオシッコをした。その後いったんトイレを出て、1分もしない内にまたトイレへ入り今度はウンチをした。ネコって大小別々にするんだと気がついた。もっともこれが普遍的な現象なのか、よそのネコのことを詳…

ギャルリー志門の「Spec show」の冠木佐和子がおもしろい

東京銀座のギャルリー志門でグループ展「Spec show」が開かれている(8月24日まで)。参加している作家は青木功太、秋葉美月、冠木佐和子、吉澤紀子の4人だが、冠木佐和子(かぶき さわこ)のイラストがおもしろい。 冠木佐和子は1990年東京生まれ、今年多…

一番大事なものを失くしたら

山田宏一『新版 映画この心のときめき』は映画評論家山田宏一が1971〜1973年にかけて『キネマ旬報』に連載した映画評をまとめたものだ。ここに紹介されている映画を私はほとんど見ていないが、山田宏一ファンとしてはなかなか楽しい読書だった。さすが映画好…

記憶のかたち

お茶の水駅近くのお堀の岸に白い百合の花が咲いていた。よく知っている百合だ。何だったっけ? 「た」行の名前だった気がする。タメトモユリ(為朝百合)だったか、いや違う、タメトモユリはヤマユリよりも大きくて日本でもっとも華やかな白い百合だ。こんな…

銀座ニコンサロンの鷲尾倫夫写真展「巡礼の道 オキナワ」を見る

東京銀座の銀座ニコンサロンで鷲尾倫夫写真展「巡礼の道 オキナワ」が開かれている(8月27日まで)。鷲尾は1941年東京都生まれ、1960年愛知県国立高浜海員学校を卒業している。海運会社へ勤めた後、1973年に日本写真学園研究科を卒業し、1981年から20年間、…

東京ワンダーサイト本郷の江川純太展と松井沙都子展

お茶の水駅近くのトーキョーワンダーサイト本郷で江川純太展と松井沙都子展が開かれている(8月25日まで)。ここは都営の施設で、若い作家たちにギャラリーを提供して、1カ月間個展をさせている。1階から3階までの会場で今回も4人の作家たちが展示を行…

コバヤシ画廊の太田三郎展「戦ノ碑 POST WAR 68」を見て

東京銀座のコバヤシ画廊で太田三郎展「戦ノ碑 POST WAR 68」が開かれている(8月24日まで)。太田は1950年山形県生まれ。1971年に鶴岡工業高等専門学校機械工学科を卒業している。1980年よりコバヤシ画廊をはじめ個展を多数開いている。 今回は「戦ノ碑 POS…

「ギャラリー椿オークション2013」が始まる

今年も8月17日から京橋のギャラリー椿で恒例のオークションが始まる。 オークションは8月17日(土)、18日(日)、19日(月)、20日(火)の4日間。誰でも自由に入札できる。出品点数が500点以上も予定されている。ギャラリー椿は銀座・京橋地区でも特に…

ギャラリー川船の『8月15日「光と影の展示会」』を見る

東京京橋のギャラリー川船の『8月15日「光と影の展示会」』を見る(8月18日まで)。本展はキャバレーハリウッドのオーナーであり、美術コレクターとしても『芸術新潮』の連載エッセイストとしても著名な福富太郎氏のコレクションから、戦中戦後を画いた作…

ギャラリーQの小川浩子のインスタレーション「白弦」を見る

東京銀座のギャラリーQで小川浩子展「白弦」が開かれている(8月24日まで)。小川は1973年、埼玉県生まれ。1996年に日本大学芸術学部彫刻専攻を卒業している。2000年に東京銀座の青樺画廊で初個展、2005年からはギャラリーQで毎年ないし隔年で、今回でもう…

中野三敏『江戸文化再考』を読む

中野三敏『江戸文化再考』(笠間書院)を読む。中野三敏と言えば、写楽が誰であったか、その謎を解いた近世文学研究者だ。中野の謎解きは見事なもので、もうどんな異論が出されようと、写楽に関する中野の結論が覆されることはあり得ない。このことについて…

東京都美術館で福田美蘭展を見る

東京都美術館で福田美蘭展が開かれている(9月29日まで)。同展のちらしより、 福田美蘭(ふくだ・みらん/1963年〜)は、東京藝術大学に学び、同校の卒業制作展および修了制作展を経て、現代日本美術展や日本国際美術展への出品など、上野そして当館を主な…

清水好子『紫式部』を読む

清水好子『紫式部』(岩波新書)を読む。私は紫式部に関する本をこれ1冊しか読んでいない。にも関わらず、本書がきわめて優れた紫式部論だと断言できる。源氏物語論ではなく紫式部論である。本書の3/4まで源氏物語には触れられない。まさに紫式部の伝記…

hpgrpギャラリー東京の窪田美樹展 - An image 2 -

東京渋谷区表参道のhpgrpギャラリー東京で窪田美樹展 - An image 2 -が開かれている(8月18日まで)。窪田は1975年、神奈川県生まれ。2001年に武蔵野美術大学大学院彫刻コースを終了している。 ギャラリーで配布されるプレス・リリースによれば、主な個展・…

国立新美術館でアンドレアス・グルスキー展を見る

東京六本木の国立新美術館でアンドレアス・グルスキー展が開かれている(9月16日まで)。ドイツ人の写真家で密集した「モノ」を巨大な画面で表示している。ちなみに上記ちらし表面の写真は、ニュートリノを観測するために作られた日本のカミオカンデを撮っ…

井上ひさし『少年口伝隊一九四五』を読む

井上ひさしの朗読劇『少年口伝隊一九四五』(講談社)を読む。これは先日新国立劇場で公演を見た芝居の台本にあたる。粗筋は以前紹介したので、以下再録する。 広島に原爆が投下される少し前から芝居が始まり、生き残った3人の小学生たち、それに中国新聞に…

トーキョーワンダーサイト本郷で江川純太展が始まった

お茶の水駅近くのトーキョーワンダーサイト本郷で江川純太展が始まった(8月25日まで)。ここは都営の施設で、若い作家たちにギャラリーを提供して、1カ月間個展をさせている。1階から3階までの会場で今回も4人の作家たちが展示を行っている。概ね1人…

閉店のお知らせ

閉店のお知らせ各種。

東京オペラシティアートギャラリーのコレクション展

東京オペラシティアートギャラリーのコレクション展「アートがあればII」がおもしろかった。匿名の9人の個人コレクターのコレクションを展示している。コレクターのプロフィールがきわめて簡単に紹介されている。 E. Y. 氏:46歳、男性、会社員。コレクター…

マリーギャラリーの松山広視展は不思議だ

東京日本橋浜町のマリーギャラリーで松山広視展が開かれている(8月10日まで)。松山は1974年、三重県生まれ。1999年に名古屋芸術大学を卒業している。1995年に名古屋市市政資料館で初個展、以来名古屋のギャラリーを中心に作品を発表している。とくに名古…

HARMASギャラリーの高橋大輔展「絵の絵の絵の絵」

東京江東区清澄のHARMASギャラリーで高橋大輔展「絵の絵の絵の絵」が開かれている(8月10日まで)。高橋は1980年埼玉県生まれ。2005年に東京造形大学絵画専攻を卒業している。同大学在学中に休学してインドに行っている。主な個展は、switch point、トキ・…

新国立劇場小劇場の『少年口伝隊一九四五』を見る

新国立劇場小劇場の『少年口伝隊一九四五』を見る。井上ひさし作の広島への原爆投下を扱った芝居だ。演出が栗山民也、NNTドラマ・スタジオ(新国立劇場演劇研修所)の第7期生たちが演じているリーディング・ドラマ(朗読劇)だ。 俳優たちは舞台に1列に並…

丸谷才一『人間的なアルファベット』を読んで

丸谷才一『人間的なアルファベット』(講談社文庫)を読む。裏表紙の惹句に「好奇心とユーモアに色っぽさをブレンドして、AからZの単語にまつわる項目を辞書風に仕上げた大人の極上エッセイ」とある。 A:ACTRESS(女優、女役者)、ART(美術)、B:BARRISTE…