東京オペラシティアートギャラリーで篠山紀信展を見た


 新宿区初台の東京オペラシティアートギャラリー篠山紀信展「写真力」が開かれている(12月24日まで)。篠山は秋山庄太郎の後、女優などスターたちの肖像写真家としてまぎれもなく第一人者だろう。今から振り返ればいささか古くさい秋山と違ってはるかにモダンで、実験的にも同時代の写真家たちと比較して少しも遜色ない。しかもその名声から、被写体はつねに時代の一流の有名人たちだ。たとえば聖セバスチャンに扮する三島由紀夫吉永小百合坂東玉三郎、オールヌードになった宮沢りえジョン・レノンオノ・ヨーコ武満徹勝新太郎、水着の山口百恵後藤久美子AKB48等々。

 観客もとても多い。みな気になるタレントたちの写真を指さしておしゃべりしている。老若男女に、それぞれ気に入ったスターたちの写真が用意されているのだ。会場には世阿弥のいう「花」がある。
 で、お前はどう見たのか。篠山紀信の写真はまさにタレントたちの写真だった。被写体がもし有名人でなかったら、そんなに人々を引きつけるだろうか。つまり写真そのものとして見れば、さほど面白いものではない。2度見たいとは思わなかった。
 ただ、同じチケットで収蔵品展「やさしさの気配」を見ることができる。寺田コレクションの一部で、若手を中心とするまさに旬の現代美術が並べられている。いつもながらこれがとても充実しているのだ。
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篠山紀信展「写真力」
2012年10月3日(水)−12月24日(月・祝)
11:00−19:00(金・土は20:00まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
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東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
http://www.operacity.jp/ag