2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧
山本弘「とら」油彩、F10号(53.0cm×45.5cm) 1978年制作。このとき山本48歳、最晩年の作品。今回のK'sギャラリーの個展に出品している。今回、1971年制作からこの1978年制作まで8年間に描かれた作品を並べている。すると、この8年間で作風が変わったことが…
明日から東京銀座の銀座K'sギャラリーで山本弘展が始まります(11月5日まで)。F30号の「種畜場」から、F10号の「狭い家」、「壺(仮題)」、「人(仮題)」、F6号の「山沼」、「人(仮題)」、「顔(仮題)」、F4号の「冬の風越山」、「子供A」、「子供B」…
山本弘「種畜場」油彩、F30号(72.7×99.9cm)、1978年制作 銀座K'sギャラリーanで10月31日から山本弘展が始まる(11月5日まで)。数日前、その案内状のDM葉書をここに紹介して、葉書に載っているこの「種畜場」の絵について書いた。題名の種畜場とは村営…
東京港区表参道の始弘画廊で深沢軍治展が開かれている(11月5日まで)。深沢は1943年山梨県生まれ、1971年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。6月には銀座のうしお画廊で個展をしたばかりだ。 今回の作品は中央に縦の太い線が引かれているものが…
廿楽順治『詩集 人名』(思潮社)を読む。廿楽は「つづら」と読み、現代詩手帖賞とH氏賞を受賞している。東京墨田区曳舟の出身。 本書は題名どおりみな人名を主題にしている。これがなかなか楽しい詩集だ。詩はすべて下揃えのレイアウトになっているが、ここ…
東京銀座のコバヤシ画廊で坂本太郎展が開かれている(10月24日まで)。坂本太郎は1970年、埼玉県生まれ、2000年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了している。都内では2000年に当時早稲田にあったガルリSOL、2001年以降銀座のフタバ画廊や小野画廊、ギャ…
東京銀座の銀座K'sギャラリーanで山本弘展が開かれます(10月31日〜11月5日まで)。そのDM葉書です。 「種畜場」 油彩 F30号(72.7×90.9cm)、1978年制作 山本が暮らした長野県飯田地方は地域を流れる天竜川の川霧が濃く、秋の早朝など視界が数メートルほど…
小泉武夫『絶倫食』(新潮文庫)を読む。2007年から2010年にかけて雑誌に発表したもの。初め『月刊プレイボーイ』に連載し、同誌が休刊になったので、後半は新潮社のPR誌『波』に連載した。私は『波』を購読しているので、途中から突然この連載が始まって少…
地下鉄副都心線北参道駅の上あたりにあるビルの外壁に排管パイプだろうか、おもしろい造形のパイプが設置されていた。 秋山画廊へ行ったがあまりおもしろくなかったし、タカイシイギャラリーは展示替え中だった。小山登美夫ギャラリーはもう天王洲アイルへ転…
夕べのNHK総合テレビの『試してガッテン』は「快尿!おしっこトラブル 全部解決の5秒ワザ」というものだった。頻尿・残尿・尿漏れがテーマになっていて、録画して見た。 番組中、成人の膀胱の容量が紹介された。300〜500mlだという。半年ほど前、友人と飲ん…
山本弘「冬の風越山」、油彩、F4号(33.3cm×24.2cm) 1971年制作、山本弘41歳のときの作品。見られるように優れた色彩だ。山本は天性のカラリストで色彩の美しさは他に類を見ない。しかし、必ずしもそれを全開にすることがない。地味な色彩の作品が多いよう…
青柳いづみこ『ショパン・コンクール』(中公新書)を読む。とても楽しい有益な読書だった。ピアニストで文筆家の青柳いづみこが2015年のショパン・コンクールのことを書いている。それも実況中継を聞いているような面白さだ。 青柳はリサイタルも行うプロの…
東京港区白金台の東京都庭園美術館でクリスチャン・ボルタンスキー展が開かれている(12月25日まで)。ボルタンスキーはフランスのアーチスト。展覧会のホームページから、 フランスの現代美術家クリスチャン・ボルタンスキー(1944年−)は、映像作品やパフ…
小川洋子・河合隼雄『生きるとは、自分の物語をつくること』(新潮文庫)を読む。河合と小川が対談したもの。2005年と2006年に文化庁長官室で対談したが、その2度目の対談の2カ月後に河合が倒れ、翌年7月に79歳で亡くなった。軽い対談なのだが、さすが河合隼…
深町英夫『孫文』(岩波新書)を読む。孫文のことは現代中国史でも東洋史でも必ず扱われ、何となく知っているような気がしていた。孫文は死後、中華民国の政権を掌握した中国国民党によって「国父」と尊称され、中華人民共和国を樹立した中国共産党によって…
北村太郎『センチメンタルジャーニー』(草思社)を読む。副題が「ある詩人の生涯」とあり、「荒地」の詩人北村太郎の自伝だ。とは言うものの、一般的な自伝とは少し違っている。北村は自伝の執筆を意図したが、悪性血液病を患っていて、余命2年以内しかない…
東京銀座のギャラリー現で吉川和江展が開かれている(10月15日まで)。吉川は1945年東京生まれ、1969年に武蔵野美術大学を卒業し、1976年ドイツのハンブルグ国立美術大学に入学し、1986年に同校を卒業している。現在ハンブルグ在住。1983年ハンブルグの画廊…
東京銀座のうしお画廊で井上敬一展が開かれている(10月15日まで)。井上は1947年、香川県生まれ。1980年に福岡教育大学美術研究科を修了している。 ここ何年か銀座のみゆき画廊で発表していたが、みゆき画廊が閉じてしまったのでその展開先であるうしお画廊…
東京銀座の藍画廊で吉田絢乃展「ダイアローグ」が開かれている(10月15日まで)。吉田は1987年東京生まれ。2011年多摩美術大学造形表現学部造形学科を卒業し、2013年同大学大学院修士課程油画領域を修了している。大学在学中からグループ展に参加し、卒業後…
サイモン・シン『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)を読む。フェルマーの最終定理は次のように書かれている。 (xのn乗)+(yのn乗)=(zのn乗) この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。 17世紀の数学者フェルマーが上記について、メモ…
東京上野の東京芸術大学大学美術館陳列館で「彫刻ー気概と意外」展が開かれている(10月10日まで)。東京芸大の彫刻科の教授と助教、助手、それに広島市立大学教授による彫刻展でとてもおもしろかった。 印象に残った作品を紹介する。 池島康輔「木花咲耶姫…
東京入谷のいりや画廊で中谷聡展が開かれている(10月8日まで)。中谷は1959年、長野県生まれ。1981年に信州大学教育学部美術科を卒業している。2011年に愛知県立芸術大学大学院を修了、現在長野県松本県ケ丘高校に勤務している。新制作展をはじめ各地の彫…
村上春樹『職業としての小説家』(新潮文庫)を読む。これがとてもおもしろかった。村上が小説家としての自身の生活を実に率直に語っている。まず結婚してから大学を卒業し、会社に就職するのが嫌だったのでジャズのレコードをかけてコーヒーや酒や料理を出…
河合隼雄『物語を生きる』(岩波現代文庫)を読む。ユング派精神分析家の河合が日本の王朝物語を取り上げて論じている。古代の物語は作者不明のものや多くの人によって書き足されたものが多い。そのようなことから集団的無意識、共同的無意識を研究するユン…
東京銀座の柴田悦子画廊で浅見貴子展「定点観測」が開かれている(10月10日まで)。浅見は1964年埼玉県生まれ、1988年に多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業している。1992年に藍画廊で初個展をした後、毎年個展を開いていた。またアーティスト・イン・レジ…
東京銀座のギャラリー58で石川湖弓・柏倉風馬展が開かれている(10月8日まで)。2人とも東北芸術工科大学出身だ。このうち、石川湖弓について紹介したい。 石川は1994年、山形県生まれ。2016年に東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コースを卒業し、現在同…
山本弘「(題不詳)」油彩、F4号(33.3cm×24.2cm) 1978年制作。山本弘48歳、亡くなる3年前になる。1979年は体調を崩して作品は極めて少なく、1980年は病院に入院していて作品はない。1981年に退院したが、少し制作しただけで亡くなってしまった。だからこ…
樋口良澄『鮎川信夫、橋上の詩学』(思潮社)を読む。鮎川は現代を代表する詩人。戦後詩の中心だった「荒地」グループのリーダーでもあった。戦後詩人で3人選ぶとしたら、鮎川信夫、田村隆一、吉本隆明だろう。その鮎川論。 鮎川は十代の頃から詩を雑誌に投…
山本弘「子ども(仮題)」油彩、F4号(33.3cm×24.2cm) 制作年不明。サインが漢字なので晩年、おそらく1970年代後半のもの。背景を塗ったあと、子どもの簡単な輪郭を描いて、顔に厚く絵具を置きパレットナイフで顔面を作り、目と口を描き込んでいる。洋服も…