2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

橋本幸士『物理学者のすごい思考法』を読む

橋本幸士『物理学者のすごい思考法』(インターナショナル新書)を読む。月刊『小説すばる』に連載したエッセイをまとめたもの。雑誌見開き2ページの短いエッセイを本書4ページに組んでいる。 「すごい」思考法と謳っているが、「変わった」思考法くらいが妥…

吉仲太造の技法

吉仲太造(1928―1985)という画家がいた。京都国立近代美術館のホームページによると、 京都に生まれる。(中略)1952年に上京後は、岡本太郎の呼びかけで美術家の国際交流と連帯をめざしたアートクラブに参加、1955年には前衛作品を結集させ新たなうねりを…

始弘画廊の深沢軍治展を見る

東京表参道の始弘画廊で深沢軍治展が開かれている(11月6日まで)。深沢は1943年山梨県生まれ、1971年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。深沢は様々な画廊で個展を開いているが、みゆき画廊やそれを受けついだうしお画廊、始弘画廊などでの発…

ギャラリー砂翁の西本祥子展を見る

DM葉書 東京日本橋本町のギャラリー砂翁で西本祥子展が開かれている(11月5日まで)。西本は北海道出身、1980年頃明治大学薬学部を卒業し薬剤師をしていたが、40歳ころから絵を描き始め、日展に応募していた。今回が初個展。 日展には日本画を応募していた…

トキ・アートスペースの栗原優子展を見る

東京神宮前のトキ・アートスペースで栗原優子展「辿られる輪郭」が開かれている(10月31日まで)。栗原は1983年東京生まれ、2008年に女子美術大学大学院修士課程美術専攻立体美術領域を修了している。2007年にガレリア・グラフィカbisで初個展、2009年にギャ…

斎藤幸平『人新生の「資本論」』を読む

斎藤幸平『人新生の「資本論」』(集英社新書)を読む。私が3月に購入した本は20万部突破と帯にうたっていたけれど、最近書店で見たものには39万部となっていた。こんな難しい本がベストセラーじゃん! 「人新生」とは、人類が地球を破壊しつくす時代と、こ…

コバヤシ画廊の浅葉雅子展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で浅葉雅子展が開かれている(11月6日まで)。浅葉は1982年、女子美術大学日本画専攻を卒業。2003年にKONSTFACK(スウェーデン国立デザイン工芸芸術大芸術専攻)で学んでいる。1996年に銀座スルガ台画廊で初個展、2011年からはコバヤシ…

幸田正典『魚にも自分がわかる』を読む

幸田正典『魚にも自分がわかる』(ちくま新書)を読む。副題が「動物認知研究の最先端」。ホンソメワケベラという小さな熱帯魚が「鏡に映った自分の姿を見て、それが自分だとわかる」という嘘のような驚くべき研究。 長い間、鏡に映る像を見て自己認知できる…

東京画廊+BTAPの宮澤男爵展「盲斑」を見る

東京銀座の東京画廊+BTAPで宮澤男爵展「盲斑」が開かれている。宮澤は1981年千葉県生まれ。東京画廊+BTAPでは2008年に二人展、2010年と2015年に個展を開催している。画廊のホームページより、 これまでの宮澤は「見ていること」をテーマとして制作してきま…

うしお画廊の若林砂絵子展を見る

東京銀座のうしお画廊で若林砂絵子展が開かれている(10月23日まで)。若林は1972年東京に生まれる。1997年多摩美術大学大学院絵画専攻を修了、2000年渡仏し2005年パリ国立装飾美術学校を卒業しディプロムを取得。しかし2008年パリで病気のため急逝した。享…

若栗玄=小原泫祐の風景画

若栗玄「奈良尾秋景」 東京銀座の枝香庵Flatで「後藤洋明コレクション展」が開かれている(10月29日まで)。そこに若栗玄=小原泫祐の風景画「奈良尾秋景」が展示されている。若栗玄は洲之内徹の現代画廊で5回ほど個展をしている。この作品はその時展示販売…

JINENギャラリーの本山智香子展を見る

東京日本橋小伝馬町のJINENギャラリーで本山智香子展が開かれている(10月31日まで)。本山は1989年東京都出身。2014年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、2016年に同大学大学院油画・技法材料第一研究室を修了している。2013年から東京や台湾の…

コバヤシ画廊の西成田洋子展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2021」が始まった(10月23日まで)。西成田は茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形している。 …

吉行淳之介『やわらかい話』を読む

吉行淳之介『やわらかい話』(講談社文芸文庫)を読む。副題が「丸谷才一 編、吉行淳之介対談集」。前回読んだ『やわらかい話2』の前編。タイトルどおり艶な対談を集めている。 最初の対談相手金子光晴は詩人、対談時79歳。 吉行 (……)ところで、金子さん…

橋爪大三郎『ふしぎな社会』を読む

橋爪大三郎『ふしぎな社会』(ちくま文庫)を読む。本書は以前『面白くて眠れなくなる社会学』(PHPエディターズ・グループ刊)としていたのをタイトルを変えて文庫化したもの。中高校生向けに書いたものだという。これが分かりやすくて面白かった。 中高校…

岡田暁生『音楽の危機』を読む

岡田暁生『音楽の危機』(中公新書)を読む。去年発売された時、コロナ禍で生演奏が聴けなくなったことを嘆いている時事的な本かと手に取らないでいたら、今年小林秀雄賞を受賞したのであわてて購入した。その授賞理由が、 「音楽」というものの生々しさと理…

ギャラリイKの内海信彦展を見る

東京京橋のギャラリイKで内海信彦展が開かれている(10月23日まで)。内海は1953年生まれ、東京都出身。1974年慶應義塾大学法学部政治学科中退。1975年美学校中村宏油彩画工房修了。1981年多摩美術大学絵画科油画専攻コース卒業。今回で個展は109回目になる…

S+artsのさとう陽子展を見る

東京六本木のS+artsでさとう陽子展「―じげん―」が開かれている(10月17日まで)。さとうは東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。 ギャラリーのホームページから、…

Oギャラリーの吉岡敦夫彫刻展を見る

DM葉書 東京銀座のOギャラリーで吉岡敦夫彫刻展が開かれている(10月17日まで)。吉岡は1958年愛媛県生まれ、1980~1983年美学校にて彫刻を学ぶ。1986年に愛媛県のプランタンギャラリーで初個展、1987~1993年に早稲田芸術学校で建築を学ぶ。2000年に新体操…

篠原有司男『前衛の道』を読む

篠原有司男『前衛の道』を読む。篠原がネオダダの頃の活動をつづったもの。やんちゃな若者ができるだけ目立つような作品を作っている。読売アンデパンダン展に出品し、瀧口修造にそこそこ評価され、「アメリカ巡回現代日本美術展」の選抜責任者として来日し…

ギャラリーJyの染谷玲子展を見る

DM葉書 東京北青山のギャラリーJyで染谷玲子展「キノムクママ」が開かれている(10月24日まで)。私の好きな写真家だ。いつも若い女性のポートレートをフィルムカメラで撮っているが、今回は自分をモデルに撮影している。相変わらずフィルムカメラで撮影して…

TAKU SOMETANI ギャラリー移転

TAKU SOMETANI ギャラリーはこれまで台東区浅草橋にあったが、10月から渋谷区神宮前に移転して、こちらで新しく営業を始めた。今までと異なり路面店で入りやすいギャラリーだ。大きな彫刻作品も搬入しやすく、第1回展には早速大きな木彫作品が展示されている…

吉行淳之介『やわらかい話2』を読む

吉行淳之介『やわらかい話2』(講談社文芸文庫)を読む。副題が「丸谷才一 編、吉行淳之介対談集」。やわらかい話というタイトルだけあって、艶めいた対談を集めている。 東郷青児は画家。現在のSOMPO美術館は(旧館名:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜…

ギャラリーなつかの安田昴史個展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで安田昴史個展が開かれている(10月9日まで)。本展は「たまびやき」の大学院生による選抜展。「たまびやき」は、毎年ギャラリーなつかで開かれる多摩美術大学および大学院工芸専攻の陶/選抜作品展だ。 安田は2020年多摩美術大…

コバヤシ画廊の渋谷和良展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で渋谷和良展が開かれている(10月9日まで)。渋谷は1958年東京生まれ、1981年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業し、1983年に同大学大学院美術研究科版画専攻修士課程を修了している。2002年から1年間、文化庁在外派遣研修員として…

椿玲奈『カイメン』を読む

椿玲奈『カイメン』(岩波科学ライブラリー)を読む。カイメンは英語でスポンジ、食器洗いの人工のスポンジの元となった海綿動物だ。動物なんである。しかし、カイメンには脳も神経も消化管や筋肉すらない。 カイメンは水中に漂う植物プランクトンなどをこし…

ギャラリーアビアントの及川伸一展を見る

東京吾妻橋のギャラリーアビアントで及川伸一展が開かれている(10月11日まで)。及川は1949年東京生まれ。1980年から1992年まで独立美術に出品していたが、1992年からは個展を主な発表の場所としている。これまでギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、ギャラ…

櫻木画廊の沓澤貴子展を見る

東京上野桜木の櫻木画廊で沓澤貴子展が開かれている(10月10日まで)。沓澤は静岡県生まれ、1996年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、1998年に同大学大学院油絵コースを修了している。昨年は西荻窪の数寄和で個展を開いている。その後も東京外苑前…

佐藤賢一『最終飛行』を読む

佐藤賢一『最終飛行』(文藝春秋)を読む。ふだんあまり小説を読まないが、本書はサン・テグジュペリを描いているという。サン・テグジュペリは好きな作家だ。読まずばなるまい。 サン・テグジュペリといえば、『南方郵便機』『夜間飛行』『人間の土地』『戦…