アホな部下がいた

 前の職場にアホな部下がいた。そいつが「mmpoloさんて人なつっこいですね」と言った。それはその通りだが、部下が上司に言う言葉ではない。一時が万事そうであった。
 私が帰宅した後、たびたび私の自宅に電話をしてきた。ほとんど明日でもいい用件だった。さて、私は品行方正だが、たまには寄り道することもある。そんな時、帰宅するとカミさんから「(あなたの部下の)Kさんから電話があったわよ、2時間前に会社を出たと言ってたけど、どこを回ってたの?」とやんわり追求された。会社から自宅まで30分しかかからなかった。
 どうにかしなければと思っていたが、機会はまもなく訪れた。農林水産省の横浜植物防疫所で打ち合わせをしている時に、Kから電話があった。会議室から総務部まで距離があった。電話の内容は些細なことだった。会社へ戻って、Kに、さっきはありがとう、電話の相手は急いでいると言っていたかい? と聞いた。いいえ、急いではいなかったようですというのが返事だった。ここから反撃を開始した。横浜植防の会議室から総務部までは遠いんだ、急ぎでなければむやみに電話をするな!
 それから私の自宅への電話がなくなった。もし彼の電話が続いていたら、カミさんに捨てられるのが20年は早まっていたに違いない。いや、誤解されたくないのだが、本屋を覗けば1時間半くらいはすぐに過ぎてしまうことは誰でも経験しているだろう。