2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

女性のお尻の魅力

高校生の頃昼メロと呼ばれた午後のテレビドラマで舟橋聖一「芸者小夏」を翻案した「帯を解く夏子」を見ていたら、印象的な台詞があった。昼メロとは昼のメロドラマ、さながら日本のソープオペラだ。ソープオペラはアメリカで石鹸会社がスポンサーだったこと…

ペンネームあれこれ

いままでいろんなペンネームを使ってきた。高校生の頃使ったのが、Hell's Saint 地獄の聖者で、これはアメリカの暴走族Hell's Angels に掛けている。数回だけ「はみだしYouとPia」でも掲載された。 高校卒業前後から使ったのが、Modesty Masayoshi Polo、略…

シランという花、過剰な敬語

小学校5、6年生の頃の担任が宮嶋先生と言った。ある日宮嶋先生はわれわれに、みんなはこの花の名前を知っとるかと聞いた。われわれ一同は「知らん」と答えた。先生はそうだと言った。この花はシランという名だ。それ以上のことを教わったかどうかもう憶えて…

写真から読みとれること

これはチャイルド・スポンサーシップの新聞広告だ。アフリカの貧しい子供の写真だ。月額4,500円を支払ってチャイルド・スポンサーになって貧しい環境の子どもたちを支援してほしいとのキャンペーン広告だ。 しかし今回この広告を取り上げたのは、この子の目…

大橋巨泉のこと

昔から大橋巨泉が嫌いだった。テレビで見る度になんだあんなヤツと思っていた。最近は時々「開運! なんでも鑑定団」にゲスト出演することがある。そのたびに嫌なヤツと思っていた。太った顔がいやだった。巨泉が軽薄野郎だから? そうではないことが分かっ…

佐野眞一「枢密院議長の日記」

佐野眞一「枢密院議長の日記」(講談社現代新書)が面白かった。佐野眞一はダイエーの中内功を描いた「カリスマ」や、満州の裏の実力者「阿片王」、これは未読だが「東電OL殺人事件」を書いている優れたノンフィクション作家だ。 さて枢密院議長は倉富勇三郎…

カットソー、あるいは知の偏在

ほとんどの女性たちが知っていて、ほとんどの男性たちが知らない言葉に「カットソー」がある。どうやら服飾関係の用語らしいと見定めて、彼女たちにその定義を聞くと、いろいろな例を示してくれるのだが、きちんとした定義は与えてくれない。切って縫うのな…

津田裕人の思い出

MacDonaldやMcGregorなどのMacは「〜の息子」という意味だと聞いた。もうないと言ったばかりなのに、昨日に続いてまたブランドの話だ。このMcGregorというブランドも何点か持っていた。 そもそもは友人の形見だった。3歳ほど年下の津田裕人が着ていた真っ黒…

ブランドの魅力、PapasとNewYorker

Papasというブランドの製品をいくつか持っている。最初に買ったのはハンカチで、ただの白い木綿のハンカチだが、不思議にきれいでもう10年愛用していた。昨夜の洗濯でさすがに柔らかく弱っていた生地が裂けてしまった。一番大事に着ているワイシャツもPapas…

旗本三千石阿島藩の家老の息子

山口君、いやツトム君ではなくて、小学校時代の級友だった。彼は信州南部の旗本三千石阿島藩の家老の息子だった。まあ江戸時代が続いていたらだが。藩主は知久氏。武田信玄とも闘った戦国時代から伝わる名家だ。 知久氏はしかし京をめざして進んできた信玄に…

死を覚悟したあと、生き直すことは

吉本隆明の「日本語のゆくえ」(光文社)を読んでいて、次のところでひとつ分かったことがある。 あの人(島尾敏雄)は終戦のときに非常にむずかしい体験をしています。 人間魚雷で奄美大島の基地から出撃するというその寸前で戦争が終る。死を覚悟していた…

シューベルトと吉本隆明の孤独

梅津時比古「冬の旅ーー24の象徴の森へ」(東京書籍)はシューベルトの歌曲集「冬の旅」を分析している。詩はミュラーだ。 第12曲「孤独」 澱んだ風が もみの梢を揺らすとき 一片の暗い雲が 澄みわたった空を漂うように ぐったりした脚をひきずって 自分の道…

飯田市への旅

中央高速バスで飯田市へ行った。バスの中ではビールを飲んで寝ているか起きていれば本を読んでいるが、たまに車窓に目を向けることがある。遠く近くの樹林の中に色彩が浮かび上がっている。白いのはウワミズザクラか、紫色の桐や藤の花、高速道路の土手には…

自慢の一品

自慢の一品である。何の変哲もないフォークだが。 30年前頃、虎の門のスパゲッティ屋ハングリータイガーに時々行っていた。ここのバジリコが好物だった。オリーブオイルがたっぷり使われていた。このビルの上には「室内」を発行していた工作社があった。工作…

スウェーデンの城

昔見た映画「スウェーデンの城」をもう一度見たいと思ってAmazonのDVDを検索した。なかった。「悲しみよこんにちは」のフランソワーズ・サガンの戯曲が原作で、ブリジット・バルドーやカトリーヌ・ドヌーヴ、ジェーン・フォンダなど錚々たる美女たちと仲良く…

村上隆の立体作品が16億円だという

5月15日の朝日新聞夕刊に、ニューヨークで開かれたサザビーズのオークションで村上隆の立体作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」が1,516万ドル(約16億円)で落札されたと書かれていた。高さ254cm、裸の男性が自分のほとばしる精液をロープのように操ってい…

アホな部下がいた

前の職場にアホな部下がいた。そいつが「mmpoloさんて人なつっこいですね」と言った。それはその通りだが、部下が上司に言う言葉ではない。一時が万事そうであった。 私が帰宅した後、たびたび私の自宅に電話をしてきた。ほとんど明日でもいい用件だった。さ…

美術のシステムとは何か

ガルリSOLで個展をしている秋山一郎さんと話した。峯村敏明さんの講演会での発言を引いて「制作の背後にはシステムがある」の意味について、抽象とか具象を作家(画家)が主体的に選ぶのではなく、作家はそのようなシステムの中に生まれ落ちるということでは…

ヤブザクラを播種した

先日紹介したヤブザクラの実(id:mmpolo:20080508)が道に落果していたのを拾ってきて数粒ベランダの鉢に播種した。うまく発芽したとして、10年以内に花が咲くのを見られるだろうか? 一粒の向日葵の種まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき 寺山修司 私も…

書評:片山杜秀「近代日本の右翼思想」by田中優子

朝日新聞に掲載された田中優子の片山杜秀「近代日本の右翼思想」に関する書評。 私は右翼がわからない。なぜ民族主義者なのに日米安保体制に大賛成なのか? なぜ三味線より軍歌が好きなのか? なぜ受験生みたいに鉢巻きをするのか? なぜ古来の地元の神社に…

ブータンの学僧ロポン・ペマラの突然の読経

今枝由郎「ブータンに魅せられて」(岩波新書)に興味深いエピソードが紹介されている。ロポン・ペマラはブータン国立図書館長でブータンでも屈指の学僧だ。 1975年にロポン・ペマラが初めてアメリカに旅行した時のことである。(中略)ロポン・ペマラはかれ…

知らないものは見ることができない

以前植物病害事典の編集を手伝っていた。何しろ植物病害の写真を数千枚収集しなければならない。広く各方面へ手を伸ばして探してもいたが、自分たちで撮影もしていた。 夏休みでカミさんの実家へ行ったとき、昨年私が植えたヤマユリが無残な姿をさらしている…

省略の技法

金井美恵子「小説論」(朝日文庫)には「映画・小説・批評ーー表象の記憶をめぐって」と題された城殿智行によるインタビューが載っている。そこから映画と小説の省略の技法が語られているところを紹介する。 城殿智行 書き方のお話も少しうかがいたいのです…

野生のサクランボ

3月10日に開花を紹介した近所のヤブザクラ(id:mmpolo:20080310)がいまサクランボをたわわにつけている。ヤブザクラはソメイヨシノと異なり野生種なので、このようにサクランボをつけるのだ。実の直径は15ミリくらい、割と大きい。味は桜桃(西洋ミザクラ…

ナンジャモンジャの木が満開だった

大泉学園駅で降りて植物の写真を撮ろうとずいぶん歩きまわったが収穫は少なかった。駅から2キロくらい離れたところでこの植物「ナンジャモンジャの木」が満開なのを見つけた。標準和名をヒトツバタゴというモクセイ科の木本。近所のお爺さんの話では神代植…

桜庭一樹「私の男」のどこが悪いのか

先に桜庭一樹「私の男」(文藝春秋)は父と娘の近親相姦を描いた気持の悪い小説で、どうしてこんな半端でつまらない小説がベストセラーになるのだろうと書いた。(id:mmpolo:20080419) 付け加えると、近親相姦を描いたから否定したのではない。小説では何を…

寿司屋の値段

もう30年以上前になるが、寿司屋で面白い体験をした。知人と飲んだ後、彼のなじみの寿司屋へ行った。そこの寿司がうまかったので、後日寿司好きのカミさんと二人で行った。飲屋街にあって酔客を相手にしているようで、早い時間に行くとほかに客が誰もおらず…

中国のコピー商品との闘い

中国へ農薬の殺菌剤を輸出している会社から相談を受けたことがある。その会社の主力商品である殺菌剤が中国で評判がよく、当然のようにコピー商品が出回っている。初めはSONYをSOMYとかSONNYとか表示したやり方で名前を真似ていたが、その内に同じ名前で売る…

グラッパという蒸留酒がある

カミさんは小説が好きなのでいろんなことを知っていた。グラッパも彼女から教わった。葡萄が原料の蒸留酒だが、ブランデーと違うのは、まずワイン製造の労働者がワインの絞りかすを使って蒸留して作ったこと、樽に入れないので色がつかないこと、イタリアで…

大江健三郎をしつこく批判するジャーナリスト

大江健三郎「河馬に噛まれる」所収の短編「死に先だつ苦痛について」の中に大江に対して批判的なジャーナリストの存在が描かれている。 三年ほどたって、大学紛争のさなかだったわけだが、「全共闘」の指導者格の働き手たる、タケチャンの噂を聞いた。やはり…