東京西新宿の東京オペラシティアートギャラリーで宇野亜喜良展が開かれている(6月16日まで)。宇野亜喜良は有名なイラストレーター、1934年生まれなので今年90歳になる。平日の昼近くに美術館に行ったら、チケット売り場にすでに数十人ほどが並んでいた。美術館のスタッフに、今までこんなに観客が多い展覧会はありましたか? と訊くと、2年前の和田誠以来ですとの答えだった。なるほど、人気のあるイラストレーターは最強だなあと感嘆した。
会場に足を踏み入れると、壁一杯に作品が展示されている。膨大な数なのだ。宇野亜喜良の仕事は雑誌やポスターなどのイラストの原画が多いので、小品が中心になる。展示している数が半端ではない。
最後に近い部屋にポスターが並んでいた。そこまで来て何だかホッとした。雑誌などのイラストの原画は美術館の展示にはそぐわないのではないか。1点1点は面白いのに、原画は小さくてそれが滅茶苦茶たくさん並んでいるので、美術館という空間で大勢の観客に囲まれて鑑賞するのが面倒になってしまう。多分、画集を見ればそれで良いのではないか。まあ、ポスターはその大きさもあって、広い空間で見る意味があると思うが。
宇野亜喜良が初期に竹下夢二の影響を受けたというのがよく分かった。夢二の美人画をモダンにして成功している。夢二との違いは成熟した女を描かなかったことか。宇野亜喜良の少女趣味はサリンジャーと共通しているのが印象的だった。
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2024年4月11日(木)―6月16日(日)
11:00-19:00(月曜日休館)
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東京都新宿区西新宿3-20-2
電話050-5541-8600(ハローダイヤル)