東京オペラシティアートギャラリーのコレクション展


 東京オペラシティアートギャラリーのコレクション展「アートがあればII」がおもしろかった。匿名の9人の個人コレクターのコレクションを展示している。コレクターのプロフィールがきわめて簡単に紹介されている。
E. Y. 氏:46歳、男性、会社員。コレクター歴14年、コレクション点数50数点。
A. K. 氏:人生半分くらい終えてる男性、通称会社員。−歴不明、点数100点くらい。
S. M. 氏:56歳、男性、会社員。−歴約10年、点数200点程度。
W. Y. 氏:60歳、男性、会社役員。−歴40年、点数約400点。
Y. S. 氏:45歳、男性。−歴12,3年、点数100点位。
K. N. 氏:37歳、男性、デザイナー。−歴10年、点数200点。
T. S. 氏:63歳、女性、主婦。−歴通算30年、点数100点以上。
anonymous氏:無回答
NND氏:30代、男性。−歴約10年、点数約100点。
 無回答の1人を除いて、30代から63歳までのコレクターで、コレクション歴は平均20年未満となる。いわば新しいコレクターたちだ。何を買っているのか。ほとんど現代美術という範疇に属するものだ。
 メイプルソープ村上隆奈良美智荒木経惟細江英公森山大道中平卓馬オノデラユキ須田一政、藤本由紀夫、蜷川実花、津上みゆき、八木良太会田誠、フォートリエ、曽根裕、田中功起Chim↑Pom小林正人、中原浩大、名和晃平西尾康之ヨーゼフ・ボイス森村泰昌、流麻二果、小沢剛、アジェ、ブラッサイブレッソン、ドアノー、ケルテス、マン・レイ等々が並んでいる。さらに、ここに名前をあげていない私の知らない作家たちが半数以上もいる。
 こんな作家たちのこんな作品を収集しているのかと驚くことが多かった。コレクターたちは自分の好みで作品を収集している。だから極論すれば玉石混淆とも言えるし、権威づけされていない面白さとも言える。とにかく多様なのだ。
 これら9人のコレクターのコレクションは区切られた部屋ごとに並べられている。それでコレクターの個性は伺えるようになっている。ただ、見終わって振り返ってみると、コレクターたちの個性はなんとなく溶け込んで、現代美術の限りない多様さが強く印象に残っている。
 この「アートがあればII」を見た後、上階の収蔵品展を見にいく。企画展のチケットがあれば、そのまま収蔵品展が見られるし、収蔵品展だけなら入場料200円なのだ。
 現在は「色について−−寺田コレクションより」を展示している。東京オペラシティアートギャラリーに、自身が購入した作品を寄贈している寺田小太郎氏のコレクション展だ。東京オペラシティアートギャラリーの収蔵点数は3,000点ほどあり、そのほとんどは寺田氏が寄贈したものらしい。難波田龍起は300点も揃っている。
 この収蔵品展を見ていく。堂本右美が4点並んでいる。相笠昌義、鄭相和、加納光於、桑山忠明、リ・ウーファン、難波田史男、難波田龍起は晩年の大作が2点、落田洋子が3点ある。村上春樹がコレクションしているという落田だが、いままであまり評価できなかった。でもこんなに良い落田の作品もあるのだ。大野俊明の大作、奥山民枝、オノサトトシノブ、白髪一雄、稗田一穂もある。
 寺田コレクションを見ていくと、下の階で開かれている9人のコレクション展とはレベルが違うことが如実に分かる。コレクションというものは、結局のところ経済力と歴史なのだろう。


「アートがあればII」
2013年7月13日(土)−9月23日(月・祝)
11:00−19:00(金・土は20:00まで)月曜日休館
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東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
http://www.operacity.jp/ag/