2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧

北野隆一『側近が見た昭和天皇』を読む

北野隆一『側近が見た昭和天皇』(幻冬舎新書)を読む。副題が「天皇の証言でたどる昭和史」。北野隆一は朝日新聞記者、戦後、宮内庁の初代長官を務めた田島道治が書いていた日記、そして戦前から戦中にかけて侍従長を務めた百武三郎の日記、それらが公開さ…

移転したギャルリー東京ユマニテの加納光於展を見る

東京日本橋兜町に移転したギャルリー東京ユマニテで加納光於展「初期銅版画——1955年「植物」から1964年「HYPNOS」まで」が開かれている(11月1日まで)。加納光於は1933年生まれだから現在92歳になる。1955年の作品は初個展で発表したものだという。初期に…

ガルリSOLの酒巻洋一展を見る

東京新富町のガルリSOLで酒巻洋一展「Vessel-水のかたち―」が開かれている(11月1日まで)。酒巻洋一は1964年東京都出身、1988年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業、1994年同大学大学院博士後期課程美術(油画)専攻を修了している。1993年初個展…

梯久美子『昭和の遺書』を読む

梯久美子『昭和の遺書』(中公文庫)を読む。芥川龍之介から始まり、2・26事件の首謀者磯部浅一、北一輝、太宰治、山本五十六、三島由紀夫、美空ひばりなど、50人以上の遺書を集めている。 2.26事件の首謀者・磯部浅一の遺書 悪臣どもの上奏した事をそのまゝ…

南天子画廊の横尾忠則展を見る

東京京橋の南天子画廊で横尾忠則展が開かれている(11月1日まで)。横尾は1936年兵庫県生まれ。はじめイラストレーターとして活躍するが、後に画家に転向する。人気があって、神戸市には横尾忠則現代美術館があり、そのほか個人美術館も2か所にあるという…

山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍』を読む

山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍』(文春文庫)を読む。山本七平はイザヤ・ベンダサンの名前で『日本人とユダヤ人』を書いた人。青山学院高等商業学部を卒業し、そのため陸軍の幹部候補生として入隊する。下級将校である。 昭和19年6月、輸送船でフィリ…

ガルリSOLの細田尚美個展を見る

東京新富町のガルリSOLで細田尚美個展が開かれている(10月25日まで)。 細田尚美は1977年埼玉県生まれ、2004年に多摩美術大学工芸学科金属専攻を卒業し、同年スルガ台画廊で二人展、2013年よりガルリSOLで個展を開き、その後も2016年、2021年とSOLで個展を…

みぞえ画廊の浜田浄展を見る

東京田園調布のみぞえ画廊で浜田浄展「絵画とは何か」が開かれている(10月26日まで)。浜田浄は1937年高知県出身、1961年に多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業している。2015年には練馬区立美術館で、今年は高知県立美術館で個展が開かれた。また、今月初…

ギャラリイKの内海信彦展を見る

東京京橋のギャラリイKで内海信彦展「犠牲者のための鎮魂碑」が開かれている(11月1日まで)。内海信彦は1953年生まれ、東京都出身。1974年慶應義塾大学法学部政治学科中退。1975年美学校中村宏油彩画工房修了。1981年多摩美術大学絵画科油画専攻コース卒業…

コバヤシ画廊の村山隆治展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で村山隆治展「touch」が開かれている(10月25日まで)。村山隆治は1954年茨城県生まれ、1980年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。その後、ギャラリー山口やギャラリー手、ギャラリー21+葉などで個展を繰り返した後、20…

ギャラリーなつかの八十島海斗展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで八十島海斗展が開かれている(10月25日まで)。八十島海斗は1979年茨城県生まれ、2002年に金沢美術工芸大学美術工芸学部彫刻専攻を卒業している。2003年にメキシコのギャラリーで初個展、その後神奈川や静岡のギャラリーで個展…

ギャラリーゴトウの森本秀樹展を見る

東京銀座のギャラリーゴトウで森本秀樹展が開かれている(10月21日まで)。森本秀樹は1951年、愛媛県宇和島出身。ギャラリー汲美をはじめ、ギャラリーゴトウ、小田急デパートなどで数多くの個展を行っている。現在宇和島市在住。 森本は質の高い抒情的な作品…

野坂昭如『新編「終戦日記」を読む』を読む

野坂昭如『新編「終戦日記」を読む』(中公文庫)を読む。野坂昭如は昭和20年6月5日に神戸の家を空襲で焼け出され、8月15日は疎開していた福井県の農村で玉音放送を聞いた。 それで毎年6月5日と8月15日、空を見上げる。そして戦後、あの時大人たちはど…

吉本隆明『国家とは何か』を読む

吉本隆明『国家とは何か』(角川ソフィア文庫)を読む。7つの講演録と1つのエッセイを仙崎彰容が編集・解説したもの。仙崎が高校生の頃、吉本隆明の『共同幻想論』を読んだが全く意味が理解できなかった。しかし大学院生の頃手に取った『吉本隆明著作集』…

ギャラリー檜Cで山本弘遺作展が始まった

東京京橋のギャラリー檜Cで山本弘遺作展が始まった(10月18日まで)。展示風景を紹介する。 「自画像」(左)と「河童A」 「薔薇」(左)と「赤いリボン」 「水神」(左)と「川」 「風越山」(左)と「眠る人」(中)と「河童B」 (題不詳)と「青い鳥」 「…

ギャラリー檜Cの山本弘展の「老人」

「老人」 明日月曜日から始まる山本弘遺作展の設営が、昨日無事終わった。 ここでは、「老人」(20号)を紹介する。 かつて東邦画廊の個展では「無題」として展示された。私が「老人」だと主張してもかたくなに「無題」を変えなかった。よく見れば大きな老人…

霧を描いた山本弘「種畜場」

「種畜場」 来週月曜日10月13日から東京京橋のギャラリー檜Cで山本弘展が始まる。これは私の企画によるもので、今回の目玉は「種畜場」(30号)という作品である。さて何が描かれているのか。 山本はこれを描き上げたとき、家族に説明して、早朝いつものよう…

山本弘、その略歴と評価

来週から東京京橋のギャラリー檜Cで山本弘展が始まる。会場に置くための資料として「山本弘、その略歴と評価」を書いた。それをここに紹介する。 山本弘、その略歴と評価 山本弘は昭和5年(1930年)長野県飯田市近郊の村で生まれた。昭和20年、15歳のとき予…

櫻木画廊の中津川浩章展を見る

東京上野桜木の櫻木画廊で中津川浩章展「森のなか、舟ですすむ」が開かれている(10月19日まで)。中津川浩章は1958年静岡県生まれ。和光大学で学び、個展をギャラリイK、パーソナルギャラリー地中海などで数回ずつ開き、その他、ギャラリーJin、ギャラリー…

日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリーの浜田浄展を見る

日本橋三越本店本館6階コンテンポラリーギャラリーで浜田浄展「つながりのはじまり なん度でも」が開かれている(10月13日まで)。浜田浄は1937年高知県出身、1961年に多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業している。2015年には練馬区立美術館で、今年は高知…

小野寺時夫『私はがんで死にたい』を読む

小野寺時夫『私はがんで死にたい』(幻冬舎新書)を読む。小野寺は元消化器がん外科専門医。経歴は都立駒込病院に勤務し、のち同病院副院長、都立府中病院(現・都立多摩綜合医療センター)院長などを経験し、その後日の出ケ丘病院ホスピス科医師兼ホスピス…

ギャラリーアビアントの及川伸一展を見る

東京吾妻橋のギャラリーアビアントで及川伸一展「relation 25」が開かれている(10月13日まで)。及川伸一は1949年東京生まれ。1980年から1992年まで独立美術に出品していたが、1992年からは個展を主な発表の場所としている。これまでギャラリー汲美、ギャラ…

小林文乃『グッバイ、レニングラード』を読む

小林文乃『グッバイ、レニングラード』(文藝春秋)を読む。副題が「ソ連崩壊から25年後の再訪」とある。小林文乃は10歳の時、テレビ局のドキュメンタリー企画に応募し、ソ連時代のモスクワに長期滞在した。2週間の取材を終えて帰国した直後、モスクワでクー…

千野栄一『プラハの古本屋』を読む

千野栄一『プラハの古本屋』(中公文庫)を読む。千野栄一はロシア語やチェコ語などスラブ語の専門家だ。田中克彦と並んで私の好きな言語学者だ。このエッセイがとても面白い。 千野は若い頃チェコに留学した。その頃の体験を書いている。言語学者だから言語…

ギャラリーせいほうの本郷芳哉展を見る

東京銀座のギャラリーせいほうで本郷芳哉展「在り様」が開かれている(10月3日まで)。本郷芳哉は1982年埼玉県生まれ、2007年に沖縄芸術大学工芸学部彫刻科を卒業し、2009年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。いりや画廊やギャラリー…

Stepsギャラリーの古藤典子展を見る

東京銀座のStepsギャラリーで古藤典子展「図書館でみる夢」が開かれている(10月4日まで)。古藤典子は1954年埼玉県浦和市生まれ、1979年に武蔵野美術大学大学院を修了している。みゆき画廊、ギャラリーQ、ギャラリー檜などで個展を重ね、ギャラリー現では…